32 / 79
第3章
◆俺の本気を見せてやる-広夢Side-(2)
しおりを挟む
「は? 勉強?」
確かに美姫は毎回学年一位の成績だし、家でも勉強を欠かさずしてるけどさ。
何で持田としなきゃいけないんだって話だ。
「だって学年トップはヒメ、ヒメに続く学年二位が持田。学年のツートップが一緒に勉強した方が、効率がいいってやつなんじゃね?」
「はぁぁあ!? 持田って、そんな頭良かったのかよ!?」
「何だよ、今さら。俺らの学年では有名だろ?」
冗談じゃねぇ!
「俺、ちょっと行ってくる」
「はいはい。邪魔しに行っといで」
邪魔しにって、結人の奴、一体どっちの味方だよ……。
でもまさか二人に学年トップだなんていう共通点があっただなんて、盲点だった。
今月末には、俺らの学校は1学期末テストを控えている。
そのことを思えば、学年トップ組が俺らみたいにテスト直前に詰め込むのではなく、早々行動を起こしていてもおかしくない。
俺の知らないところで二人で仲良く勉強してたなんて、想像もしたくない。
俺が廊下に飛び出したとき、ちょうど持田が美姫の持っていたノートを受け取っていた。
チラリと見えたノートの雰囲気から、きっとあれは美姫のノートだ。
「じゃあまた、放課後に」
「うん」
今日は、修学旅行実行委員の集まりはない。
イラスト作成もだいぶ完成に近づいたことから、次の委員の集まりまでに各々仕上げることになってるし。
生徒会の集まりで遅くなるようなことは、美姫も言ってなかった。
それなのに放課後ってなんだよ……っ!
「あれ、夏川くん。そんなに慌ててどうしたの?」
だけど俺が何か言葉を発するよりも先に、持田が俺に気づいて口を開いた。
「え。や、……その、ノート……」
勢いだけで教室を飛び出して来たけど、二人を前にして口から出た言葉が“ノート”って……。
俺、ダサすぎだろ!
「ああ、これね。そんな目で見なくても、僕が篠原さんに許可を取って借りたものだから大丈夫」
別にそんな話を聞きたいんじゃねーんだよ。
持田に妙に上から目線でそう言われて余計にイライラする。
「こいつと、一緒に勉強すんの?」
「……え? あ、うん。持田くん、私に聞きたいところがいくつかあるって言ってて」
美姫に聞けば、そんな風に美姫はこたえてくれる。
美姫に聞きたいところって……。
勉強でわからないところは美姫じゃなく先生に聞きに行けよな。何のための先生だって話だ。
「篠原さんの説明って、生徒目線っていうか、先生の説明よりもわかりやすいんだよね」
まるで俺の心の声でも聞こえてたかのように、持田はそう言ってくる。
「あ、もしよかったら、夏川くんも僕たちと勉強する?」
だけど、そこで持田は何を思ったのか、俺を二人の勉強会に誘ってきたんだ。
「……お前、何を企んでやがる」
「やだな、企んでるだなんて。人聞きが悪いな。僕はただ夏川くんも一緒にやりたいのかなと思って、厚意で誘ってあげたのに」
俺も人のことは言えないが、ここまで俺に敵意剥き出しだったくせにいきなり一緒に勉強しようなんて、裏で何か考えてるとしか思えない。
「ってか厚意で誘ってあげたとか、まずその言い方が気に入ら……」
「いいんじゃねーの? 広夢のことも仲間に入れてやってくださいな」
俺の言葉を遮るようにそう言う声が背後から聞こえて、思わず振り返る。
「……結人!? なんでお前が居んだよ!」
さっきまで教室で弁当食ってただろうが!
「何でって。弁当食い終わって廊下に出てみたら、面白そうな会話してっから」
そして、ムカつくくらいにクールな面持ちは壊さないまま、俺に耳打ちしてくる。
「いいじゃん。ヒメと一緒に勉強できるなら。つまんねぇプライド守ってないで、ヒメと生徒会長のこと邪魔するつもりで行ってこい」
結人はそれだけ言うと、俺の背中をバシッと力強く叩いた。
「いてぇっ」
「こいつ、いつも直前になって焦る奴なんで、ヒメと生徒会長でしっかり勉強の基礎から叩き込んでやって」
こいつめ……!
今、本気で叩きやがったな?
しかも、さりげなく俺のことディスってないか?
確かに美姫は毎回学年一位の成績だし、家でも勉強を欠かさずしてるけどさ。
何で持田としなきゃいけないんだって話だ。
「だって学年トップはヒメ、ヒメに続く学年二位が持田。学年のツートップが一緒に勉強した方が、効率がいいってやつなんじゃね?」
「はぁぁあ!? 持田って、そんな頭良かったのかよ!?」
「何だよ、今さら。俺らの学年では有名だろ?」
冗談じゃねぇ!
「俺、ちょっと行ってくる」
「はいはい。邪魔しに行っといで」
邪魔しにって、結人の奴、一体どっちの味方だよ……。
でもまさか二人に学年トップだなんていう共通点があっただなんて、盲点だった。
今月末には、俺らの学校は1学期末テストを控えている。
そのことを思えば、学年トップ組が俺らみたいにテスト直前に詰め込むのではなく、早々行動を起こしていてもおかしくない。
俺の知らないところで二人で仲良く勉強してたなんて、想像もしたくない。
俺が廊下に飛び出したとき、ちょうど持田が美姫の持っていたノートを受け取っていた。
チラリと見えたノートの雰囲気から、きっとあれは美姫のノートだ。
「じゃあまた、放課後に」
「うん」
今日は、修学旅行実行委員の集まりはない。
イラスト作成もだいぶ完成に近づいたことから、次の委員の集まりまでに各々仕上げることになってるし。
生徒会の集まりで遅くなるようなことは、美姫も言ってなかった。
それなのに放課後ってなんだよ……っ!
「あれ、夏川くん。そんなに慌ててどうしたの?」
だけど俺が何か言葉を発するよりも先に、持田が俺に気づいて口を開いた。
「え。や、……その、ノート……」
勢いだけで教室を飛び出して来たけど、二人を前にして口から出た言葉が“ノート”って……。
俺、ダサすぎだろ!
「ああ、これね。そんな目で見なくても、僕が篠原さんに許可を取って借りたものだから大丈夫」
別にそんな話を聞きたいんじゃねーんだよ。
持田に妙に上から目線でそう言われて余計にイライラする。
「こいつと、一緒に勉強すんの?」
「……え? あ、うん。持田くん、私に聞きたいところがいくつかあるって言ってて」
美姫に聞けば、そんな風に美姫はこたえてくれる。
美姫に聞きたいところって……。
勉強でわからないところは美姫じゃなく先生に聞きに行けよな。何のための先生だって話だ。
「篠原さんの説明って、生徒目線っていうか、先生の説明よりもわかりやすいんだよね」
まるで俺の心の声でも聞こえてたかのように、持田はそう言ってくる。
「あ、もしよかったら、夏川くんも僕たちと勉強する?」
だけど、そこで持田は何を思ったのか、俺を二人の勉強会に誘ってきたんだ。
「……お前、何を企んでやがる」
「やだな、企んでるだなんて。人聞きが悪いな。僕はただ夏川くんも一緒にやりたいのかなと思って、厚意で誘ってあげたのに」
俺も人のことは言えないが、ここまで俺に敵意剥き出しだったくせにいきなり一緒に勉強しようなんて、裏で何か考えてるとしか思えない。
「ってか厚意で誘ってあげたとか、まずその言い方が気に入ら……」
「いいんじゃねーの? 広夢のことも仲間に入れてやってくださいな」
俺の言葉を遮るようにそう言う声が背後から聞こえて、思わず振り返る。
「……結人!? なんでお前が居んだよ!」
さっきまで教室で弁当食ってただろうが!
「何でって。弁当食い終わって廊下に出てみたら、面白そうな会話してっから」
そして、ムカつくくらいにクールな面持ちは壊さないまま、俺に耳打ちしてくる。
「いいじゃん。ヒメと一緒に勉強できるなら。つまんねぇプライド守ってないで、ヒメと生徒会長のこと邪魔するつもりで行ってこい」
結人はそれだけ言うと、俺の背中をバシッと力強く叩いた。
「いてぇっ」
「こいつ、いつも直前になって焦る奴なんで、ヒメと生徒会長でしっかり勉強の基礎から叩き込んでやって」
こいつめ……!
今、本気で叩きやがったな?
しかも、さりげなく俺のことディスってないか?
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
初恋*幼なじみ~歪に絡み合う想いの四重奏~
美和優希
恋愛
高校二年生の未夢、和人、健、真理恵の四人は、小さい頃からの幼なじみで、お互いに家族のような存在だった。
未夢は、四人の仲はいつまでも変わらないと信じていたが、ある日真理恵に和人のことが好きだと告げられる。
そこから、少しずつ四人の関係は変化し始めて──!?
四人の想いが歪に絡み合う、ほろ苦い初恋物語。
初回公開*2016.09.23(他サイト)
アルファポリスでの公開日*2020.03.29
*表紙イラストは、イラストAC(sukimasapuri様)のイラストに背景と文字入れをして使わせていただいてます。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
年下の彼氏には同い年の女性の方がお似合いなので、別れ話をしようと思います!
ほったげな
恋愛
私には年下の彼氏がいる。その彼氏が同い年くらいの女性と街を歩いていた。同じくらいの年の女性の方が彼には似合う。だから、私は彼に別れ話をしようと思う。
プリンセスなんかじゃない!
☆hana☆
恋愛
シンデレラは知っていますか?彼女と状況が良く似たプリンセスという名の女がいました。ただひとつだけ違うのは男嫌いなとこ。そして若干シンデレラににたようそがありますが、オリジナリティ要素を加えるため、少し王子様も、回りの環境も、時代も少し違いますし、ごちゃごちゃになっています。
さて話はそれましたがそのプリンセスに降り注いだ災難はもちろんハーレム。
乙女ゲームみたいです。
その為
他のやつと似たような感じになっているかもしれませんが、オリジナリです。
また、私の場合あまりにもキャラ設定を書くと止まらなくなり、ネタバレになりかねますので、書きません。
さらに、反響によってはハッピーエンドからバッドエンドまでにかわル可能性。また、主人公が選ぶ相手も変わっていきます。
最後に選ぶのはさて誰でしょうか
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる