ひみつは指で潰してしまえ

nuka

文字の大きさ
上 下
28 / 57
五章

(6)初めての恋人2※

しおりを挟む
 入浴後の濡れた正真の肌や髪を、高成がタオルで拭いてくれている。
 あまりに優しく丁寧だから、自分の体がまるで、傷がつきやすいクリスタルガラスみたいな気がしてくる。
 くすぐったくて身を引くと、風邪を引きますよと叱るくせに、高成自身は濡れ髪と裸体をさらしたままだ。

「長風呂になってしまいましたけど、のぼせてませんか」
「大丈夫。全然、平気だよ」
 体は確かに熱いけど、気分は悪くない。
 でも、汗をかいたせいですごく喉が渇いていた。なにか飲み物、出来れば部屋に残っている、ぬるくなったペットボトルの中身ではなく、冷蔵庫にある新しい水が飲みたい。
「あとは自分で拭くよ。それより、のどが渇いた……」
「お水でいいですか?」
 うなずくと、正真をバスタオルでくるりと巻いてから、高成が立ち上がる。
 冷たいの、と言わなくても察してくれた。慣れた足取りでキッチンの方に進んでいく。
「すぐですから、さきに部屋に戻っていてください」

 *

 高成と一緒に浴室に入り、よく泡立てたボディソープを高成の手のひらで撫で付けられただけで、正真はあっけなく達してしまった。
 自分自身でも信じられないくらい、いきなりの絶頂だった。すっきりとした感覚に身震いした先で、屈んでいた高成は正面から受けて、顔を拭っていた。

「気にしないでいいですよ。一週間、また健気にテスト勉強ばかりして、たくさん我慢していたんでしょう?」

 恥ずかしくて泣きそうになるのを、高成になだめられながら洗い上げられた。
 高成は正真を湯を張ったバスタブに送り、今はもう自分の体を洗いはじめている。
 本当は交替して正真が洗ってあげるつもりだったのに、羞恥心から必要ない言い訳ばかりしていたせいで、言う機会を逃した。

 心を落ち着かせながら、バスタブにもたれて、高成がこちらに来るのをじっと待つ。天井に埋め込まれた6個のダウンライトが、高成の肌を柔らかく照らしている。

(高成さんって、俺よりも肌が白いかも……)
 正真の肌も白いけど、夏になって日焼けした。高成は仕事柄あまり外に出ないのか、透けそうなほど、白いままだ。
 かと言って弱々しい印象はない。
 普段は細身で華奢に見えるけれど、やはり正真よりずっと身長が高いし、服を脱ぐと、細いながらも骨格はがっしりとしていて、とても凛々しい。

 ──そしてなにより高成の体の中心が、自分は立派な、強い雄なのだと主張している。生々しい証が足の間で見え隠れするたび、正真の心臓は大きく波打っていた。

 脱衣所で服を脱いだときから、高成も正真に負けず十分に勃起していた。頭の部分はきれいなピンク色で、丸々と膨れて分厚そうだし、その下のくびれは立派に張り出している。

 子供の頃ならともかく、高校生にもなると、他人の裸を見ることなんてそうそうない。それも大人の男性の体つきとなると、普通がどれくらいか分からない。
 だけど、高成のそれは、ずいぶん大きいと思う。

(俺のお尻、指が入るだけでぎゅうぎゅうになってたのに、あんなの入るの……)
 何度飲み下しても、すぐに口のなかに唾液が溜まる。ごくりと喉が鳴ったのが聞こえたのか、高成が振り向いた。

「退屈そうですね。待たせてごめんなさい、もう終わりますから」
「っ……ううん、別にっ。気にしないでゆっくりして……」
 目を合わせるのが気まずくて、顔を背けてお湯に肩まで浸かりなおす。何か声をかけられた気がしたのも、ブクブクと水面に唇であぶくを作って、かき消した。

(いまさら、怖いなんて言えないよな。高成さんをがっかりさせる……)
 部屋に戻ったらどうなるのか。具体的なことを考えると怖いけれど、覚悟を決めないといけなかった。
 この一ヶ月、高成からの奉仕を正真は受け取るばかりで、お返しをしていない。夜に家に呼びつけて、身も心も甘えさせてもらっておきながら、高成からの誘いには、このあとも勉強があるの、と子供っぽい顔を向けて、逃げていた。
 でもさいきん断るときに、高成が唇を噛む。
 その顔を見たら、怖くなった。このままお返しをしなかったら、きっとすぐに嫌われてしまう。


 やがて高成もすらりと立ち上がり、静かに湯に入ってきた。
 向かい合わせに座り、正真の機嫌を伺うように、笑みを向けてくる。
「せっかく広いお風呂なのに、隅っこに縮こまっちゃって。……緊張してますか?」
「うん……」
 素直にうなずくと、高成は笑みを深めた。
「私も同じです。また正真くんに幻滅されたらどうしようって、不安で……」
 高成の手がそっと伸びてくる。濡れた前髪を優しくかきあげられ、抱き合ってキスをした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

手作りが食べられない男の子の話

こじらせた処女
BL
昔料理に媚薬を仕込まれ犯された経験から、コンビニ弁当などの封のしてあるご飯しか食べられなくなった高校生の話

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

変態村♂〜俺、やられます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。 そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。 暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。 必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。 その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。 果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

処理中です...