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朝食を食べた永登が眠って、その間に念のため、仕事のメールをいくらか返信した。自分の体調が全く読めず、いつ発情期に入ってもいいように身の回りを整えていく。
体調に波があるのは、きっと近くにアルファがいるからだ。本能的に、番を欲しがった身体が波打っている。
流石に彼が起きたら、熱が引いたと帰ってもらうつもりだ。
「…………おはよう」
ばさりとタオルケットを跳ね上げ、永登が起き上がった。ラフな格好だからとそのまま寝て、余所行きの服をシワシワにしてしまっている。
髪は寝起きで乱れていたが、やっぱり素地の所為か、崩れても可愛く見えてしまう。
「おはよう。もうティータイムの時間だけど」
「……ごめん、寝過ぎた」
ぼうっとしている永登に近寄り、跳んだタオルケットを回収する。様子を窺っていると、彼の指先が僕の服の裾を捉えた。
「じゃあ、そろそろ帰────」
「匂い、おかしくない?」
はっきりとした確信を持って告げられた言葉に、ばさりと抱えていた布を落とす。誤魔化そうにも、行動が怪しすぎた。
服ごと腕が引かれ、体勢を崩す。倒れ込んだ身体が受け止められ、首筋に鼻先が擦り付けられた。
「……あぁ、やっぱり。匂いが変わってる」
どく、どく、と心臓が脈打った。近すぎる身体を撥ね除けようとも、首筋が捕らえられた。
とん、と膝をソファの座面に押し付けて、がくんと頭を倒した。
「そっか。やっぱりオメガなんだ……」
顔が首の横に押し付けられ、唇の柔らかい感触がした。すう、と息をする音が耳元で響く。心臓が壊れかけの楽器のように、引き攣れた音を立てる。
広い胸に手を当てて、力いっぱい押し退けた。
「ごめ……! だま、……ってて」
喉が痙攣したように声が途切れる。静かになった永登に、怒っているだろうか、と指先が震える。
左手の上に被せるように右手を置き、ただ、耳を澄ませた。彼からの言葉がないのを確認して、口を開く。
「僕、はオメガで……。仕事では、ベータと間違われることが多いから、そのまま誤解させておくことが多くて。永登にも、同じようにしたほうが、いいと思って……」
返事がない。
心細さに肩が震え、頭はますます下がった。噛み締めた唇に感覚が失われたころ、上から声が降ってくる。
「俺がアルファなのは、知ってた?」
こくん、と頷く。
「俺のこと、怖かった? オメガだと知られたら、強引に迫られるんじゃないか、とか」
「違う……!」
顔を上げると、不安げな瞳とかち合った。互いが、鏡映しになっているようだった。
「……永登に、下心があるって思われるんじゃないかって……! それで、嫌な思いをさせたくなかった」
肩を丸めて、謝罪の言葉を吐き出す。ごめん、と呟いた。
「傘を届けたのは、雨で困るだろうって心配になったから。遊園地に行ったのも、一人だと行きづらい場所だから、いないより、いるほうがいいって思ったから」
ぼろぼろと零れる言葉の中に、しゃくり上げる息づかいが混ざる。押し込めていた物が零れ落ちて、ぼたぼたと手の甲を濡らした。
「永登と番になりたいとか……、そういう意図じゃなかったんだ。でも、オメガだと知られたら、そう思われるんじゃないかって不安で、言えなかった」
謝罪の言葉を、何度も繰り返した。そして、ようやく解放されたことに安堵していた。明日から彼に会うことはもうないんだろうし、僕があの映画館を訪れることもない。
飴色の床も、珈琲のにおいも、スタンプを付くあの音も、知らない人と笑うシアターの空間も。もう、明日からは僕の手にはない。
最初、正直に伝えられたらよかった。そうしたら、スクリーンの外で、ラブストーリーとして終わったのかもしれない。
「そっか、残念だなぁ……」
伸びた腕が、腰を掬い上げる。抱かれた背が胸元に押し付けられた。匂いに、違和感があった。
僕の肩に顎を置いて、すっきりと通る声が告げる。
「俺はね。演技以外にも、隆を羨んだことがあったんだ」
声音に怒っている様子はなく、言い聞かせるような声はただ優しい。このひとの告げてくれる声は、疑わずに信じられる。
「『番』だよ。番ができた、ってこと。俺、ずっとそういうことを考える余裕がなかった。けど、話を聞いたら、途端に羨ましくて仕方なくて」
沈んでいた声が、水面に浮上して、ひと跳ねする。
「だから、映画館にいつもいる子に、今日こそ話しかけようって。ずっと思ってたんだ」
「…………え?」
ゆっくりと指先を持ち上げ、自分を指す。こくん、と頷いた永登は、僕を抱き竦め、髪をめちゃくちゃにした。
押し付けられた胸元であぷあぷと呼吸をし、動揺のまま唇をひらく。
「……なん……ッ! え、はぁ!?」
「君がオメガだって、俺はずっと知ってたよ。知っていて近付いて、モーション掛けてただけ。だから、気にしないで。……いや、これからは気にして、なのかな」
すん、と耳の横で鼻が鳴る。
「すごく良い匂いがするなぁ。理性が溶けそう」
僕が大人しいのをいい事に、彼は匂いの変化を確かめている。ぽかんと頭が固まって、言葉の中身をうまく噛めない。
もぞもぞと腕の中で藻掻く。
「はは、まだ匂いは強くないから大丈夫。何もしないよ」
「そうじゃなくて……! あんた、知ってて遊園地で手を繋いだり食事のときべたべた触ったりしてたのか!?」
「うん」
「なんで……」
萎んでいく声に、笑い声が被さった。
「番になりたいからだよ。だから、明日から先は、アルファとして君の瞳に映してね。……好きだよ」
顔が傾いて、柔らかい唇が頬に触れた。ほんの少しの接触だけを残して、彼は身体を離す。上がりきった熱に、空気が触れてわずかに冷やそうとも追いつかない。
ぽかんと口が開いて、それから数拍おいてわなないた。
僕の反応に、永登はわずかに眉を上げる。
「あのさ。思ったより、俺、期待してもいい。のかなぁ……?」
「…………」
「ねえ、稔くん。いまの君の顔を見たら答えは分かる気もするけど、俺はちゃんと言葉にして欲しいな」
髪が掻き上げられ、真っ赤になった耳が晒される。腕の中でぶるぶると震えている様を、やんわりと長い腕が閉じ込める。
自分から、その胸元に寄り添った。
「あんたの番になることなんて、考えたこともなかった」
覗き込む瞳は、答えを期待している。窓からきらきらと跳ね散らかす光が、その瞳を薄く浮かび上がらせた。
指先を伸ばすと、間で捕まる。ごつごつした指先を撫で、造りがちがうのだと思い知った。
何故、オメガであることを隠せると思っていたのだろう。
「番になることより、傍にいることのほうが大事だった。番の関係を望んだら今の関係すらなくなるなら、望まなくて良いと思ってた。……でも、両方がいっぺんに手に入るなら…………」
指の股に、するりと別の指が入り込んでくる。組み合うように絡め、体温を交換する。
「……好き、だ。…………あんまり、こういうのは得意じゃないから、これで勘弁してくれ」
背に回った掌が、僕の身体を永登の胸に押し付ける。ぴったりとくっついた部分から、どくどくと鳴るこの喧しい音は、どちらの物なのだろう。
ぎゅっと目をつぶって、身を固くした。
「番になってくれる?」
「まずは恋人だろ」
「番がいいなぁ」
「……一生ものなんだから、もっとしっかり考えろ」
ぽす、と軽く握り締めた拳を胸に押し付ける。手の甲を一回り大きな掌が包み込んだ。
ご機嫌そうな声音は、モニタの内でも外でも聞いたことのない浮かれ方をしている。
「稔くんって、石橋叩きまくって渡らないんだよね。誰かが手を引いて渡るくらいでちょうどいいよ」
「あのなぁ……。僕はあんたの事を考えて……!」
「考えてくれてるなら、俺の希望通りに番になってよ。それがいちばんだから」
むう、と頬を膨らませて、トクトクと鳴る自分以外の心音を聞いた。端から見れば余裕そうにしている、やっぱり演技が上手い。
どこぞの舞台から飛び降りるような気持ちでいながら、そう見せないのは僕のためなんだろう。
「…………じゃあ、そうする」
「え」
僕が同意したことに心から驚く永登に、またお世辞にしてやろうか、と唇を持ち上げる。おろおろと本気で狼狽えている姿が可笑しくて、すぐに嘘だと訂正した。
体調に波があるのは、きっと近くにアルファがいるからだ。本能的に、番を欲しがった身体が波打っている。
流石に彼が起きたら、熱が引いたと帰ってもらうつもりだ。
「…………おはよう」
ばさりとタオルケットを跳ね上げ、永登が起き上がった。ラフな格好だからとそのまま寝て、余所行きの服をシワシワにしてしまっている。
髪は寝起きで乱れていたが、やっぱり素地の所為か、崩れても可愛く見えてしまう。
「おはよう。もうティータイムの時間だけど」
「……ごめん、寝過ぎた」
ぼうっとしている永登に近寄り、跳んだタオルケットを回収する。様子を窺っていると、彼の指先が僕の服の裾を捉えた。
「じゃあ、そろそろ帰────」
「匂い、おかしくない?」
はっきりとした確信を持って告げられた言葉に、ばさりと抱えていた布を落とす。誤魔化そうにも、行動が怪しすぎた。
服ごと腕が引かれ、体勢を崩す。倒れ込んだ身体が受け止められ、首筋に鼻先が擦り付けられた。
「……あぁ、やっぱり。匂いが変わってる」
どく、どく、と心臓が脈打った。近すぎる身体を撥ね除けようとも、首筋が捕らえられた。
とん、と膝をソファの座面に押し付けて、がくんと頭を倒した。
「そっか。やっぱりオメガなんだ……」
顔が首の横に押し付けられ、唇の柔らかい感触がした。すう、と息をする音が耳元で響く。心臓が壊れかけの楽器のように、引き攣れた音を立てる。
広い胸に手を当てて、力いっぱい押し退けた。
「ごめ……! だま、……ってて」
喉が痙攣したように声が途切れる。静かになった永登に、怒っているだろうか、と指先が震える。
左手の上に被せるように右手を置き、ただ、耳を澄ませた。彼からの言葉がないのを確認して、口を開く。
「僕、はオメガで……。仕事では、ベータと間違われることが多いから、そのまま誤解させておくことが多くて。永登にも、同じようにしたほうが、いいと思って……」
返事がない。
心細さに肩が震え、頭はますます下がった。噛み締めた唇に感覚が失われたころ、上から声が降ってくる。
「俺がアルファなのは、知ってた?」
こくん、と頷く。
「俺のこと、怖かった? オメガだと知られたら、強引に迫られるんじゃないか、とか」
「違う……!」
顔を上げると、不安げな瞳とかち合った。互いが、鏡映しになっているようだった。
「……永登に、下心があるって思われるんじゃないかって……! それで、嫌な思いをさせたくなかった」
肩を丸めて、謝罪の言葉を吐き出す。ごめん、と呟いた。
「傘を届けたのは、雨で困るだろうって心配になったから。遊園地に行ったのも、一人だと行きづらい場所だから、いないより、いるほうがいいって思ったから」
ぼろぼろと零れる言葉の中に、しゃくり上げる息づかいが混ざる。押し込めていた物が零れ落ちて、ぼたぼたと手の甲を濡らした。
「永登と番になりたいとか……、そういう意図じゃなかったんだ。でも、オメガだと知られたら、そう思われるんじゃないかって不安で、言えなかった」
謝罪の言葉を、何度も繰り返した。そして、ようやく解放されたことに安堵していた。明日から彼に会うことはもうないんだろうし、僕があの映画館を訪れることもない。
飴色の床も、珈琲のにおいも、スタンプを付くあの音も、知らない人と笑うシアターの空間も。もう、明日からは僕の手にはない。
最初、正直に伝えられたらよかった。そうしたら、スクリーンの外で、ラブストーリーとして終わったのかもしれない。
「そっか、残念だなぁ……」
伸びた腕が、腰を掬い上げる。抱かれた背が胸元に押し付けられた。匂いに、違和感があった。
僕の肩に顎を置いて、すっきりと通る声が告げる。
「俺はね。演技以外にも、隆を羨んだことがあったんだ」
声音に怒っている様子はなく、言い聞かせるような声はただ優しい。このひとの告げてくれる声は、疑わずに信じられる。
「『番』だよ。番ができた、ってこと。俺、ずっとそういうことを考える余裕がなかった。けど、話を聞いたら、途端に羨ましくて仕方なくて」
沈んでいた声が、水面に浮上して、ひと跳ねする。
「だから、映画館にいつもいる子に、今日こそ話しかけようって。ずっと思ってたんだ」
「…………え?」
ゆっくりと指先を持ち上げ、自分を指す。こくん、と頷いた永登は、僕を抱き竦め、髪をめちゃくちゃにした。
押し付けられた胸元であぷあぷと呼吸をし、動揺のまま唇をひらく。
「……なん……ッ! え、はぁ!?」
「君がオメガだって、俺はずっと知ってたよ。知っていて近付いて、モーション掛けてただけ。だから、気にしないで。……いや、これからは気にして、なのかな」
すん、と耳の横で鼻が鳴る。
「すごく良い匂いがするなぁ。理性が溶けそう」
僕が大人しいのをいい事に、彼は匂いの変化を確かめている。ぽかんと頭が固まって、言葉の中身をうまく噛めない。
もぞもぞと腕の中で藻掻く。
「はは、まだ匂いは強くないから大丈夫。何もしないよ」
「そうじゃなくて……! あんた、知ってて遊園地で手を繋いだり食事のときべたべた触ったりしてたのか!?」
「うん」
「なんで……」
萎んでいく声に、笑い声が被さった。
「番になりたいからだよ。だから、明日から先は、アルファとして君の瞳に映してね。……好きだよ」
顔が傾いて、柔らかい唇が頬に触れた。ほんの少しの接触だけを残して、彼は身体を離す。上がりきった熱に、空気が触れてわずかに冷やそうとも追いつかない。
ぽかんと口が開いて、それから数拍おいてわなないた。
僕の反応に、永登はわずかに眉を上げる。
「あのさ。思ったより、俺、期待してもいい。のかなぁ……?」
「…………」
「ねえ、稔くん。いまの君の顔を見たら答えは分かる気もするけど、俺はちゃんと言葉にして欲しいな」
髪が掻き上げられ、真っ赤になった耳が晒される。腕の中でぶるぶると震えている様を、やんわりと長い腕が閉じ込める。
自分から、その胸元に寄り添った。
「あんたの番になることなんて、考えたこともなかった」
覗き込む瞳は、答えを期待している。窓からきらきらと跳ね散らかす光が、その瞳を薄く浮かび上がらせた。
指先を伸ばすと、間で捕まる。ごつごつした指先を撫で、造りがちがうのだと思い知った。
何故、オメガであることを隠せると思っていたのだろう。
「番になることより、傍にいることのほうが大事だった。番の関係を望んだら今の関係すらなくなるなら、望まなくて良いと思ってた。……でも、両方がいっぺんに手に入るなら…………」
指の股に、するりと別の指が入り込んでくる。組み合うように絡め、体温を交換する。
「……好き、だ。…………あんまり、こういうのは得意じゃないから、これで勘弁してくれ」
背に回った掌が、僕の身体を永登の胸に押し付ける。ぴったりとくっついた部分から、どくどくと鳴るこの喧しい音は、どちらの物なのだろう。
ぎゅっと目をつぶって、身を固くした。
「番になってくれる?」
「まずは恋人だろ」
「番がいいなぁ」
「……一生ものなんだから、もっとしっかり考えろ」
ぽす、と軽く握り締めた拳を胸に押し付ける。手の甲を一回り大きな掌が包み込んだ。
ご機嫌そうな声音は、モニタの内でも外でも聞いたことのない浮かれ方をしている。
「稔くんって、石橋叩きまくって渡らないんだよね。誰かが手を引いて渡るくらいでちょうどいいよ」
「あのなぁ……。僕はあんたの事を考えて……!」
「考えてくれてるなら、俺の希望通りに番になってよ。それがいちばんだから」
むう、と頬を膨らませて、トクトクと鳴る自分以外の心音を聞いた。端から見れば余裕そうにしている、やっぱり演技が上手い。
どこぞの舞台から飛び降りるような気持ちでいながら、そう見せないのは僕のためなんだろう。
「…………じゃあ、そうする」
「え」
僕が同意したことに心から驚く永登に、またお世辞にしてやろうか、と唇を持ち上げる。おろおろと本気で狼狽えている姿が可笑しくて、すぐに嘘だと訂正した。
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