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第4章
無礼者!!(26p)
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芳子は、迎えの車で、田中大佐の家を訪れた。『一晩、ゆっくり考えてごらん』と、言われたが、迷うことなど何もなかった。
「私の任務をお伺いしたい!」
「ヨコちゃん。すっかりその気になってくれたね。
実は……天津にいる、溥儀様に会って欲しい。
清朝の皇帝だった溥儀様が満州を治めれば、清は復活したのも同然なのだ。
清朝王女のヨコちゃんが、お願すれば、彼の気持ちも動くかもしれん」
「わかりました」
「彼を説得するばかりでは、駄目だ。溥儀様を満州まで、無事お連れしなくては。なにしろ、溥儀様のお命を狙うヤツが目を光らせている。この計画は極秘じゃ。様々な秘密工作が必要になってくる。わが、関東軍としては、日本にいる川島先生のお力も借りたいと思っている。もう一度、大陸で活躍して頂きたい」
「養父もお役に立てるなら喜びます。こちらに、来るように連絡しましょう」
「そうか、ありがたい。これは、お礼だ」
田中は分厚い封筒を差し出した。
「ヨコちゃんの好きに使いなさい」
工作資金らしい。
「ありがとう。やってみます」
「では、大陸の連絡先を知らせよう―――あれ、メモはどこだ?」
田中は、机の引き出しをかき回して探すが見つからない。本のページをパラパラとめくったり、ゴミ箱をあさったりしていたが、書類は出てこなかった。田中は、向こう見ずで度胸はいいが、金銭や、書類整理には、ずさんな所がある。
「まぁ、いいや。調べればわかることだ。ところで、晩飯はまだだろう?用意させてある。一緒にどうかね?」
食堂には、酒と料理が用意してあった。
「女中は、帰した。二人きりで、飲めるぞ」
「奥様は?」
「日本に置いてきた。男ヤモメも、捨てたもんじゃない」
芳子は、進められるままにウイスキーを飲み、飲み過ぎて眠ってしまう。
気がつくと、暗闇にいた。立ち上がろうとして、太ももを抑え込まれた下半身を締め付けてくる乱暴な脚の動き。
誰かいる!
「ヨコちゃん?やっとお目覚めだな」
田中の声にぞっとする。
「……っ!」
いきなり凄い力で羽交い締めにされて、動けない。
「無礼者!!下がれ!僕を抱くつもりか?」
「いい子だから……あばれちゃ駄目。優しくしてあげよう……」
「僕は、男だ。女を捨てている」
「ヨコちゃん?俺達が抱き合うのは、陸軍の秘密工作だ。
俺達は愛人になりすます。そうすれば、しょっちゅう会ったり、大金を渡しても、秘密 工作をしているとは思われない。わかるよね?目的の為には、命も惜しまぬ君が……操だの、純潔だのと騒ぐのか?そんな、お姫様なら、この任務は降りてもらおう」
芳子の胸に、たとえようもない怒りがこみ上げてきた。どこまで、狡い奴なのか。だが……女の純潔を守るために、コイツを振り切って逃げたら、ジャンヌダルクのように活躍できるチャンスを逃してしまう。
「わかった。君の好きにしたまえ。だが、その前に―――手洗いに行ってくる。失敬―――」
芳子は、毅然として部屋を出た。そして、部屋を出るなり、軍資金の入ったバックをしっかり抱えて玄関を飛び出した。
「私の任務をお伺いしたい!」
「ヨコちゃん。すっかりその気になってくれたね。
実は……天津にいる、溥儀様に会って欲しい。
清朝の皇帝だった溥儀様が満州を治めれば、清は復活したのも同然なのだ。
清朝王女のヨコちゃんが、お願すれば、彼の気持ちも動くかもしれん」
「わかりました」
「彼を説得するばかりでは、駄目だ。溥儀様を満州まで、無事お連れしなくては。なにしろ、溥儀様のお命を狙うヤツが目を光らせている。この計画は極秘じゃ。様々な秘密工作が必要になってくる。わが、関東軍としては、日本にいる川島先生のお力も借りたいと思っている。もう一度、大陸で活躍して頂きたい」
「養父もお役に立てるなら喜びます。こちらに、来るように連絡しましょう」
「そうか、ありがたい。これは、お礼だ」
田中は分厚い封筒を差し出した。
「ヨコちゃんの好きに使いなさい」
工作資金らしい。
「ありがとう。やってみます」
「では、大陸の連絡先を知らせよう―――あれ、メモはどこだ?」
田中は、机の引き出しをかき回して探すが見つからない。本のページをパラパラとめくったり、ゴミ箱をあさったりしていたが、書類は出てこなかった。田中は、向こう見ずで度胸はいいが、金銭や、書類整理には、ずさんな所がある。
「まぁ、いいや。調べればわかることだ。ところで、晩飯はまだだろう?用意させてある。一緒にどうかね?」
食堂には、酒と料理が用意してあった。
「女中は、帰した。二人きりで、飲めるぞ」
「奥様は?」
「日本に置いてきた。男ヤモメも、捨てたもんじゃない」
芳子は、進められるままにウイスキーを飲み、飲み過ぎて眠ってしまう。
気がつくと、暗闇にいた。立ち上がろうとして、太ももを抑え込まれた下半身を締め付けてくる乱暴な脚の動き。
誰かいる!
「ヨコちゃん?やっとお目覚めだな」
田中の声にぞっとする。
「……っ!」
いきなり凄い力で羽交い締めにされて、動けない。
「無礼者!!下がれ!僕を抱くつもりか?」
「いい子だから……あばれちゃ駄目。優しくしてあげよう……」
「僕は、男だ。女を捨てている」
「ヨコちゃん?俺達が抱き合うのは、陸軍の秘密工作だ。
俺達は愛人になりすます。そうすれば、しょっちゅう会ったり、大金を渡しても、秘密 工作をしているとは思われない。わかるよね?目的の為には、命も惜しまぬ君が……操だの、純潔だのと騒ぐのか?そんな、お姫様なら、この任務は降りてもらおう」
芳子の胸に、たとえようもない怒りがこみ上げてきた。どこまで、狡い奴なのか。だが……女の純潔を守るために、コイツを振り切って逃げたら、ジャンヌダルクのように活躍できるチャンスを逃してしまう。
「わかった。君の好きにしたまえ。だが、その前に―――手洗いに行ってくる。失敬―――」
芳子は、毅然として部屋を出た。そして、部屋を出るなり、軍資金の入ったバックをしっかり抱えて玄関を飛び出した。
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