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電車に乗って
六
しおりを挟む画面は砂嵐からプッツリと闇を映し出す。
真っ暗な画面に切り替わったとき、ノイズとスピーカーが鳴り止んだ。
しんっと部屋を包む沈黙。
その静けさが、まるで嵐の前の静けさのようだった。
それは直ぐに確信に変わる。
恐る恐る辺りを見渡す匠は、強く私を抱き締めたまま立とうとしなかった。
「沙耶、動くな……」
小さく呟かれた言葉は、震えていた。
「下を向いて目を瞑ってて」
なるべく優しく呟く匠。
その真意はわからない。
でも原因は間違いなく部屋の画面なのだ。
見上げた匠の視線は画面を睨みつけていたから────。
「匠………」
「見るな」
一括されて、匠の胸に顔を埋めた。
ついでに耳も両手で塞ぐ。
これ以上何か見たり聞いたりしたら気が狂ってしまいそう。
「………ぅあ…っ…」
耳を塞いでても僅かに聞こえた匠の呻き声。
まるで悲鳴を上げるのを堪えてるようだった。
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