熱帯魚の修理屋さん

七倉イルカ

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熱帯魚の修理屋さん

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 「あしたは、晴れますか?」
 ミクちゃんは大きな水槽の中で泳ぐ、熱帯魚たちにむかって話しかけました。
 何匹もの青色の熱帯魚が、ダンスでもおどるように、くるくると水の中で回っています。 

 「ねえねえ、晴れますか?」
 ミクちゃんは、また熱帯魚にたずねました。
 三日前からずっと雨なのです。
 お外に出られない日は、ミクちゃんは、こうして熱帯魚たちとお話しをするのです。

 縞模様のスマートな熱帯魚が、水草を小さな口でつついています。
 「晴れたらいいのにね」
 黄色の大きな熱帯魚が、ゆっくりとミクちゃんのほうに顔をむけました。

 その晩、ミクちゃんは不思議な夢をみました。
 『ミクちゃん、公園で遊べずにかわいそうだね』
 『ボクたちが、明日、天気になるようにしてあげよう』
 『うん。それは良いね』
 熱帯魚たちが水槽の中で、そう話をしているのです。

 話し終わった熱帯魚たちは、背びれ、胸びれ、尾びれをピンと立てると、まるでロケットのように、つぎつぎと水槽から飛び出しました。 
 そして、みんなで力を合わせて窓を開けると、夜空へ舞い上がっていきます。

 スマートな縞模様が先頭、つぎに青い群れ、赤いペアの二匹、そしてのんびりとした黄色い熱帯魚がつづきます。
 宝石のような光を放って、熱帯魚たちは雨の夜空を泳ぎました。

 『あったあった』
 縞模様が、お空の高いところで、破れ目を見つけました。ここから雨が流れ出しているのです。
 『よーし、これで、ふさごう』
 青い熱帯魚たちが、口に雲の切れ端をくわえて、破れ目のまわりにあつまりました。破れ目に雲の切れ端をつめていきます。

 流れ出る雨のいきおいは弱くなりましたが、まだ完全にとまりません。
 『おーい。どいたどいた』
 その時、黄色の大きな熱帯魚が、流れ星をくわえてあらわれました。
 お空の破れ目を、流れ星でふさぎます。
 雨はぴたりととまりました。

 『よかった。よかった』
 熱帯魚たちはよろこび、月と星の間で、すてきなダンスを踊りはじめました。

 翌朝。目が覚めたミクちゃんは、窓を開けると目を丸くしました。
 すっかりと晴れているのです。うれしくなったミクちゃんは、水槽の中の熱帯魚たちにお礼を言いました。
 昨日の夜に見た夢を覚えていたのです。

 「ありがとう」
 と、水槽の中に黄色の熱帯魚がいません。
 びっくりするミクちゃんの前で、開いていた窓から、黄色の大きな熱帯魚がのんびりともどっきてました。
 ポチャン! 
 水槽の中に帰った黄色の熱帯魚は、また、のんびりと泳ぎはじめました。
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