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3話 アレンアーサー
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「……モフモフ猫族の民って何ですか?…猫じゃなくて、俺は人間ですよ」
ただでさえ猫の獣人が現れて頭が混乱していると言うのに、モフモフ猫族の民とは何なのか。俺は一風変わった猫カフェの夢でも見ているのか…?それとも、俺が知らない間に猫って進化したんだっけ!?頭がより混乱する。
「すまないね、君を困らせるつもりはないんだ。…君はどうやら転生者の様だね。」
そう言うと、アレンはいきなり俺の頭と尻を触ってくる。
「ぎゃあああああああ!!!!な、な、何してんだ変態!!お、男のケツとはいえ、立派なセクハラだろ!!!」
アレンはポカンとすると、思いっきり笑った。
「あははははは!!変態なんて初めて言われたよ!!ふふっ、いや、悪かったね。この国の住民は皆尻尾と耳が生えているから、一応確認させて貰ったんだよ。」
そういやさっき美少年が、小さくて見えてないだけとか何とか言ってたな。
「当たり前だろ!!俺は人間なんだから!!フサフサの尻尾と耳なんて生える訳ねえだろ!!」
「それにしても本当に転生者が実在していたとはね。昔々にひいお爺様から聞いたことがあるけど…。凄いな…。あ!そうだ名前は何て言うんだい?」
「………宮本悠だけど。」
あまり答えたくはなかったが、あまりにも爽やかな笑顔とイケメンパワーにやられて、つい答えてしまう。あーあ、俺もこんな顔に生まれたかった!!羨ましすぎる!!
「…ミヤモトユウ可愛い名前だね。じゃあ、ユウと呼ぶ事にするよ。僕の名前はアレン、アレンアーサーだ。」
「…じゃあ、あんたのことはアレンと呼ぶ事にするよ。」
アレンは何故だか少し驚いた後、柔らかく微笑んだ。
「それでこのにゃんにゃん王国に転生した理由について、何か心当たりはないかい?」
アレンはとても真剣に俺に聞いてくれているが、にゃんにゃん王国という響きと、ピコピコと動く耳に思わずにやけそうになる。アレンの耳も尻尾も髪質と同じ金色に輝いておりとても高貴なのだが、なんせ俺は大の猫好きなので、思わず触ってモフモフしたい衝動に駆り立てられる。
あ~~~~あのフサフサの大きな尻尾に顔をうずめたら気持ち良いだろうな~~~。モフモフ~~~~。
「…ユウ?どうしたんだいまだ体調でも悪いのかい…?」
「あ、いや、ごめんごめん!えーっと転生した理由……えーっと俺は魚を仕入れに歩いて魚市場に向かってたんだけど、え~~~~と…あ!そうだ猫!途中で野良猫がトラックに轢かれそうになっているのを見て助けたんだった!!」
そうだ!思い出した!!俺がいつも仕事の合間に魚の残りをあげたりして可愛いがっている野良猫が、道路で轢かれそうになっていたのだ。考えるより先に足が動いていた。キキーッという急ブレーキの音も、鮮明に耳に残っている。
「……そうか俺は死んだんだな。死んで、この世界に飛ばされたんだ。」
そう自覚した途端に、涙が溢れる。
「…後悔しているのか?助けて死んでしまったことをー」
「…違うよそんなんじゃないんだ。あいつは俺と同じ一人ぼっちだったから、何度あの場所に遭遇したとしても絶対に助けるよ。俺には両親も恋人もいないから、俺がいなくなったとしても悲しむやつなんていない…。ーただ、料理をもっとしたかった。俺には立派な一人前の料理人になって自分の店を持ち、多くの人を笑顔にさせるっていう夢があったから…」
「そうか…」
「…うん」
アレンはふさふさの尻尾で俺の涙を拭う。慰めてくれているのだ。
「ふふっ、少しくすぐったいね。」
「…ユウ、にゃんにゃん王国の王宮で料理人をやらないか?」
「…え?」
ただでさえ猫の獣人が現れて頭が混乱していると言うのに、モフモフ猫族の民とは何なのか。俺は一風変わった猫カフェの夢でも見ているのか…?それとも、俺が知らない間に猫って進化したんだっけ!?頭がより混乱する。
「すまないね、君を困らせるつもりはないんだ。…君はどうやら転生者の様だね。」
そう言うと、アレンはいきなり俺の頭と尻を触ってくる。
「ぎゃあああああああ!!!!な、な、何してんだ変態!!お、男のケツとはいえ、立派なセクハラだろ!!!」
アレンはポカンとすると、思いっきり笑った。
「あははははは!!変態なんて初めて言われたよ!!ふふっ、いや、悪かったね。この国の住民は皆尻尾と耳が生えているから、一応確認させて貰ったんだよ。」
そういやさっき美少年が、小さくて見えてないだけとか何とか言ってたな。
「当たり前だろ!!俺は人間なんだから!!フサフサの尻尾と耳なんて生える訳ねえだろ!!」
「それにしても本当に転生者が実在していたとはね。昔々にひいお爺様から聞いたことがあるけど…。凄いな…。あ!そうだ名前は何て言うんだい?」
「………宮本悠だけど。」
あまり答えたくはなかったが、あまりにも爽やかな笑顔とイケメンパワーにやられて、つい答えてしまう。あーあ、俺もこんな顔に生まれたかった!!羨ましすぎる!!
「…ミヤモトユウ可愛い名前だね。じゃあ、ユウと呼ぶ事にするよ。僕の名前はアレン、アレンアーサーだ。」
「…じゃあ、あんたのことはアレンと呼ぶ事にするよ。」
アレンは何故だか少し驚いた後、柔らかく微笑んだ。
「それでこのにゃんにゃん王国に転生した理由について、何か心当たりはないかい?」
アレンはとても真剣に俺に聞いてくれているが、にゃんにゃん王国という響きと、ピコピコと動く耳に思わずにやけそうになる。アレンの耳も尻尾も髪質と同じ金色に輝いておりとても高貴なのだが、なんせ俺は大の猫好きなので、思わず触ってモフモフしたい衝動に駆り立てられる。
あ~~~~あのフサフサの大きな尻尾に顔をうずめたら気持ち良いだろうな~~~。モフモフ~~~~。
「…ユウ?どうしたんだいまだ体調でも悪いのかい…?」
「あ、いや、ごめんごめん!えーっと転生した理由……えーっと俺は魚を仕入れに歩いて魚市場に向かってたんだけど、え~~~~と…あ!そうだ猫!途中で野良猫がトラックに轢かれそうになっているのを見て助けたんだった!!」
そうだ!思い出した!!俺がいつも仕事の合間に魚の残りをあげたりして可愛いがっている野良猫が、道路で轢かれそうになっていたのだ。考えるより先に足が動いていた。キキーッという急ブレーキの音も、鮮明に耳に残っている。
「……そうか俺は死んだんだな。死んで、この世界に飛ばされたんだ。」
そう自覚した途端に、涙が溢れる。
「…後悔しているのか?助けて死んでしまったことをー」
「…違うよそんなんじゃないんだ。あいつは俺と同じ一人ぼっちだったから、何度あの場所に遭遇したとしても絶対に助けるよ。俺には両親も恋人もいないから、俺がいなくなったとしても悲しむやつなんていない…。ーただ、料理をもっとしたかった。俺には立派な一人前の料理人になって自分の店を持ち、多くの人を笑顔にさせるっていう夢があったから…」
「そうか…」
「…うん」
アレンはふさふさの尻尾で俺の涙を拭う。慰めてくれているのだ。
「ふふっ、少しくすぐったいね。」
「…ユウ、にゃんにゃん王国の王宮で料理人をやらないか?」
「…え?」
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