73 / 115
第5章
寮生活(2)
しおりを挟む
「まぁ、桃華に出会うまでは結婚とかしないつもりだったしな。俺自身驚いてるわ」
拓人はそう言いながら、桃華から来ていたメッセージの返信する。
その様子を見て、シンジが口を開く。
「桃華ちゃんか?」
「おう! 夜ご飯何食べたかって聞かれたから、パスタとサラダと唐揚げだって送った」
桃華に携帯電話をプレゼントしてから、桃華からは些細なことでたくさんメッセージが送られて来ていた。
拓人は空き時間の度に、嬉しそうに小まめに返信していた。
「幸せな奴だな」
シンジはフッと笑う。
「拓人? 情報誌の間からこんなん出て来たけど? 頑張んだなぁ」
ヒロが拓人の目の前にヒラヒラさせたのは、先日桃華と選んで決めた婚約指輪の領収書だった。
「うわっ! おまえ、なくしたら困るから、勝手に出してんじゃねぇよっ!!」
拓人は慌ててその領収書を取り上げる。
拓人のオフの日やパンフレット等を利用していろいろ探した結果、婚約指輪はオーダーメイドのお店で、桃華の好みに合わせて作ることにしたのだ。
拓人も桃華もそこのお店の雰囲気を気に入っていて、後日、結婚指輪もそこに依頼する予定でいた。
「意外と早う準備進んでんねんな。式は来年の春先の予定やんな?」
「一応な。今度ライブツアー終わったら、桃華が希望してる式場のブライダルフェアとかってのに行って来るんだ」
拓人はヒロとカイトの手元にあった結婚式場のパンフレットのうちのひとつを手に取る。
「めっちゃ海が綺麗そうなとこやん」
カイトがパンフレットの写真を見て、声を上げる。
「いつも桃華と行く水族館の近くの式場なんだ。見に行って桃華がここが良いって言ったら、ここにするつもりだ」
「でも良いよなぁ~拓人見てるとなんか羨ましい」
ヒロが少し寂しそうに呟いた。
「何言ってんだ。特定の女を作りもしないおまえが珍しい」
シンジがヒロの呟きに不思議そうに返す。
「確かに。ヒロの場合、女を1人に絞ることから始めねぇと話になんねぇだろ?」
拓人も続ける。
「良いじゃねぇかっ! 俺だって憧れんだよ」
ヒロはそのまま肩を落とした。
「ヒロっ! 何しょぼくれてんねん! ほらっ、これでも食って元気出し?」
カイトが元気づけるかのようにたくさんの枝豆をヒロの口にほうり込んだ。
枝豆によりパンパンに膨らんだ頬で、口をモグモグさせながらカイトを睨みつけるヒロ。
「なんやねん! おまえ、人の口にはホイホイ食い物ほうり込むくせに、自分がされたら怒るんかいな!」
みんなその様子にお腹を抱えて笑った。
こうしていつものように、にぎやかな楽しい夜は更けていった。
拓人はそう言いながら、桃華から来ていたメッセージの返信する。
その様子を見て、シンジが口を開く。
「桃華ちゃんか?」
「おう! 夜ご飯何食べたかって聞かれたから、パスタとサラダと唐揚げだって送った」
桃華に携帯電話をプレゼントしてから、桃華からは些細なことでたくさんメッセージが送られて来ていた。
拓人は空き時間の度に、嬉しそうに小まめに返信していた。
「幸せな奴だな」
シンジはフッと笑う。
「拓人? 情報誌の間からこんなん出て来たけど? 頑張んだなぁ」
ヒロが拓人の目の前にヒラヒラさせたのは、先日桃華と選んで決めた婚約指輪の領収書だった。
「うわっ! おまえ、なくしたら困るから、勝手に出してんじゃねぇよっ!!」
拓人は慌ててその領収書を取り上げる。
拓人のオフの日やパンフレット等を利用していろいろ探した結果、婚約指輪はオーダーメイドのお店で、桃華の好みに合わせて作ることにしたのだ。
拓人も桃華もそこのお店の雰囲気を気に入っていて、後日、結婚指輪もそこに依頼する予定でいた。
「意外と早う準備進んでんねんな。式は来年の春先の予定やんな?」
「一応な。今度ライブツアー終わったら、桃華が希望してる式場のブライダルフェアとかってのに行って来るんだ」
拓人はヒロとカイトの手元にあった結婚式場のパンフレットのうちのひとつを手に取る。
「めっちゃ海が綺麗そうなとこやん」
カイトがパンフレットの写真を見て、声を上げる。
「いつも桃華と行く水族館の近くの式場なんだ。見に行って桃華がここが良いって言ったら、ここにするつもりだ」
「でも良いよなぁ~拓人見てるとなんか羨ましい」
ヒロが少し寂しそうに呟いた。
「何言ってんだ。特定の女を作りもしないおまえが珍しい」
シンジがヒロの呟きに不思議そうに返す。
「確かに。ヒロの場合、女を1人に絞ることから始めねぇと話になんねぇだろ?」
拓人も続ける。
「良いじゃねぇかっ! 俺だって憧れんだよ」
ヒロはそのまま肩を落とした。
「ヒロっ! 何しょぼくれてんねん! ほらっ、これでも食って元気出し?」
カイトが元気づけるかのようにたくさんの枝豆をヒロの口にほうり込んだ。
枝豆によりパンパンに膨らんだ頬で、口をモグモグさせながらカイトを睨みつけるヒロ。
「なんやねん! おまえ、人の口にはホイホイ食い物ほうり込むくせに、自分がされたら怒るんかいな!」
みんなその様子にお腹を抱えて笑った。
こうしていつものように、にぎやかな楽しい夜は更けていった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
魔法使いアルル
かのん
児童書・童話
今年で10歳になるアルルは、月夜の晩、自分の誕生日に納屋の中でこっそりとパンを食べながら歌を歌っていた。
これまで自分以外に誰にも祝われる事のなかった日。
だが、偉大な大魔法使いに出会うことでアルルの世界は色を変えていく。
孤独な少女アルルが、魔法使いになって奮闘する物語。
ありがたいことに書籍化が進行中です!ありがとうございます。
異世界転移したら主夫していた。何を言っているかわからないと思うが俺にもわからない
頑張るマン
ファンタジー
神様との出会いシーンがあるわけでもなく、いきなり異世界に転移させられた俺は、平々凡々な能力のままだった。
とはいえ生きていかないといけない。
チートも無ければ特殊技能も無い。レベル制の世界なのに俺には適用されていない。
どこまでも一般人な俺が与えられた職業は【主夫】!?
独身なんですけど!?
ブサイクは祝福に含まれますか? ~テイマーの神様に魔法使いにしてもらった代償~
さむお
ファンタジー
「魔法使いになりたいんです。属性は、光と闇で」
テイマーの神様に頼み込んでおじさんは魔術師として転生させてもらったが、代償として他者からブサイクに見える祝福を授かってしまう。おまけに光と闇属性は冒険者として生きるには致命的な弱点があった。次々と明らかになる代償。世界がガチで俺を殺しに来てる。でもそんなの関係ねぇ! 闇が弱くて誰もが諦めるなら、未知のスキルで俺が最強の闇の魔術師になればいい。闇は雑魚じゃない、ロマン職だ! 魔術師なのに近接装備でインファイター。魔王を倒す勇者御一行に加わらないといけないのにギルド職員に。ヒロインたちは娼婦・暗殺者・奴隷と曲者ばかり。しかも飽きたらポイしちゃう!? 下品・ギャグ・パロディから濃厚な描写まで何でもありのなんちゃってファンタジー。 エロ回はサブタイトルの最後に # を付けます。興味ない人は飛ばしてみてね。一言だけでもいいので感想お待ちしております!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる