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ディートハルト
6、壊れた理性*
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ディートハルトの予想した通り、イレーネは大人しく部屋へ帰ってきた。たぶん、あの口づけだけで終わったのだろう。でも、それ以上のことをされていないと断定するのも早い。きちんと、確かめなければ気が済まなかった。何より――
「散歩に、行っていたんです」
自分の目を見ず、誤魔化そうとする態度に、自分から逃げようとする姿に、ゆっくりと、抑えきれない感情が腹の底からふつふつと沸き起こってくる。静かで、それでいて熱く、ふとした拍子にどうにかなってしまいそうな類の感情が。
ディートハルトは怯えるイレーネを閉じた扉へと追いつめ、震えている身体がふと可哀想にも思って、優しく抱きしめた。彼女の身体が強張る。羽織っていた外套を床へと落とすと、白いうなじが目に入った。あの真面目で清廉潔白な騎士様は女の肌に吸い痕一つ残さなかった正真正銘の聖人であったようだ。
(俺なら、つけるのに)
これは自分のものだと、誰にもとられないように……吸い寄せられるように顔を寄せ、柔らかな肌を、歯を立てるように吸った。イレーネの身体がびくんと反応する。彼女はこの期に及んでまだ抗おうと、身体を後ろや横へずらして、どうにかディートハルトから逃げようとしていた。
そんな彼女を、馬鹿だなと思う。こんなに非力な力で、逃げられるものか。第一どこへ逃げるというのだ。誰に助けてもらうつもりだ。
(あの騎士に、きみは手を伸ばすのか?)
瞼の裏に夢中で唇を重ねる二人の姿が浮かぶ。不器用で拙い、それでいてとても幸せそうなイレーネの……ディートハルトは強い感情に突き動かされ、彼女を抱き抱え、寝台へ下ろすと同時に覆い被さっていた。
もう可哀想なほど、イレーネは震えて怯えていた。秘所を晒し、愛液をかきだしてもユリウスに出された痕跡は見いだせず、彼とはやはり口づけだったのだとわかったのだから、もう許してやればいい。
そう思う一方で、逆に口づけだけでこんなにも濡らしていた彼女の身体に、ディートハルトは感情が鎮まらない。そしてまだ素直になろうとしない態度に、一刻も早く自分を外へ追いやろうとしている姿に、自分を拒絶する声に、ディートハルトは徹底的に罰することを決めた。
「ぁっ、うっ、んっ……」
イレーネの我慢する声は、本当に聴かせたくないのだと思う。だから何としてでも上げさせたくなる。痛みではなく快感で、普段は低めのしっとりした声を、高く甘い声へと変えたい。
「やぁっ、それいやぁっ……」
脚を開かせ、今まで一度もしたことのない――マルガレーテにしかしないと決めていた奉仕を、イレーネにしてやりたいと思ったのはなぜか。考えるより先に、身体が動いていた。とろとろと蜜を溢す花弁に舌を這わせていた。
やめてと言いながらディートハルトの頭を濡れそぼった秘所へ押し付けてくるイレーネの行動に、頭の芯が焼き切れたような興奮が襲う。何も考えられず、それこそ獣になったかのようにむしゃぶりついた。
何度か気をいかせて、はぁはぁと胸を大きく上下する姿を見たディートハルトは、幾分の冷静さを取り戻した。起き上がって、彼女の顔をじっと観察する。ぼおっと呆けたように宙を見ていたが、何かが足りないというように悩ましげな表情で息をしている姿。
「欲しいか」
「……ほしい、です……」
すでにだらだらと涎を垂らしている肉棒を蜜口にあてがって脅せば、イレーネは涙ぐみながら降参した。彼女の答えに、強烈な飢餓感に喘いでいた心が満たされる気持ちとこんなものではまだ全く足りないという貪欲な欲望が、ディートハルトの中で膨れ上がる。
「うっ、あぅ、あっ、ぁあっ……」
一気に熱い塊を捻じ込み、がつがつと相手を気にすることなく腰を振るう。自分本位の動きであるのにイレーネの中はディートハルトの怒張をきつく締めつけ、眩暈がするほどの快感を与えてくる。
いつも自分が上に立って女たちを支配していたのに、今はその立場が逆になったように、イレーネに翻弄される。いや、もはや自分が誰を抱いているのかということも忘れて、ただ目の前の肉欲に溺れて、いつもよりずっと早く射精してしまった。
「ぁ……」
イレーネはまだ達していなかったのだろう。だがもはやこれ以上は続けたくないと、ディートハルトに抜いてくれるよう口にした。
「はぁ、はぁ……」
どくどくと、自分の子種が彼女の子宮に注がれていく。
「抜いて……ディートハルトさま、抜いてください……」
――足りない。
「ディートハルトさま……?」
こんなものじゃ、全然足りない。
「ねぇ、ディートハルトさま……」
もっと欲しい。この女のすべてが欲しい。
「やだ……ぬいて、ぬいてくださいっ……!」
逃げようとするイレーネの腰を引き戻し、彼はまた中を蹂躙し始める。のしかかって、ふるふると揺れる胸に吸い寄せられるように顔を埋めた。イレーネの香りが鼻腔を満たし、訳もなく好きな匂いだと思った。
柔らかな乳房を堪能していると、布が邪魔だと思い、夜着や下着を乱暴に切り裂く。悲鳴も耳に入らず、彼女の露わになった裸体を目にして、女を初めて抱いた時のような興奮が迫りあがってくる。
双丘に顔を埋め、すでに硬くなっていた蕾をさらに尖らせようと舌で転がし、何も出ないのに吸ったりした。イレーネが甘い声で啼きながらやめてと身を捩るたび、しっとりと汗ばんだ肌がディートハルトの頬に当たる。柔らかな谷間に挟まれ、得も言われぬ快感に包まれる。
それは未だ彼女の中に挿入された陰茎にも刺激を与え、再び硬く芯を持ち始め、彼女にも同じ快楽を与えようとしていた。
「あっ、あんっ……いやっ、はぁ、んんぅ……」
イレーネの嬌声に混じって、淫らな水音が奏でられる。彼女は羞恥心と気持ちよさに白い肌を赤く染めて、必死に乱れた呼吸を繰り返していた。こんなことしたくないのに抗えず、ディートハルトの雄茎を痛いほど締めつけて泣きそうな、悩ましげな表情を、ディートハルトは浅く息を吐き出しながらじっと見ていた。
彼の視線に気づいた彼女がぎくりと固まる。荒い息をしながらふと顔を寄せ、赤い唇に口づけしようとすれば、拒むように顔を逸らされた。まるでそれだけはしたくないというように。
(まだ、拒むのか――)
一糸纏わぬ姿を見られ、散々喘いで、蜜をたっぷりと溢れさせて、痛いほど自分の雄を締めつけて、何度も気をやったくせに、イレーネはディートハルトと口を重ねることだけは嫌だという。
(そんなにも――)
あの騎士が好きなのか。
頭の中がカッとなり、だがすぐにスッと感情の抜け落ちたような気になる。誘うように頬や顎に口づけして、唇にもやがて重ねた。目を瞑って耐えようとするから……
「――ぁっ、んっ、んんっ、んむぅ……」
イレーネの弱いところなど、とっくに知っている。だから執拗に突いてやれば、すぐに薄く口を開く。すかさず舌を捻じ込んでこじ開け、無茶苦茶に貪った。イレーネのグレイの瞳から涙があふれだす。生理的なものか、あるいは――
「はぁっ、ぁっ……うぅ、あっ、あぁっ」
奥が亀頭に吸いついてくるようだった。ディートハルトは呻き声をあげながら何度も最奥を抉った。ぱんぱんと肉がぶつかりあう抽挿を繰り返すたび、ぶちゅっ、ぐちゅっと淫らな音を立てて愛液が結合部から溢れ出す。腿や尻を伝い、シーツに染みを作っていく。
「んっ、んぅ、はぁ、あっ、ぁあんっ」
イレーネももはや理性を失い、ディートハルトの腰に脚を巻きつけて、さらに熱い肉棒を味わおうと尻を浮かせて身体を揺らしてくる。彼はそんな彼女の動きに言葉にできないほどの歓喜に包まれる。
彼女をもっと支配したい。もっと悦ばせたい。一緒に堕ちたい。
「あぁっ、ぁぁ――」
獣のような声を上げたのは一体どちらだったか。喉元を晒して弓のようにしなったイレーネの身体を精いっぱい抱きしめながらディートハルトは彼女と溺れた。
一度だけでなく、何度も。
マルガレーテを抱いた時にあった余裕はなかった。考える暇すらなく、理性ではなく本能に支配されたように彼はイレーネを何度も抱いて、中へ注ぎ続けた。
――孕んでしまえばいい、と思いながら。
「散歩に、行っていたんです」
自分の目を見ず、誤魔化そうとする態度に、自分から逃げようとする姿に、ゆっくりと、抑えきれない感情が腹の底からふつふつと沸き起こってくる。静かで、それでいて熱く、ふとした拍子にどうにかなってしまいそうな類の感情が。
ディートハルトは怯えるイレーネを閉じた扉へと追いつめ、震えている身体がふと可哀想にも思って、優しく抱きしめた。彼女の身体が強張る。羽織っていた外套を床へと落とすと、白いうなじが目に入った。あの真面目で清廉潔白な騎士様は女の肌に吸い痕一つ残さなかった正真正銘の聖人であったようだ。
(俺なら、つけるのに)
これは自分のものだと、誰にもとられないように……吸い寄せられるように顔を寄せ、柔らかな肌を、歯を立てるように吸った。イレーネの身体がびくんと反応する。彼女はこの期に及んでまだ抗おうと、身体を後ろや横へずらして、どうにかディートハルトから逃げようとしていた。
そんな彼女を、馬鹿だなと思う。こんなに非力な力で、逃げられるものか。第一どこへ逃げるというのだ。誰に助けてもらうつもりだ。
(あの騎士に、きみは手を伸ばすのか?)
瞼の裏に夢中で唇を重ねる二人の姿が浮かぶ。不器用で拙い、それでいてとても幸せそうなイレーネの……ディートハルトは強い感情に突き動かされ、彼女を抱き抱え、寝台へ下ろすと同時に覆い被さっていた。
もう可哀想なほど、イレーネは震えて怯えていた。秘所を晒し、愛液をかきだしてもユリウスに出された痕跡は見いだせず、彼とはやはり口づけだったのだとわかったのだから、もう許してやればいい。
そう思う一方で、逆に口づけだけでこんなにも濡らしていた彼女の身体に、ディートハルトは感情が鎮まらない。そしてまだ素直になろうとしない態度に、一刻も早く自分を外へ追いやろうとしている姿に、自分を拒絶する声に、ディートハルトは徹底的に罰することを決めた。
「ぁっ、うっ、んっ……」
イレーネの我慢する声は、本当に聴かせたくないのだと思う。だから何としてでも上げさせたくなる。痛みではなく快感で、普段は低めのしっとりした声を、高く甘い声へと変えたい。
「やぁっ、それいやぁっ……」
脚を開かせ、今まで一度もしたことのない――マルガレーテにしかしないと決めていた奉仕を、イレーネにしてやりたいと思ったのはなぜか。考えるより先に、身体が動いていた。とろとろと蜜を溢す花弁に舌を這わせていた。
やめてと言いながらディートハルトの頭を濡れそぼった秘所へ押し付けてくるイレーネの行動に、頭の芯が焼き切れたような興奮が襲う。何も考えられず、それこそ獣になったかのようにむしゃぶりついた。
何度か気をいかせて、はぁはぁと胸を大きく上下する姿を見たディートハルトは、幾分の冷静さを取り戻した。起き上がって、彼女の顔をじっと観察する。ぼおっと呆けたように宙を見ていたが、何かが足りないというように悩ましげな表情で息をしている姿。
「欲しいか」
「……ほしい、です……」
すでにだらだらと涎を垂らしている肉棒を蜜口にあてがって脅せば、イレーネは涙ぐみながら降参した。彼女の答えに、強烈な飢餓感に喘いでいた心が満たされる気持ちとこんなものではまだ全く足りないという貪欲な欲望が、ディートハルトの中で膨れ上がる。
「うっ、あぅ、あっ、ぁあっ……」
一気に熱い塊を捻じ込み、がつがつと相手を気にすることなく腰を振るう。自分本位の動きであるのにイレーネの中はディートハルトの怒張をきつく締めつけ、眩暈がするほどの快感を与えてくる。
いつも自分が上に立って女たちを支配していたのに、今はその立場が逆になったように、イレーネに翻弄される。いや、もはや自分が誰を抱いているのかということも忘れて、ただ目の前の肉欲に溺れて、いつもよりずっと早く射精してしまった。
「ぁ……」
イレーネはまだ達していなかったのだろう。だがもはやこれ以上は続けたくないと、ディートハルトに抜いてくれるよう口にした。
「はぁ、はぁ……」
どくどくと、自分の子種が彼女の子宮に注がれていく。
「抜いて……ディートハルトさま、抜いてください……」
――足りない。
「ディートハルトさま……?」
こんなものじゃ、全然足りない。
「ねぇ、ディートハルトさま……」
もっと欲しい。この女のすべてが欲しい。
「やだ……ぬいて、ぬいてくださいっ……!」
逃げようとするイレーネの腰を引き戻し、彼はまた中を蹂躙し始める。のしかかって、ふるふると揺れる胸に吸い寄せられるように顔を埋めた。イレーネの香りが鼻腔を満たし、訳もなく好きな匂いだと思った。
柔らかな乳房を堪能していると、布が邪魔だと思い、夜着や下着を乱暴に切り裂く。悲鳴も耳に入らず、彼女の露わになった裸体を目にして、女を初めて抱いた時のような興奮が迫りあがってくる。
双丘に顔を埋め、すでに硬くなっていた蕾をさらに尖らせようと舌で転がし、何も出ないのに吸ったりした。イレーネが甘い声で啼きながらやめてと身を捩るたび、しっとりと汗ばんだ肌がディートハルトの頬に当たる。柔らかな谷間に挟まれ、得も言われぬ快感に包まれる。
それは未だ彼女の中に挿入された陰茎にも刺激を与え、再び硬く芯を持ち始め、彼女にも同じ快楽を与えようとしていた。
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イレーネの嬌声に混じって、淫らな水音が奏でられる。彼女は羞恥心と気持ちよさに白い肌を赤く染めて、必死に乱れた呼吸を繰り返していた。こんなことしたくないのに抗えず、ディートハルトの雄茎を痛いほど締めつけて泣きそうな、悩ましげな表情を、ディートハルトは浅く息を吐き出しながらじっと見ていた。
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「――ぁっ、んっ、んんっ、んむぅ……」
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「んっ、んぅ、はぁ、あっ、ぁあんっ」
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彼女をもっと支配したい。もっと悦ばせたい。一緒に堕ちたい。
「あぁっ、ぁぁ――」
獣のような声を上げたのは一体どちらだったか。喉元を晒して弓のようにしなったイレーネの身体を精いっぱい抱きしめながらディートハルトは彼女と溺れた。
一度だけでなく、何度も。
マルガレーテを抱いた時にあった余裕はなかった。考える暇すらなく、理性ではなく本能に支配されたように彼はイレーネを何度も抱いて、中へ注ぎ続けた。
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