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(ゼクスかメイドさんに頼めばもっと食べやすくて、綺麗に飾られたやつが出てくるだろうに……)
「だってこんな時じゃねぇと、あそこに乗ってるのなんて食えねぇぜ?」
「ーー確かに……?」
再びザームに説得されたリアーヌは、そのまま無言でねだるような視線をゼクスに向ける。
「……ーーどうぞ? ってか……俺も食べちゃおー」
肩をすくめながらヘラリと笑ったゼクスは、そう言いながら果物皿に手を伸ばす。
ザームの言葉は、ゼクスの心の琴線にも触れたようだった。
立ち上がってリンゴ一個とマスカットを一房を手に取ったゼクス。
その姿を目で追っていたザームと目が合うと、お互いにニッと笑ってから、ゼクスはザームにリンゴを投げ、ザームは慌てることもなくそれを片手で受け取った。
ーーつい最近開かれた狩猟大会にそろって参加した二人は、無言であっても意思の疎通が出来るほどには、打ち解けてきているようだった。
マスカットを手に席に着いたゼクスは、ポケットからハンカチを取り出すと、それを皿代わりにマスカットをリアーヌに差し出す。
「ん。 普通だけど美味いな」
早速リンゴに齧り付いたザームは納得したように小さく頷きながらムシャムシャとものすごい速さで食べすすめていく。
そんなザームにリアーヌとゼクス顔を見合わせて、呆れたようにクスリと笑い合う。
そして二人同時にマスカットに手を伸ばして、そこから一粒もぎ取ると、同じような動作で二人仲良くパクリと口に放り込んだ。
(ーーうん。 美味しいけど、普通だな)
リアーヌはモゴモゴと咀嚼しながら、ザームと同じ感想を持った。
そしてそんな自分にクスリと笑いが溢れる。
同時に隣からも小さな笑い声が聞こえーー
ゼクスが自分と似たような苦笑をもらしているゼクスと目があった。
その瞬間、同時に「プッ」と吹き出し、肩を震わせてクツクツと笑い合う二人。
(普通のフルーツを普通に食べたんですもん、どう頑張ったって“普通に美味しい”以外の感想なんか感じませんよね……!)
「いやー、えらい! アンタはえらいよ‼︎」
リアーヌたちが肩を震わせている背後、ソファーでリエンヌと共にお茶を楽しんでいたフリシアが突然大きな声を上げる。
ーーしかしこの部屋の中にそれに驚くような者は、もはや一人としていなかった。
あらかたの商談が終わり、この三組に別れた辺りから、クライスたちが集まる場所から、勝った負けたという雄叫びが聞こえることも、ザームが大声でおかわりを要求する声も、フリシアたちの席から、楽しげな笑い声や少々大きな声が聞こえてくること、これら全て、当たり前のことになりつつあった。
最初はお互いがお互いの声に迷惑そうな顔を向けていたが、次第にその喧騒に慣れ出したのか、もはや他のグループの声に反応を見せることの方が珍しくなっていた。
「だってこんな時じゃねぇと、あそこに乗ってるのなんて食えねぇぜ?」
「ーー確かに……?」
再びザームに説得されたリアーヌは、そのまま無言でねだるような視線をゼクスに向ける。
「……ーーどうぞ? ってか……俺も食べちゃおー」
肩をすくめながらヘラリと笑ったゼクスは、そう言いながら果物皿に手を伸ばす。
ザームの言葉は、ゼクスの心の琴線にも触れたようだった。
立ち上がってリンゴ一個とマスカットを一房を手に取ったゼクス。
その姿を目で追っていたザームと目が合うと、お互いにニッと笑ってから、ゼクスはザームにリンゴを投げ、ザームは慌てることもなくそれを片手で受け取った。
ーーつい最近開かれた狩猟大会にそろって参加した二人は、無言であっても意思の疎通が出来るほどには、打ち解けてきているようだった。
マスカットを手に席に着いたゼクスは、ポケットからハンカチを取り出すと、それを皿代わりにマスカットをリアーヌに差し出す。
「ん。 普通だけど美味いな」
早速リンゴに齧り付いたザームは納得したように小さく頷きながらムシャムシャとものすごい速さで食べすすめていく。
そんなザームにリアーヌとゼクス顔を見合わせて、呆れたようにクスリと笑い合う。
そして二人同時にマスカットに手を伸ばして、そこから一粒もぎ取ると、同じような動作で二人仲良くパクリと口に放り込んだ。
(ーーうん。 美味しいけど、普通だな)
リアーヌはモゴモゴと咀嚼しながら、ザームと同じ感想を持った。
そしてそんな自分にクスリと笑いが溢れる。
同時に隣からも小さな笑い声が聞こえーー
ゼクスが自分と似たような苦笑をもらしているゼクスと目があった。
その瞬間、同時に「プッ」と吹き出し、肩を震わせてクツクツと笑い合う二人。
(普通のフルーツを普通に食べたんですもん、どう頑張ったって“普通に美味しい”以外の感想なんか感じませんよね……!)
「いやー、えらい! アンタはえらいよ‼︎」
リアーヌたちが肩を震わせている背後、ソファーでリエンヌと共にお茶を楽しんでいたフリシアが突然大きな声を上げる。
ーーしかしこの部屋の中にそれに驚くような者は、もはや一人としていなかった。
あらかたの商談が終わり、この三組に別れた辺りから、クライスたちが集まる場所から、勝った負けたという雄叫びが聞こえることも、ザームが大声でおかわりを要求する声も、フリシアたちの席から、楽しげな笑い声や少々大きな声が聞こえてくること、これら全て、当たり前のことになりつつあった。
最初はお互いがお互いの声に迷惑そうな顔を向けていたが、次第にその喧騒に慣れ出したのか、もはや他のグループの声に反応を見せることの方が珍しくなっていた。
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