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12話

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俺たちはエマの家に来ている。
そこで、エマの普段とは違う可愛らしい一面を見れて満足している俺だった。





「エマよ。元気にしていたかい?」

「元気にしてたよ!パパ」

久しぶりの再会を喜んでいるようだった。
そして、何気ない父と娘の会話が続いている。
俺とアリスはそれを聞き、凄く暖かな気持ちになっていた。

「ところでエマ。そこの御二方を紹介しておくれ」

「・・・御二方?」

エマはゆっくりとこちらを見た。
凄い顔をしている。
どうやら、我にかえったようだ。
俺とアリスはエマに温かい視線を送っていた。
・・・すると、

「い、い、今のこと忘れてください!!!!!」

凄く焦っているようだった。

「いいじゃないの。小さい子供みたいで可愛かったぞ」

「そうですよ、エマさん!」

俺とアリスは温かい視線を送り続けた。
次第にエマの顔がトマトのように赤く染まっているのが分かる。

「お、お願いだから本当に忘れてください!!!!!」

と、エマは言ってくるが俺とアリスは口を揃えて
「無理です!」
と、答えた。

当然、忘れるはずがない。
だって、こんなエマの姿見たくても普段は見れないからね。
トマトのように赤く染まっているエマを見て俺とアリスはニコニコ・・・いや、ニヤニヤしていた。

すると、

「エマよ。見られたものは仕方がない。だから、その御二方の紹介をしておくれ」

と、エマの父親が言った。

「分かりました。パパ・・・お父様が言うのであれば」

ん!?今、言い直したよね!!!?ね!!!

「右からタケル、アリスです。私のパーティーメンバーです」

「そうかいそうかい。あのエマに仲間が出来るなんて私は嬉しい限りだ」

エマの父親も嬉し泣きをした。

「もう、パ・・・お父様、泣かないでよ!」

エマのやつ、また言い直したぞ!!!
素直に「パパ」と言えばいいじゃないか!!!
そっちの方が可愛げがあるのに!!!
俺はそう思っていた。

「すまないね。では、私の自己紹介でもしようか。私はグラン=ヴィクトリアだ。この〈テリーヌの街〉を治めている」

この〈テリーヌの街〉を治めている!?!?
エマの父親、すげぇぇええ!!!まじすげぇぇええ!!!
じゃあ、目の前にいるグランさんはこ、国王様ってこと!?!?!?
そうなると、エマは・・・お、お、王女様!?!?!?
俺はびっくりして腰が抜けそうになった。

マジやばいよ・・・。
エマと初めて会った時、胸を何度も揉んじゃったよ・・・。
もし、これがバレたら、俺、死刑!?!?
俺は急に焦りだした。

どうしよう、どうしよう・・・、と思っていると、

「タケルくんとアリスさん、一緒に食事でもどうだ?」

と、グランさんから食事の誘いを受けた。

しょ、食事!?!?
きっと、豪華なものが沢山出てくるのだろう。
俺は想像しながら、ヨダレを垂らした。

・・・いやいや、ここでOKを出したら死亡フラグだ。
なんとしても断らなければ。

しかし、豪華な食事か。食べたい、食べた過ぎる...!!!
それに、エマの意外な一面を聞けるかもしれない。
だが、出会った経緯を聞かれることは避けられないだろう。その時は「死」あるのみだ。
んー、どうしたものか・・・。

俺は自分の中の自分に葛藤した。

そして、断ることにした。
不本意だが。

「ひ、久しぶりの家族団欒を邪魔してはいけないですし、俺とアリスは遠慮しておきます。な、アリス」

「え?」

「えっ?ってなに」

「私は食事に参加しようかと」

その時、俺は全身から滝のように汗が流れた。
きっと、「死」を悟ったからだろう。

「ほら、アリスさんもそう言ってることだし食事でもしようか」

「・・・はい」

チ、チクショー!!!!!
結局、断れず食事をすることになった。


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