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第102話 成人式④
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婚約の発表をしようとしたときに、盗賊の出現を報告された僕は、すぐに後ろに控えているエリス、ミヤ、マグ姉、リードに話した。折角の発表の場だと言うのに、邪魔されたことに四人共怒りを感じているらしく、顔を真っ赤にしていた。ミヤはかなり物騒なことを口走っていたが、やりかねないので宥め、エリスに預けた。マグ姉には、緊急事態に備えて、薬の準備をお願いして自警団の団員を数人付けて護衛をさせることにした。
エリスには、ミヤが落ち着いたら、眷属と共に僕と合流してほしいことを伝えてもらうことにした。僕は、リードを連れて、盗賊を監視しているライルの元に向かうことにした。リードは一旦、僕と離れ、装備品を取りに屋敷に向かった。リードの足だったら僕にすぐに追いつくだろう。
僕と団員が向かった先は、食料を備蓄している倉庫だった。その近くの森にライル達は潜伏しており、盗賊たちの監視を続けていた。
「ライル。様子はどうだ? 盗賊たちの情報を教えてくれ」
「村長さんよ。盗賊たちの規模は、30名程度。見る限り、装備も貧弱で、餓えているのか足元が覚束ない奴も何人かいたな。こいつらなら、今の戦力でも十分に制圧できる人数だ。ただ、少し奇妙なことがあってな。やつた、村に侵入してから真っ直ぐ倉庫に向かっていったんだ。土地勘があるか、倉庫の場所を知っていたか、どちらにしろ捕まえる必要があるかどうか、村長の判断を待っていたんだ。それにしても、面倒なことになってしまって申し訳ない。村の入り口をもっと厳重に守っていれば、奴らの侵入を許すことはなかった」
ライルの悔やんでいる姿を見て、僕も反省しなければならない。村の入り口にもう少し防備の設備を導入しておくべきだった。侵入を遅らせられれば、被害も少なく済んだのだから。それにしても、少し攻めづらいな。貴重な食料を握られているのはいい気分ではないな。
僕達が攻める方法を悩んでいるときに、スタシャがどこからともなく現れた。
「苦労しているようだな。祭りの食べ物と酒をホムンクルスに取り行かせたら、盗賊の話を耳にしてな。まぁ、老婆心ながら助けに来たのよ。といっても、私は戦力にならん。できるのは、ほれ。これじゃ」
そういって、カバンの中から取り出したのは一本の瓶。僕に手渡して、中身を確認しようとしたら、怒られた。
「なぜ、そうすぐに開けようとするのだ。私が許可するまで開けるな。いいか? それは眠り薬だ。とある魔獣から抽出したのだが、その魔獣はの……それはどうでもいい。この瓶を奴らの側で開けるのだ。ものの数分で夢の中というわけだ。使えそうだろ?」
僕とライルは、その手があったかと手を叩いて感心した。スタシャは、用が済んだとばかりにスタスタともと来た道を戻っていった。あとは、どうやって近づくかということだ。なかなか警戒心の強い奴らのようで、見張りもしっかりとつけている。どうにか見張りだけでも倒せないものか。
背後の藪からカサカサと聞こえだして、ビックリして振り向くと、弓矢を装備した完全武装のリードが目の前に立っていた。遅くなりましたと言って、息も乱さずに僕の横に立った。僕は、リードの武装した姿を見た。エルフの武装姿は足が美しく見えるように出来ているため、見惚れてしまう……僕は雑念を捨て、改めて見直す。弓矢か……遠距離攻撃が出来るな。そうか、狙撃だ。
「リード。あの見張りの二人をその弓矢で狙撃することは出来ないか?」
「この距離ならば、外すことはないでしょう。同時というのは難しいですが、隙を見て狙撃すれば簡単に出来ると思います」
おお頼もしい言葉だ。僕はリードの言葉を信じ、狙撃が成功したと同時に倉庫に近づき、眠り薬を使うことにした。僕達はできるだけ倉庫に近づき、リードに合図を送った。見張りの二人が反対側に移動したのを確認すると、狙撃を開始し、またたく間に二人を討ち取った。僕達はそれを確認したと同時に倉庫の風上に近づき、眠り薬の瓶の蓋を開けた。モヤモヤっとして煙が倉庫の中に吸い込まれていく。その間に、弓矢に撃たれて、うずくまっている者を拘束し、傷だけは治療しておいた。
数分が立ち、煙が霧散したのを確認した後、倉庫に突入すると、食い散らかされた後があり、食料袋を枕に30人近い男たちがいびきをかいて眠っていた。準備していた縄で、盗賊たちを拘束し、荷車に載せ、自警団本部に連行した。そのすぐ後にミヤ達が追いついてきたが、既に事が終わっていたことに、落胆していた。ミヤが眠っている盗賊たちに一矢報いようと攻撃する素振りを見せたので、僕は必死に止めた。
盗賊たちが目を覚ますのは、きっと明日になってからだろう。とりあえず、監視をライルたちに任せて、僕とミヤ、リードは会場に戻ることにした。ライルには、もし盗賊たちが思ったより早く目が覚めたら、この村を襲った経緯を聞き出すように頼んでおいた。会場に戻る道中も、ミヤの機嫌は良くなかった。リードは戦いの興奮から覚め、自分の格好が少し恥ずかしくなったのか、スカートの裾を掴んで、下に引っ張るような仕草をしていた。確かに、ちょっと露出多めだもんね。僕は好きだから、そのままの格好で会場入りをすることにした。
マグ姉は薬局の方に向かっていたが、途中で問題が解決をしたことを知って、すぐに会場の方に戻ってきた。僕達のほうが随分先に会場に戻っていたので、村人に経緯を説明し、解決したことを報告すると、中断していた宴会を再開した。マグ姉と合流すると、先程の続きをするため、舞台に上がり、婚約の発表をした。
報告を聞いた村人たちは、急な報告に驚いている者、露骨に落胆する者、ニヤニヤしている者、様々な表情をしていた。それでも最後は、祝福の声が上がり、大団円となる予定だった。大きな拍手に包まれる中、二人が舞台に上がってきた。さっきまで見なかったルドとマリーヌだ。二人は手をつなぎ、真剣な表情で僕に近づいてきた。
ルドは僕の方をじっと見つめている。マリーヌは少し俯いていた。僕はちらっとマリーヌの方を見ると、何か違和感を感じた。そう、彼女の左手に光り輝く指輪がはめていたのだ。このような輝きをするのはアウーディア石で間違いない。ルドは彼女にそれを贈ったのか。僕が指輪に気付いたことに、ルドは察したようで、コクリと頷いた。僕もルドの言いたいことを察し、頷いた。ルドは、村人の方を向き、マリーヌとの婚約を発表したのだ。
これには、村人たちもどう反応して良いのか分からなかった様子だが、マグ姉が一番に拍手をして祝いの言葉を掛けると、それにつられて村人を拍手をしだした。そうすると、村人の間で動きが起きた。なんと、何組ものカップルが舞台に上がりだし、思い思いに村人に婚約発表をしだした。中には、すでにお腹が大きな人もいたぞ。
なぜだか、これ以降成人式で婚約発表をするという奇妙な儀式が出来てしまった。今年は、僕達の結婚式をやる予定だが、もっと多くのカップルも結婚式を上げることになりそうだな。また、祭りになりそうだ。これは、結婚式が楽しみになってきたな。
僕は、その夜、はじめて自分の意志でエリス、ミヤ、マグ姉、リードとベッドを共にした。リリがいるといつも滅茶苦茶だったが、いなくても、それなりに滅茶苦茶になった。……そういえば、リリは成人式に来るって話はどうなったんだ? まぁ、いいか。
エリスには、ミヤが落ち着いたら、眷属と共に僕と合流してほしいことを伝えてもらうことにした。僕は、リードを連れて、盗賊を監視しているライルの元に向かうことにした。リードは一旦、僕と離れ、装備品を取りに屋敷に向かった。リードの足だったら僕にすぐに追いつくだろう。
僕と団員が向かった先は、食料を備蓄している倉庫だった。その近くの森にライル達は潜伏しており、盗賊たちの監視を続けていた。
「ライル。様子はどうだ? 盗賊たちの情報を教えてくれ」
「村長さんよ。盗賊たちの規模は、30名程度。見る限り、装備も貧弱で、餓えているのか足元が覚束ない奴も何人かいたな。こいつらなら、今の戦力でも十分に制圧できる人数だ。ただ、少し奇妙なことがあってな。やつた、村に侵入してから真っ直ぐ倉庫に向かっていったんだ。土地勘があるか、倉庫の場所を知っていたか、どちらにしろ捕まえる必要があるかどうか、村長の判断を待っていたんだ。それにしても、面倒なことになってしまって申し訳ない。村の入り口をもっと厳重に守っていれば、奴らの侵入を許すことはなかった」
ライルの悔やんでいる姿を見て、僕も反省しなければならない。村の入り口にもう少し防備の設備を導入しておくべきだった。侵入を遅らせられれば、被害も少なく済んだのだから。それにしても、少し攻めづらいな。貴重な食料を握られているのはいい気分ではないな。
僕達が攻める方法を悩んでいるときに、スタシャがどこからともなく現れた。
「苦労しているようだな。祭りの食べ物と酒をホムンクルスに取り行かせたら、盗賊の話を耳にしてな。まぁ、老婆心ながら助けに来たのよ。といっても、私は戦力にならん。できるのは、ほれ。これじゃ」
そういって、カバンの中から取り出したのは一本の瓶。僕に手渡して、中身を確認しようとしたら、怒られた。
「なぜ、そうすぐに開けようとするのだ。私が許可するまで開けるな。いいか? それは眠り薬だ。とある魔獣から抽出したのだが、その魔獣はの……それはどうでもいい。この瓶を奴らの側で開けるのだ。ものの数分で夢の中というわけだ。使えそうだろ?」
僕とライルは、その手があったかと手を叩いて感心した。スタシャは、用が済んだとばかりにスタスタともと来た道を戻っていった。あとは、どうやって近づくかということだ。なかなか警戒心の強い奴らのようで、見張りもしっかりとつけている。どうにか見張りだけでも倒せないものか。
背後の藪からカサカサと聞こえだして、ビックリして振り向くと、弓矢を装備した完全武装のリードが目の前に立っていた。遅くなりましたと言って、息も乱さずに僕の横に立った。僕は、リードの武装した姿を見た。エルフの武装姿は足が美しく見えるように出来ているため、見惚れてしまう……僕は雑念を捨て、改めて見直す。弓矢か……遠距離攻撃が出来るな。そうか、狙撃だ。
「リード。あの見張りの二人をその弓矢で狙撃することは出来ないか?」
「この距離ならば、外すことはないでしょう。同時というのは難しいですが、隙を見て狙撃すれば簡単に出来ると思います」
おお頼もしい言葉だ。僕はリードの言葉を信じ、狙撃が成功したと同時に倉庫に近づき、眠り薬を使うことにした。僕達はできるだけ倉庫に近づき、リードに合図を送った。見張りの二人が反対側に移動したのを確認すると、狙撃を開始し、またたく間に二人を討ち取った。僕達はそれを確認したと同時に倉庫の風上に近づき、眠り薬の瓶の蓋を開けた。モヤモヤっとして煙が倉庫の中に吸い込まれていく。その間に、弓矢に撃たれて、うずくまっている者を拘束し、傷だけは治療しておいた。
数分が立ち、煙が霧散したのを確認した後、倉庫に突入すると、食い散らかされた後があり、食料袋を枕に30人近い男たちがいびきをかいて眠っていた。準備していた縄で、盗賊たちを拘束し、荷車に載せ、自警団本部に連行した。そのすぐ後にミヤ達が追いついてきたが、既に事が終わっていたことに、落胆していた。ミヤが眠っている盗賊たちに一矢報いようと攻撃する素振りを見せたので、僕は必死に止めた。
盗賊たちが目を覚ますのは、きっと明日になってからだろう。とりあえず、監視をライルたちに任せて、僕とミヤ、リードは会場に戻ることにした。ライルには、もし盗賊たちが思ったより早く目が覚めたら、この村を襲った経緯を聞き出すように頼んでおいた。会場に戻る道中も、ミヤの機嫌は良くなかった。リードは戦いの興奮から覚め、自分の格好が少し恥ずかしくなったのか、スカートの裾を掴んで、下に引っ張るような仕草をしていた。確かに、ちょっと露出多めだもんね。僕は好きだから、そのままの格好で会場入りをすることにした。
マグ姉は薬局の方に向かっていたが、途中で問題が解決をしたことを知って、すぐに会場の方に戻ってきた。僕達のほうが随分先に会場に戻っていたので、村人に経緯を説明し、解決したことを報告すると、中断していた宴会を再開した。マグ姉と合流すると、先程の続きをするため、舞台に上がり、婚約の発表をした。
報告を聞いた村人たちは、急な報告に驚いている者、露骨に落胆する者、ニヤニヤしている者、様々な表情をしていた。それでも最後は、祝福の声が上がり、大団円となる予定だった。大きな拍手に包まれる中、二人が舞台に上がってきた。さっきまで見なかったルドとマリーヌだ。二人は手をつなぎ、真剣な表情で僕に近づいてきた。
ルドは僕の方をじっと見つめている。マリーヌは少し俯いていた。僕はちらっとマリーヌの方を見ると、何か違和感を感じた。そう、彼女の左手に光り輝く指輪がはめていたのだ。このような輝きをするのはアウーディア石で間違いない。ルドは彼女にそれを贈ったのか。僕が指輪に気付いたことに、ルドは察したようで、コクリと頷いた。僕もルドの言いたいことを察し、頷いた。ルドは、村人の方を向き、マリーヌとの婚約を発表したのだ。
これには、村人たちもどう反応して良いのか分からなかった様子だが、マグ姉が一番に拍手をして祝いの言葉を掛けると、それにつられて村人を拍手をしだした。そうすると、村人の間で動きが起きた。なんと、何組ものカップルが舞台に上がりだし、思い思いに村人に婚約発表をしだした。中には、すでにお腹が大きな人もいたぞ。
なぜだか、これ以降成人式で婚約発表をするという奇妙な儀式が出来てしまった。今年は、僕達の結婚式をやる予定だが、もっと多くのカップルも結婚式を上げることになりそうだな。また、祭りになりそうだ。これは、結婚式が楽しみになってきたな。
僕は、その夜、はじめて自分の意志でエリス、ミヤ、マグ姉、リードとベッドを共にした。リリがいるといつも滅茶苦茶だったが、いなくても、それなりに滅茶苦茶になった。……そういえば、リリは成人式に来るって話はどうなったんだ? まぁ、いいか。
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