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「ーーこれめっちゃうめぇぞ。 姉ちゃんも食うか?」
同時刻、同じ部屋の同じテーブル。
サージュたちが同じ長テーブルの部屋の壁際でポーカーを楽しんでいるのに対してその反対側、窓側で食事を続けていたザームがモゴモゴと咀嚼しながらリアーヌに話しかける。
「一応、口に物入れて喋るのはやめとこう……?」
「なに言ってんだよ? 今日は無礼講なんだろう⁇」
「そう、なんだけどぉ……」
(にしたってダメな気がするわけで……ーーいや向こうじゃ、父親同士が賭けポーカーとかしてるし、このくらい別に良かったりするのか……?)
ーー本来の無礼講は、堅苦しい礼儀作法を省略し、身分差を気にせず喜びや悲しみを分かち合おう、という場において宣言されるものであり、決してそれ以外のマナーや周りに対する配慮を怠っても構わないという意味合いなどどこにもないのだが、ここに来るまで、そしてここに着いてからも頻繁に聞いた「今日は無礼講だしな」「本日は無礼講なので……」という言葉から、ザームはなにをしても構わない日なのだと勘違いしていたのだ。
そして、本来ならば弟の勘違いを正さなくてはいけなかったリアーヌの方が、ザームの言葉に説得されようとしていたーー
「……ーーとりあえず、今日はいいんじゃないかな……? あ、お茶のおかわりいる?」
リアーヌの隣で、ことの成り行きを見守っていたゼクスは、笑いを堪えるようにモニョモニョと口を動かしながら何かをごまかすようにリアーヌに話しかけた。
「あ、私はーー」
「俺欲しい」
ゼクスの問いかけに、姉の言葉を遮って答えるザーム。
自分が喋っていたところを遮られて頭にきたのか、リアーヌはムッとした顔をザームに向けた。
ザームはヒョイっと肩をすくめると「無礼講だろ」と言い、再び食事を始めた。
(ーーウソだろ……ーーまさか私がこの短時間で無礼講が嫌いになりかけている……だと⁉︎)
憎たらしい弟の言動に、リアーヌは心の中で冗談めかして突っ込身を入れ、目の前のザームに向かい、んべっと舌を出して少しの溜飲を下げた。
「あー……こちらにお茶を」
ゼクスは引き攣った笑顔を貼り付けながらメイドに声をかけた。
「あのフルーツも食っていい?」
「ーーどうぞ?」
「あんた……そんないかにも飾りのために置いてますってもんまで……」
ザームが指差したのは、金の細かい細工が施された果物皿に盛られた色とりどりのフルーツたちだった。
盛られた状態なので、当然皮もそのままならば切れてもいないーーもっというならば、水洗いすしていないように見受けられたーー
同時刻、同じ部屋の同じテーブル。
サージュたちが同じ長テーブルの部屋の壁際でポーカーを楽しんでいるのに対してその反対側、窓側で食事を続けていたザームがモゴモゴと咀嚼しながらリアーヌに話しかける。
「一応、口に物入れて喋るのはやめとこう……?」
「なに言ってんだよ? 今日は無礼講なんだろう⁇」
「そう、なんだけどぉ……」
(にしたってダメな気がするわけで……ーーいや向こうじゃ、父親同士が賭けポーカーとかしてるし、このくらい別に良かったりするのか……?)
ーー本来の無礼講は、堅苦しい礼儀作法を省略し、身分差を気にせず喜びや悲しみを分かち合おう、という場において宣言されるものであり、決してそれ以外のマナーや周りに対する配慮を怠っても構わないという意味合いなどどこにもないのだが、ここに来るまで、そしてここに着いてからも頻繁に聞いた「今日は無礼講だしな」「本日は無礼講なので……」という言葉から、ザームはなにをしても構わない日なのだと勘違いしていたのだ。
そして、本来ならば弟の勘違いを正さなくてはいけなかったリアーヌの方が、ザームの言葉に説得されようとしていたーー
「……ーーとりあえず、今日はいいんじゃないかな……? あ、お茶のおかわりいる?」
リアーヌの隣で、ことの成り行きを見守っていたゼクスは、笑いを堪えるようにモニョモニョと口を動かしながら何かをごまかすようにリアーヌに話しかけた。
「あ、私はーー」
「俺欲しい」
ゼクスの問いかけに、姉の言葉を遮って答えるザーム。
自分が喋っていたところを遮られて頭にきたのか、リアーヌはムッとした顔をザームに向けた。
ザームはヒョイっと肩をすくめると「無礼講だろ」と言い、再び食事を始めた。
(ーーウソだろ……ーーまさか私がこの短時間で無礼講が嫌いになりかけている……だと⁉︎)
憎たらしい弟の言動に、リアーヌは心の中で冗談めかして突っ込身を入れ、目の前のザームに向かい、んべっと舌を出して少しの溜飲を下げた。
「あー……こちらにお茶を」
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「ーーどうぞ?」
「あんた……そんないかにも飾りのために置いてますってもんまで……」
ザームが指差したのは、金の細かい細工が施された果物皿に盛られた色とりどりのフルーツたちだった。
盛られた状態なので、当然皮もそのままならば切れてもいないーーもっというならば、水洗いすしていないように見受けられたーー
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