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五章
(6)初めての恋人2※
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入浴後の濡れた正真の肌や髪を、高成がタオルで拭いてくれている。
あまりに優しく丁寧だから、自分の体がまるで、傷がつきやすいクリスタルガラスみたいな気がしてくる。
くすぐったくて身を引くと、風邪を引きますよと叱るくせに、高成自身は濡れ髪と裸体をさらしたままだ。
「長風呂になってしまいましたけど、のぼせてませんか」
「大丈夫。全然、平気だよ」
体は確かに熱いけど、気分は悪くない。
でも、汗をかいたせいですごく喉が渇いていた。なにか飲み物、出来れば部屋に残っている、ぬるくなったペットボトルの中身ではなく、冷蔵庫にある新しい水が飲みたい。
「あとは自分で拭くよ。それより、のどが渇いた……」
「お水でいいですか?」
うなずくと、正真をバスタオルでくるりと巻いてから、高成が立ち上がる。
冷たいの、と言わなくても察してくれた。慣れた足取りでキッチンの方に進んでいく。
「すぐですから、さきに部屋に戻っていてください」
*
高成と一緒に浴室に入り、よく泡立てたボディソープを高成の手のひらで撫で付けられただけで、正真はあっけなく達してしまった。
自分自身でも信じられないくらい、いきなりの絶頂だった。すっきりとした感覚に身震いした先で、屈んでいた高成は正面から受けて、顔を拭っていた。
「気にしないでいいですよ。一週間、また健気にテスト勉強ばかりして、たくさん我慢していたんでしょう?」
恥ずかしくて泣きそうになるのを、高成になだめられながら洗い上げられた。
高成は正真を湯を張ったバスタブに送り、今はもう自分の体を洗いはじめている。
本当は交替して正真が洗ってあげるつもりだったのに、羞恥心から必要ない言い訳ばかりしていたせいで、言う機会を逃した。
心を落ち着かせながら、バスタブにもたれて、高成がこちらに来るのをじっと待つ。天井に埋め込まれた6個のダウンライトが、高成の肌を柔らかく照らしている。
(高成さんって、俺よりも肌が白いかも……)
正真の肌も白いけど、夏になって日焼けした。高成は仕事柄あまり外に出ないのか、透けそうなほど、白いままだ。
かと言って弱々しい印象はない。
普段は細身で華奢に見えるけれど、やはり正真よりずっと身長が高いし、服を脱ぐと、細いながらも骨格はがっしりとしていて、とても凛々しい。
──そしてなにより高成の体の中心が、自分は立派な、強い雄なのだと主張している。生々しい証が足の間で見え隠れするたび、正真の心臓は大きく波打っていた。
脱衣所で服を脱いだときから、高成も正真に負けず十分に勃起していた。頭の部分はきれいなピンク色で、丸々と膨れて分厚そうだし、その下のくびれは立派に張り出している。
子供の頃ならともかく、高校生にもなると、他人の裸を見ることなんてそうそうない。それも大人の男性の体つきとなると、普通がどれくらいか分からない。
だけど、高成のそれは、ずいぶん大きいと思う。
(俺のお尻、指が入るだけでぎゅうぎゅうになってたのに、あんなの入るの……)
何度飲み下しても、すぐに口のなかに唾液が溜まる。ごくりと喉が鳴ったのが聞こえたのか、高成が振り向いた。
「退屈そうですね。待たせてごめんなさい、もう終わりますから」
「っ……ううん、別にっ。気にしないでゆっくりして……」
目を合わせるのが気まずくて、顔を背けてお湯に肩まで浸かりなおす。何か声をかけられた気がしたのも、ブクブクと水面に唇であぶくを作って、かき消した。
(いまさら、怖いなんて言えないよな。高成さんをがっかりさせる……)
部屋に戻ったらどうなるのか。具体的なことを考えると怖いけれど、覚悟を決めないといけなかった。
この一ヶ月、高成からの奉仕を正真は受け取るばかりで、お返しをしていない。夜に家に呼びつけて、身も心も甘えさせてもらっておきながら、高成からの誘いには、このあとも勉強があるの、と子供っぽい顔を向けて、逃げていた。
でもさいきん断るときに、高成が唇を噛む。
その顔を見たら、怖くなった。このままお返しをしなかったら、きっとすぐに嫌われてしまう。
やがて高成もすらりと立ち上がり、静かに湯に入ってきた。
向かい合わせに座り、正真の機嫌を伺うように、笑みを向けてくる。
「せっかく広いお風呂なのに、隅っこに縮こまっちゃって。……緊張してますか?」
「うん……」
素直にうなずくと、高成は笑みを深めた。
「私も同じです。また正真くんに幻滅されたらどうしようって、不安で……」
高成の手がそっと伸びてくる。濡れた前髪を優しくかきあげられ、抱き合ってキスをした。
あまりに優しく丁寧だから、自分の体がまるで、傷がつきやすいクリスタルガラスみたいな気がしてくる。
くすぐったくて身を引くと、風邪を引きますよと叱るくせに、高成自身は濡れ髪と裸体をさらしたままだ。
「長風呂になってしまいましたけど、のぼせてませんか」
「大丈夫。全然、平気だよ」
体は確かに熱いけど、気分は悪くない。
でも、汗をかいたせいですごく喉が渇いていた。なにか飲み物、出来れば部屋に残っている、ぬるくなったペットボトルの中身ではなく、冷蔵庫にある新しい水が飲みたい。
「あとは自分で拭くよ。それより、のどが渇いた……」
「お水でいいですか?」
うなずくと、正真をバスタオルでくるりと巻いてから、高成が立ち上がる。
冷たいの、と言わなくても察してくれた。慣れた足取りでキッチンの方に進んでいく。
「すぐですから、さきに部屋に戻っていてください」
*
高成と一緒に浴室に入り、よく泡立てたボディソープを高成の手のひらで撫で付けられただけで、正真はあっけなく達してしまった。
自分自身でも信じられないくらい、いきなりの絶頂だった。すっきりとした感覚に身震いした先で、屈んでいた高成は正面から受けて、顔を拭っていた。
「気にしないでいいですよ。一週間、また健気にテスト勉強ばかりして、たくさん我慢していたんでしょう?」
恥ずかしくて泣きそうになるのを、高成になだめられながら洗い上げられた。
高成は正真を湯を張ったバスタブに送り、今はもう自分の体を洗いはじめている。
本当は交替して正真が洗ってあげるつもりだったのに、羞恥心から必要ない言い訳ばかりしていたせいで、言う機会を逃した。
心を落ち着かせながら、バスタブにもたれて、高成がこちらに来るのをじっと待つ。天井に埋め込まれた6個のダウンライトが、高成の肌を柔らかく照らしている。
(高成さんって、俺よりも肌が白いかも……)
正真の肌も白いけど、夏になって日焼けした。高成は仕事柄あまり外に出ないのか、透けそうなほど、白いままだ。
かと言って弱々しい印象はない。
普段は細身で華奢に見えるけれど、やはり正真よりずっと身長が高いし、服を脱ぐと、細いながらも骨格はがっしりとしていて、とても凛々しい。
──そしてなにより高成の体の中心が、自分は立派な、強い雄なのだと主張している。生々しい証が足の間で見え隠れするたび、正真の心臓は大きく波打っていた。
脱衣所で服を脱いだときから、高成も正真に負けず十分に勃起していた。頭の部分はきれいなピンク色で、丸々と膨れて分厚そうだし、その下のくびれは立派に張り出している。
子供の頃ならともかく、高校生にもなると、他人の裸を見ることなんてそうそうない。それも大人の男性の体つきとなると、普通がどれくらいか分からない。
だけど、高成のそれは、ずいぶん大きいと思う。
(俺のお尻、指が入るだけでぎゅうぎゅうになってたのに、あんなの入るの……)
何度飲み下しても、すぐに口のなかに唾液が溜まる。ごくりと喉が鳴ったのが聞こえたのか、高成が振り向いた。
「退屈そうですね。待たせてごめんなさい、もう終わりますから」
「っ……ううん、別にっ。気にしないでゆっくりして……」
目を合わせるのが気まずくて、顔を背けてお湯に肩まで浸かりなおす。何か声をかけられた気がしたのも、ブクブクと水面に唇であぶくを作って、かき消した。
(いまさら、怖いなんて言えないよな。高成さんをがっかりさせる……)
部屋に戻ったらどうなるのか。具体的なことを考えると怖いけれど、覚悟を決めないといけなかった。
この一ヶ月、高成からの奉仕を正真は受け取るばかりで、お返しをしていない。夜に家に呼びつけて、身も心も甘えさせてもらっておきながら、高成からの誘いには、このあとも勉強があるの、と子供っぽい顔を向けて、逃げていた。
でもさいきん断るときに、高成が唇を噛む。
その顔を見たら、怖くなった。このままお返しをしなかったら、きっとすぐに嫌われてしまう。
やがて高成もすらりと立ち上がり、静かに湯に入ってきた。
向かい合わせに座り、正真の機嫌を伺うように、笑みを向けてくる。
「せっかく広いお風呂なのに、隅っこに縮こまっちゃって。……緊張してますか?」
「うん……」
素直にうなずくと、高成は笑みを深めた。
「私も同じです。また正真くんに幻滅されたらどうしようって、不安で……」
高成の手がそっと伸びてくる。濡れた前髪を優しくかきあげられ、抱き合ってキスをした。
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