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第10章

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 ヴィンセントに抱かれている。愛されている。そのことが嬉しくて莉音はすすり泣く。

「莉音、私の可愛い莉音。愛してる、心から。おまえだけを」
「ぼく、も……。僕もアルフさんが好き。アルフさんだけが好き。大好き。愛してるっ」

 溢れる涙を拭われて、熱い掌に頬を包みこまれて口づけられた。
 舌を吸われて絡めとられ、口唇を軽くまれてその刺激で後孔がキュッと締まる。
 愛しくて、幸せで、離れていたぶんの淋しさと熱をも取り戻そうとするかのように、いつまでも飽きることなく互いの舌と口唇を求め合った。
 くちゅくちゅという淫靡な音と、莉音の口から漏れる甘い吐息がベッドルームに小さく響く。
 莉音はただ一心にヴィンセントを求め、与えられる口づけに応えつづけた。

 やがて口唇を離したヴィンセントは、上気した莉音の頬を撫でて顔を覗きこんだ。だが、口づけの余韻にぼうっとなっている莉音は、とろけた眼差しでくったりと幅広の肩口に頭を預ける。その莉音の頬や瞼、額に、ヴィンセントは愛しくてたまらないとでもいうように、次々にキスの雨を降らせた。そして思わせぶりに、腰から背中にかけてスルリと撫で上げる。官能を呼びさますその触れかたに、莉音はピクリと身をふるわせて息を詰めた。

「莉音、悪いがまだ、おまえを休ませてやることはできない。まだ全然、おまえが足りない」

 耳もとで囁かれて、背筋をゾクリと粟立たせた莉音はヴィンセントの首筋に縋りついた。

「アルフさん、お願い」
 肩口に顔を伏せたまま、莉音は消え入りそうな声で囁いた。
「今日、中に、出して……ほしいです。いっぱい――赤ちゃんが、できちゃうくらい……」

 言って、恥じらうように、その耳が赤く染まる。莉音の髪を掻きまわすように頭を撫でたヴィンセントは、耳朶じだを軽く噛むと、艶のある声でそれに応えた。

「おまえが望むなら、孕むまで私の精をおまえの中に注ぎ入れよう」

 その声だけで、ヴィンセントの雄蘂ゆうずいを包みこむ内壁が蠕動ぜんどうし、やわらかくうねる。

「あっ…ん……っ」

 腰に手を添えて莉音を膝立ちにさせたヴィンセントは、長らくうずめていた秘所から己を引き抜くと、装着していたゴムをはずして躰の位置を入れ替えた。莉音をうながして四つに這わせ、その腰をあらためてとらえて己をあてがう。
 赤く腫れた小さな穴が、ヴィンセントを待ち望むように妖しく蠢き、誘いこむように収縮を繰り返していた。その誘いに応えるようにヴィンセントは狙いを定める。そして、躊躇うことなく奥まで突き入れた。


「やっ、あぁあぁぁぁ――――――……っ!」


 莉音の口から切ない悲鳴が迸る。太く硬い熱杭を受け止めた衝撃に、背中が大きく撓って全身がビクビクとふるえた。
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