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第5話 主人公はどいつもこいつも!
しおりを挟む「あー美味しかった!最高でしたっ!ありがとうございました!」
「そりゃどーも・・・」
なんだかんだで家まで連れてきて、なんだかんだで食事までご馳走する。この男、やはり優しい。
辺りはすっかり暗くなっている。四人は各々地面や石に腰掛け、焚き火を囲んでいた。
あー・・・ 煙草が吸いてぇ。明日王国で買ってこよ、ついでにちっちゃい女の子の服とちっちゃい女の子の服も買わなくちゃな。
欲しがるお菓子もたくさん買ってあげよっと♪
「うぅ・・・またあの人、ニヤニヤしながら踊り出したわよ?」
「ほっといてやれ・・・ おそらく彼は頭の病気なんだよ」
おいおい!聞こえてるぞ悪口ぃ!
「誰が頭の病気じゃ!ぶち殺すぞてめぇ!?」
「うわっ?!聞かれてた!・・・重力増加魔法!」
少年が、襲いかかろうとする男に放った魔法。それは男の周りの重力だけを増加させた!めちゃくちゃだぁ!
「ほべっ!」
じ、地面に吸いつけられる・・・!こ、これも魔法なのか?!
ビリビリビリ・・・!
「がぁ!」
ドシャ!
立ってられねぇ・・・!なんなんだよ、転移者どもの魔法はぁ!
「ちょっと!やりすぎよ!魔法を止めてあげて!」
「・・・はっ! またつい!」
「いくら何でも酷すぎるでしょ!?」
フッ・・・
「はぁ・・・はぁ・・・これだから転移者は!傲慢で自分勝手なんだよどいつもこいつも!」
「ち、ちょっと聞いて言いですか?」
「あぁん!?」
男は立ち上がり、女を見据える。ふぅ、転生者は揃いも揃って美男美女。逆に個性がねーんだよなぁ・・・
「あなたは、さっきから私たちのことを転移者と呼びますけど・・・ この世界で転移者というのは、ありふれたものなんですか?」
「あ、それ思った!なんか、転移者のイメージくそ悪いですよね!俺ら以外にも転移者見たことあるんですか?」
「・・・」
男は、座っていた石に腰をかける。意味深に目を閉じ、ポケットから煙草を・・・ ポケットからゴミを取り出してそこら辺に捨てた。
「あぁ、見たことある」
「ほ、本当ですか!どんな娘でした?可愛いですか?!」
「まぁな、女の子は可愛かったし、男はかっこよかったよ」
「俺たち以外にも転移者いるんだ!ハハ!」
手を取り合って盛り上がっている男女を見ていると、ちっちゃい女の子って本気で俺がもらってもいいかな?という考えがよぎる
・・・いやなんでそうなる?俺の思考回路、度重なるチート魔法でおかしくなったかな!はは!!
はぁ・・・
男は、冷たい声で言い放つ。
【揃いも揃って美男美女。逆に個性がねぇ】
「・・・え?」
「しかも全員チート級の強者たちばかり。男は意味もなく国の女から好かれまくれ、男はその好意に気づかない。女の転移者もそんな感じだ、意味もなく、全員がだ」
「あ、あの・・・」
「元の世界ではニートで、無職で、ひきこもりだったらしいが、転移してからはコミュ力MAXになってやがるし!ステータスを見てみれば!どいつもこいつも異常なほど高い!」
「ちょっと・・・」
「数万の敵軍隊を一人で撃破する奴もいる!俺から言わせてもらうとだな!ヒーローでも何でもねぇよそんなの、悪魔とか!死神の方がお似合いだ!」
「ど、どうしたんです?!」
「転移者はどーも、異世界住民にはうんこに毛が生えた程度の知識しか持っていないと考えてる節がある!馬鹿言うんじゃねぇ!てめぇら如きの二流知識で無双できると思ったら大間違いだ!ここの奴らはそこまでアホじゃねーから!残念だったな!」
「は、はぁ・・・」
「大してやったことのない農業だって、余裕で成功させるし!俺なんか・・・あんなちっちゃい畑でも、血眼になって頑張ったのに!」
ビシぃ!と、男が指さす方へ顔を向けると、そこには小さなみすぼらしい畑があった。あぁ、頑張ったんだな と、思えるような出来栄えである
「どいつもこいつも転移するのは森の中!都合のいいことに、そこには魔法を極めたじーさんやらばーさんがいて、転移者の師匠になりやがる! なんでじーさんばーさん森の中にいるんだよ!ご都合主義か!あぁ?!」
ここにいる転移者にとってのじーさんばーさんが、自分だということに男は気づかない!
「そっこーで貴族の友達が出来るし!そっこーでお金持ちになるし!都合よくヒロインは襲われてるし!大体なんだよアイテムボックスって!俺も欲しいよ!こちとらリアカー引いてんだぞリアカー!」
「た、大変ですね・・・」
「鍛冶技術も魔法でごり押すし、知識は直接脳内に流れ込んでくるらしいし!ちったー努力したらどうなんだよ!それにそれに・・・!」
「サンダーボルト!」
ビリビリっ!
「きゅん!」
どて・・・
「と、とりあえず眠らせた」
「今回に関しては、感謝するわ・・・ それにしても、この人は転移者に親でも殺されたのかしらね・・・」
「そ、そろそろ本気で死んじゃいそう・・・」
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