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序章 パンケーキ

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「というわけで、おまえさんは死んでしまった」
「草」
 ウチ、関口 王冠姫(てぃあら)は、今、雲の上に座って、マジ神様って感じの人とちゃぶ台越しに話をしてる。
「本当に申し訳ない。完全にこちらの不手際で、事故的におまえさんは死んでしまったんじゃ」
「草越して森。愛螺(あいら)たちとタピる予定だったんだけど」
 ウチは愛螺たちとシブヤの超人気タピオカ店「ティータイ」の行列に三十分くらい並んだところ、なんか死んだのだ。
「小さな隕石がおまえさんの頭に振ってきたんじゃよ。超高速物体の衝撃に、おまえさんは死んだことすら気づかなかったろう」
「それな」
 マジそれだった。
「か~ら~の~?」
 ウチは手を叩き、神様爺さんを上目遣いに見つめる。
「む……か、からの?」
「か~ら~の~」
 もっかい手を叩くと、神様爺さんはキョドリながら言った。
「う、うむ、アレは本来、大気圏で消滅するはずだった隕石。死んでしまったのはこちらの運命操作ミスじゃ。すぐにおまえさんを異世界転生させよう」
「ウケる」
 異世界転生って最近オタクの間で流行ってるアニメかなんかだ。ゆーて、女の子の絵がドチャクソかわいいので、嫌いじゃない。
「ついてはのぉ、こちらの責任を考慮してチート能力をおまえさんに授けておこうと思うんじゃ」
「なに、そのパワーワード」
「その通り。パワーじゃ。おまえさんにパワーを授ける」
「ジワる。要らないんだけど」
 タピオカとパンケーキとマニキュアをインスタ映えして撮れる力のが大事。
「要らないって言っても……おまえさんそのまま転生したら絶対死ぬぞい。瞬殺」
「あーね。でも、マジで要らない」
「せめて現地の環境への耐性とか言語力とか……」
「あーね」
 ウチは聞いてなかった。
「ワシにはな、おまえさんくらいの孫娘がおるんじゃ……。このまま送り出すのはあまりに忍びない。よし、こうしよう。最低限必要な耐性とかに加え……『好きな時に願いを一度だけ叶える力』を与えておく。よく考えて使うんじゃぞ」
「タピるわ」
「マジ卍」
 ウチは秒で異世界に転生した。
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