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20話
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「さてそれじゃ本題といきましょうか?玉藻さんの娘とはいえただ遊びに来た訳ではないでしょ?」
「いえ、今日は本当に顔合わせをメインに来ました。私の中で一番頼りになる友達を考えたら六花ちゃんで裕二さんにぜひ紹介しておきたいと思いまして、それにあまり会わない期間が長いとさっきよりひどい発作が起きることが怖くて」
「あらあら、どちらかというと六花のガス抜きに来てくれたのね、勘ぐってごめんなさい」
「いえこちらこそ申し訳ありません。ですが結果的に裕二さんとの顔合わせが叶って良かったです。こちらの裕二さんですが八咫烏様から家紋を送られています。もちろん私の母のは言うがごとしで」
「八咫烏様の家紋ですか?嘘ではないですよね?よろしければ見せていただいてもよろしいですか?」
稲荷ちゃんから目配せされ俺は八咫烏様の家紋を出して渡す。
「……確かにこれは八咫烏様の家紋ですね。成る程そこまでの方なんですねこちらの裕二さんは」
雪華さんは家紋を確認すると静かにこちらに返し姿勢を正しこちらに向き直し頭を下げる。
「裕二様、八咫烏様の家紋確認させていただきました。私達雪女の一族は裕二様になにかあった時は全力をもって力を差し出すことをここに誓います」
「雪華さん、そんな顔を上げてください。俺自身そんな雪華さんのような人に頭を下げさせるような力ありませんし」
「いえ、八咫烏様が認めて家紋を託すということはそれだけ意味があるのです。そして、それを持つということを八咫烏様に相反する者達にとって絶好の獲物ということになるのです。ですので私からはこちらをお渡ししたいと思います」
雪華さんが手を出すとそこには何も無かったが両手を握り力を込めると手の中から光が急にあふれ出しその光が徐々に収まり握っていた手を開くとそこには星の形をした氷の結晶のようなものがあった。
「こちらは私の力を込めた結晶です。普段使う程度では壊れないので安心してください。これは持ち主の壊そうという感情で扱わないと壊れないようになっており、壊れたら私に伝わるようになっております。それと同時に大体の場所も伝わります」
「裕二さんこれは受け取って損は無いです。大体の居場所が分かればあとの詳しい場所は私のくーちゃんで探し出して見せますから」
「壊れたことを確認出来たら私からすぐにそちらへの知らせをしますので」
これがあるだけで身の安全を守れる確率が大分違うだろうが、そもそも本当に俺は襲われることはあるのだろうか。そんなことを考えているとカタカタと竹筒が震えだす。俺は咄嗟に竹筒を開放するとそぼろが飛び出し俺の首にまとわりついてスリスリしてくる。
「あららそぼろちゃん凄い勢いですね、裕二さんもしかしてなんか不安を感じてましたか?そぼろは裕二さんと繋がりがありますから感情に敏感なんです。きっと不安を感じる裕二さんが心配で出たくて暴れたんですね」
そっか、そぼろは俺の為に出てきてくれたんだな。こんな小さな体で俺を支えようとしてくれるなんて最高のパートナーだ
「いえ、今日は本当に顔合わせをメインに来ました。私の中で一番頼りになる友達を考えたら六花ちゃんで裕二さんにぜひ紹介しておきたいと思いまして、それにあまり会わない期間が長いとさっきよりひどい発作が起きることが怖くて」
「あらあら、どちらかというと六花のガス抜きに来てくれたのね、勘ぐってごめんなさい」
「いえこちらこそ申し訳ありません。ですが結果的に裕二さんとの顔合わせが叶って良かったです。こちらの裕二さんですが八咫烏様から家紋を送られています。もちろん私の母のは言うがごとしで」
「八咫烏様の家紋ですか?嘘ではないですよね?よろしければ見せていただいてもよろしいですか?」
稲荷ちゃんから目配せされ俺は八咫烏様の家紋を出して渡す。
「……確かにこれは八咫烏様の家紋ですね。成る程そこまでの方なんですねこちらの裕二さんは」
雪華さんは家紋を確認すると静かにこちらに返し姿勢を正しこちらに向き直し頭を下げる。
「裕二様、八咫烏様の家紋確認させていただきました。私達雪女の一族は裕二様になにかあった時は全力をもって力を差し出すことをここに誓います」
「雪華さん、そんな顔を上げてください。俺自身そんな雪華さんのような人に頭を下げさせるような力ありませんし」
「いえ、八咫烏様が認めて家紋を託すということはそれだけ意味があるのです。そして、それを持つということを八咫烏様に相反する者達にとって絶好の獲物ということになるのです。ですので私からはこちらをお渡ししたいと思います」
雪華さんが手を出すとそこには何も無かったが両手を握り力を込めると手の中から光が急にあふれ出しその光が徐々に収まり握っていた手を開くとそこには星の形をした氷の結晶のようなものがあった。
「こちらは私の力を込めた結晶です。普段使う程度では壊れないので安心してください。これは持ち主の壊そうという感情で扱わないと壊れないようになっており、壊れたら私に伝わるようになっております。それと同時に大体の場所も伝わります」
「裕二さんこれは受け取って損は無いです。大体の居場所が分かればあとの詳しい場所は私のくーちゃんで探し出して見せますから」
「壊れたことを確認出来たら私からすぐにそちらへの知らせをしますので」
これがあるだけで身の安全を守れる確率が大分違うだろうが、そもそも本当に俺は襲われることはあるのだろうか。そんなことを考えているとカタカタと竹筒が震えだす。俺は咄嗟に竹筒を開放するとそぼろが飛び出し俺の首にまとわりついてスリスリしてくる。
「あららそぼろちゃん凄い勢いですね、裕二さんもしかしてなんか不安を感じてましたか?そぼろは裕二さんと繋がりがありますから感情に敏感なんです。きっと不安を感じる裕二さんが心配で出たくて暴れたんですね」
そっか、そぼろは俺の為に出てきてくれたんだな。こんな小さな体で俺を支えようとしてくれるなんて最高のパートナーだ
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