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4*コイツ、俺のやから
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本当に、何勝手に言ってくれてるのよ!
誤解でもされたら、大変じゃない!
「……でも、水嶋はお前とはただの幼なじみだっつってたぜ?」
あからさまに顔をしかめて、相原くんはこうちゃんを睨み付ける。
「まぁそう思いたければ、そう思っとったらええやん。じゃあな」
こうちゃんは声のトーンとは真逆に軽やかに相原くんに手を振ると、あたしの手首をグイグイ引っ張って教室をあとにした。
「……こうちゃん! こうちゃんってば!」
あたしの手を離さずに、校門まであたしを連れて出るこうちゃん。
ただでさえ部活動やらで残ってる生徒たちがあたしたちに気づいて視線を注いでいる中、あたしはこれ以上注目を浴びたくなくてここまで黙ってついてきた。
ようやく校門を数歩出て、生徒たちの視線から免れたところであたしはこうちゃんを呼び止めた。
あたしの手をつかんだまま、あたしの一歩前を歩くこうちゃんはくるりとこちらを振り返ると、
「なんや?」
と何事もなかったかのように首をかしげてくる。
「なんや? じゃなくて、手! それに、相原くんにだってあんな言い方したら怒るに決まってるでしょ!?」
手伝ってくれたのは感謝してるけど、相原くんに喧嘩売るみたいなことを言って、一体何がしたいのよ!
「まぁええやん」
だけど、こうちゃんはあたしをつかんだままの手元を見下ろすと、今度は優しくあたしの手をつなぎ直して歩き出す。
いやいやいや、ちっとも良くないから!
ふわりとこうちゃんの大きな手に包まれたあたしの手。
ドキドキしている場合じゃないのに早まる鼓動に、イライラする。
「ちょっと! こ、こうちゃん!」
「なんや大声出して。聞こえとるわ」
あたしが思いっきり声を張り上げたからか、再びこちらを向いたこうちゃんは少し顔をしかめていた。
「最後のも、良くないと思う……。あんなこと言って、相原くんが誤解でもしたら……」
コイツ、俺のやから。だなんて。
冗談でも、言って良いことと悪いこととあるじゃない。
するとこうちゃんのしかめっ面が、あからさまに不機嫌な顔へと変わっていく。
そして、真横に見えていた塀にあたしを閉じ込めるように迫ってきた。
相変わらずつながれたままの右手と、それとは反対側の肘を塀について、あたしの上に影を作るこうちゃんの身体。
背中に触れる、ざらついた塀の感触。
見上げると、間近にこうちゃんの顔が見えた。
だけどその顔は、相変わらず不機嫌さを醸し出していて……。
「な、なによ」
何で、こうちゃんが怒るのよ!
あんなこと言われて、こっちが怒りたいくらいなのに……っ!
「……相原のこと、好きなんか?」
「はぁ!? 何でそうなるのよ」
「相原に誤解されたら困るんやろ?」
「いや、そういう問題じゃなくて、相手が相原くんであろうとなかろうと、ああいう思わせ振りなことは言わないで!」
「思わせ振り、な……」
だけど、どこか考えるような、寂しげな表情を見せるこうちゃん。
ああ、もう、こうちゃんには何て言ったら伝わるのよ……。
「まぁ、ちぃが何を思ってるのかはわからへんけど、相原はやめときな? ムカつくから」
「なにそれ」
相原くんがムカつく、って。
間違いなくそれはこうちゃんの本心なんだろうけど……。
何を言っても的を得ないようなことばかり返してくるこうちゃんに、思わずため息が零れる。
すると、
「……ひゃっ」
ふわりと前髪を上げられたかと思えば、額に何かが押し付けられるような感覚が走る。
つながれたままの手は、きゅっと握られていて。
おでこにチューされたんだってことがわかったのは、こうちゃんの顔があたしから離れて数秒経ってからだった。
そのまま素知らぬ顔をして、再びあたしの手を引いて歩こうとするこうちゃん。
「な、ななな……っ!」
あたしが思わずその手を引いて立ち止まると、こうちゃんはくるりと振り向いて、ほっぺたの腫れを指して意地悪く笑った。
「昨日の仕返しや」
「はぁぁぁぁあ!?」
なにそれ! なにそれなにそれ!!
こうちゃんだって、あたしの裸、見たくせに!!
だけど、そんなことをこんな道端で叫ぶわけにもいかず、こうちゃんのヘラっとした笑顔を睨み付けていると。
「あーあ。またこんなとこシワ寄せて。可愛い顔もブサイクになってんで?」
おかしそうにこうちゃんはそう言って、あたしの眉間を指でつついた。
「だ、誰がブサイクよ! 誰のせいでこんな顔になってると思ってんのよ!」
「ハハッ! ブサイクが余計にしわくちゃになったわ」
こいつめ!
さらにきつく睨んだところで、こうちゃんは笑ってばかりで。
どういうわけかつながれたままの手も、じたばたしたところで何の影響もなく、結局家に着くまで離してもらえなかった。
誤解でもされたら、大変じゃない!
「……でも、水嶋はお前とはただの幼なじみだっつってたぜ?」
あからさまに顔をしかめて、相原くんはこうちゃんを睨み付ける。
「まぁそう思いたければ、そう思っとったらええやん。じゃあな」
こうちゃんは声のトーンとは真逆に軽やかに相原くんに手を振ると、あたしの手首をグイグイ引っ張って教室をあとにした。
「……こうちゃん! こうちゃんってば!」
あたしの手を離さずに、校門まであたしを連れて出るこうちゃん。
ただでさえ部活動やらで残ってる生徒たちがあたしたちに気づいて視線を注いでいる中、あたしはこれ以上注目を浴びたくなくてここまで黙ってついてきた。
ようやく校門を数歩出て、生徒たちの視線から免れたところであたしはこうちゃんを呼び止めた。
あたしの手をつかんだまま、あたしの一歩前を歩くこうちゃんはくるりとこちらを振り返ると、
「なんや?」
と何事もなかったかのように首をかしげてくる。
「なんや? じゃなくて、手! それに、相原くんにだってあんな言い方したら怒るに決まってるでしょ!?」
手伝ってくれたのは感謝してるけど、相原くんに喧嘩売るみたいなことを言って、一体何がしたいのよ!
「まぁええやん」
だけど、こうちゃんはあたしをつかんだままの手元を見下ろすと、今度は優しくあたしの手をつなぎ直して歩き出す。
いやいやいや、ちっとも良くないから!
ふわりとこうちゃんの大きな手に包まれたあたしの手。
ドキドキしている場合じゃないのに早まる鼓動に、イライラする。
「ちょっと! こ、こうちゃん!」
「なんや大声出して。聞こえとるわ」
あたしが思いっきり声を張り上げたからか、再びこちらを向いたこうちゃんは少し顔をしかめていた。
「最後のも、良くないと思う……。あんなこと言って、相原くんが誤解でもしたら……」
コイツ、俺のやから。だなんて。
冗談でも、言って良いことと悪いこととあるじゃない。
するとこうちゃんのしかめっ面が、あからさまに不機嫌な顔へと変わっていく。
そして、真横に見えていた塀にあたしを閉じ込めるように迫ってきた。
相変わらずつながれたままの右手と、それとは反対側の肘を塀について、あたしの上に影を作るこうちゃんの身体。
背中に触れる、ざらついた塀の感触。
見上げると、間近にこうちゃんの顔が見えた。
だけどその顔は、相変わらず不機嫌さを醸し出していて……。
「な、なによ」
何で、こうちゃんが怒るのよ!
あんなこと言われて、こっちが怒りたいくらいなのに……っ!
「……相原のこと、好きなんか?」
「はぁ!? 何でそうなるのよ」
「相原に誤解されたら困るんやろ?」
「いや、そういう問題じゃなくて、相手が相原くんであろうとなかろうと、ああいう思わせ振りなことは言わないで!」
「思わせ振り、な……」
だけど、どこか考えるような、寂しげな表情を見せるこうちゃん。
ああ、もう、こうちゃんには何て言ったら伝わるのよ……。
「まぁ、ちぃが何を思ってるのかはわからへんけど、相原はやめときな? ムカつくから」
「なにそれ」
相原くんがムカつく、って。
間違いなくそれはこうちゃんの本心なんだろうけど……。
何を言っても的を得ないようなことばかり返してくるこうちゃんに、思わずため息が零れる。
すると、
「……ひゃっ」
ふわりと前髪を上げられたかと思えば、額に何かが押し付けられるような感覚が走る。
つながれたままの手は、きゅっと握られていて。
おでこにチューされたんだってことがわかったのは、こうちゃんの顔があたしから離れて数秒経ってからだった。
そのまま素知らぬ顔をして、再びあたしの手を引いて歩こうとするこうちゃん。
「な、ななな……っ!」
あたしが思わずその手を引いて立ち止まると、こうちゃんはくるりと振り向いて、ほっぺたの腫れを指して意地悪く笑った。
「昨日の仕返しや」
「はぁぁぁぁあ!?」
なにそれ! なにそれなにそれ!!
こうちゃんだって、あたしの裸、見たくせに!!
だけど、そんなことをこんな道端で叫ぶわけにもいかず、こうちゃんのヘラっとした笑顔を睨み付けていると。
「あーあ。またこんなとこシワ寄せて。可愛い顔もブサイクになってんで?」
おかしそうにこうちゃんはそう言って、あたしの眉間を指でつついた。
「だ、誰がブサイクよ! 誰のせいでこんな顔になってると思ってんのよ!」
「ハハッ! ブサイクが余計にしわくちゃになったわ」
こいつめ!
さらにきつく睨んだところで、こうちゃんは笑ってばかりで。
どういうわけかつながれたままの手も、じたばたしたところで何の影響もなく、結局家に着くまで離してもらえなかった。
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