1 / 1
熱帯魚の修理屋さん
しおりを挟む「あしたは、晴れますか?」
ミクちゃんは大きな水槽の中で泳ぐ、熱帯魚たちにむかって話しかけました。
何匹もの青色の熱帯魚が、ダンスでもおどるように、くるくると水の中で回っています。
「ねえねえ、晴れますか?」
ミクちゃんは、また熱帯魚にたずねました。
三日前からずっと雨なのです。
お外に出られない日は、ミクちゃんは、こうして熱帯魚たちとお話しをするのです。
縞模様のスマートな熱帯魚が、水草を小さな口でつついています。
「晴れたらいいのにね」
黄色の大きな熱帯魚が、ゆっくりとミクちゃんのほうに顔をむけました。
その晩、ミクちゃんは不思議な夢をみました。
『ミクちゃん、公園で遊べずにかわいそうだね』
『ボクたちが、明日、天気になるようにしてあげよう』
『うん。それは良いね』
熱帯魚たちが水槽の中で、そう話をしているのです。
話し終わった熱帯魚たちは、背びれ、胸びれ、尾びれをピンと立てると、まるでロケットのように、つぎつぎと水槽から飛び出しました。
そして、みんなで力を合わせて窓を開けると、夜空へ舞い上がっていきます。
スマートな縞模様が先頭、つぎに青い群れ、赤いペアの二匹、そしてのんびりとした黄色い熱帯魚がつづきます。
宝石のような光を放って、熱帯魚たちは雨の夜空を泳ぎました。
『あったあった』
縞模様が、お空の高いところで、破れ目を見つけました。ここから雨が流れ出しているのです。
『よーし、これで、ふさごう』
青い熱帯魚たちが、口に雲の切れ端をくわえて、破れ目のまわりにあつまりました。破れ目に雲の切れ端をつめていきます。
流れ出る雨のいきおいは弱くなりましたが、まだ完全にとまりません。
『おーい。どいたどいた』
その時、黄色の大きな熱帯魚が、流れ星をくわえてあらわれました。
お空の破れ目を、流れ星でふさぎます。
雨はぴたりととまりました。
『よかった。よかった』
熱帯魚たちはよろこび、月と星の間で、すてきなダンスを踊りはじめました。
翌朝。目が覚めたミクちゃんは、窓を開けると目を丸くしました。
すっかりと晴れているのです。うれしくなったミクちゃんは、水槽の中の熱帯魚たちにお礼を言いました。
昨日の夜に見た夢を覚えていたのです。
「ありがとう」
と、水槽の中に黄色の熱帯魚がいません。
びっくりするミクちゃんの前で、開いていた窓から、黄色の大きな熱帯魚がのんびりともどっきてました。
ポチャン!
水槽の中に帰った黄色の熱帯魚は、また、のんびりと泳ぎはじめました。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
合言葉はサンタクロース~小さな街の小さな奇跡
辻堂安古市
絵本
一人の少女が募金箱に入れた小さな善意が、次々と人から人へと繋がっていきます。
仕事仲間、家族、孤独な老人、そして子供たち。手渡された優しさは街中に広がり、いつしか一つの合言葉が生まれました。
雪の降る寒い街で、人々の心に温かな奇跡が降り積もっていく、優しさの連鎖の物語です。
うちゅうじんのかこちゃん
濃子
絵本
「かこちゃんは あきらめない」
発達ゆっくりさんのかこちゃんを、友達に笑われたお姉ちゃん
かこちゃんは変じゃないんだよ、かこちゃんはこんないいこなんだよ
ねーねと同じ みんないいこ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる