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第二章 新たなメンバーは黄
第38話 出発直前
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「おれがリュック持とうか?」
そう言って真っ先に立候補した秋斗に、千紘と律は遠慮なくリュックを預けることにした。
もちろん立候補したからというだけではない。きちんとした理由もある。
まず、前衛で戦うことになる千紘にとってリュックは邪魔になるという理由で却下。
次に、主に回復役として重要になるであろう律は、荷物を持たせてあまり疲れさせるわけにはいかないのと、一番年下に持たせるのもどうかと考えたうえで却下。
結果、消去法も踏まえて、後衛で魔法を使う秋斗が適任だろうということで決定したのだ。
「じゃあ、リツにはこれを渡しておくわ」
「これは何ですか?」
リリアが律の手のひらに青い何かの欠片を乗せると、律は不思議そうな表情で首を捻った。
「あ、これミロワールの欠片じゃないか?」
すかさず隣から手のひらを覗き込んだ秋斗が、「ほら、これと同じだろ」と自分の手にあるものを律に見せる。つい先ほどリリアが持ってきた荷物の中にあった、秋斗用のミロワールの欠片だ。
「そう、前回アキトが壊したミロワールの欠片の一つよ。今回も私の魔力を込めてあるから多少の傷なら治せると思うわ」
「へー、そうなんですか……!」
「治癒魔法はちょっと特殊だから、本当は治癒魔法の術師がちゃんと魔力を込めたものが一番力を引き出せるんだけど、今はこの村にいないのよ。だから私の魔力で我慢して」
「わかりました!」
律は元気よく返事をしながら、ミロワールの欠片を指でそっとつまんで光に透かす。太陽の光を浴びた欠片がキラキラと眩しく輝いた。
「それからこれ、ダガーってこんな感じでいいのかしら? リツにと思ってとりあえず二本用意してみたんだけど」
そう言って、リリアがどこからか取り出したのは二本の小型のダガーだった。
どうやらマントと一緒に具現化してきたらしい。当然ではあるが、きちんと鞘も用意されている。
「はい、いつも撮影で使ってるのもこんな感じのなんで大丈夫です」
「りっちゃんはダガー四本を自在に扱う役だもんな。かっこいいよなぁ」
ありがたく二本のダガーを受け取る律を見た秋斗が、次に「おれには?」とリリアに催促するような視線を投げると、
「そう言うと思ったわよ。前回はすっかり忘れてたんだけど、魔法使いも護身用の武器は必要よね。ほらこれでいい?」
リリアは微苦笑を漏らしながら、律に渡したものと同じダガーを一本、秋斗に差し出した。
「おれも二本使ってみたかったなー」
受け取りながら、秋斗は残念そうにぽつりと零す。やはり律が羨ましいらしい。
その様子に、千紘が長剣を腰に装備しながら声を掛けた。
「律は扱う能力があるから二本で大丈夫なんだろうし、秋斗は水魔法だけだから無理だろ」
だから諦めろ、そう言い聞かせると秋斗はぐうの音も出なかったようで、渋々ではあるが首を縦に振る。
そして、そのまま数秒。
「……よし。千紘、りっちゃん。早く魔物を退治して、みんなを安心させような!」
すぐに気を取り直した秋斗がガッツポーズをすると、
「はい! 僕も頑張ります!」
律も同調するように張り切った声を上げた。
「二人とも元気だな……」
確かにみんなを安心させたいというところには千紘も同意できるが、今は早く地球に帰りたいという本音の方がどちらかと言えば大きい。
「……まあ、魔物退治して塩を買ってこないと帰してもらえないからな」
休んでいる暇も惜しいし、さっさと済ませて地球に帰るか、と秋斗と律に顔を向けると、二人とも笑顔で頷いた。
そう言って真っ先に立候補した秋斗に、千紘と律は遠慮なくリュックを預けることにした。
もちろん立候補したからというだけではない。きちんとした理由もある。
まず、前衛で戦うことになる千紘にとってリュックは邪魔になるという理由で却下。
次に、主に回復役として重要になるであろう律は、荷物を持たせてあまり疲れさせるわけにはいかないのと、一番年下に持たせるのもどうかと考えたうえで却下。
結果、消去法も踏まえて、後衛で魔法を使う秋斗が適任だろうということで決定したのだ。
「じゃあ、リツにはこれを渡しておくわ」
「これは何ですか?」
リリアが律の手のひらに青い何かの欠片を乗せると、律は不思議そうな表情で首を捻った。
「あ、これミロワールの欠片じゃないか?」
すかさず隣から手のひらを覗き込んだ秋斗が、「ほら、これと同じだろ」と自分の手にあるものを律に見せる。つい先ほどリリアが持ってきた荷物の中にあった、秋斗用のミロワールの欠片だ。
「そう、前回アキトが壊したミロワールの欠片の一つよ。今回も私の魔力を込めてあるから多少の傷なら治せると思うわ」
「へー、そうなんですか……!」
「治癒魔法はちょっと特殊だから、本当は治癒魔法の術師がちゃんと魔力を込めたものが一番力を引き出せるんだけど、今はこの村にいないのよ。だから私の魔力で我慢して」
「わかりました!」
律は元気よく返事をしながら、ミロワールの欠片を指でそっとつまんで光に透かす。太陽の光を浴びた欠片がキラキラと眩しく輝いた。
「それからこれ、ダガーってこんな感じでいいのかしら? リツにと思ってとりあえず二本用意してみたんだけど」
そう言って、リリアがどこからか取り出したのは二本の小型のダガーだった。
どうやらマントと一緒に具現化してきたらしい。当然ではあるが、きちんと鞘も用意されている。
「はい、いつも撮影で使ってるのもこんな感じのなんで大丈夫です」
「りっちゃんはダガー四本を自在に扱う役だもんな。かっこいいよなぁ」
ありがたく二本のダガーを受け取る律を見た秋斗が、次に「おれには?」とリリアに催促するような視線を投げると、
「そう言うと思ったわよ。前回はすっかり忘れてたんだけど、魔法使いも護身用の武器は必要よね。ほらこれでいい?」
リリアは微苦笑を漏らしながら、律に渡したものと同じダガーを一本、秋斗に差し出した。
「おれも二本使ってみたかったなー」
受け取りながら、秋斗は残念そうにぽつりと零す。やはり律が羨ましいらしい。
その様子に、千紘が長剣を腰に装備しながら声を掛けた。
「律は扱う能力があるから二本で大丈夫なんだろうし、秋斗は水魔法だけだから無理だろ」
だから諦めろ、そう言い聞かせると秋斗はぐうの音も出なかったようで、渋々ではあるが首を縦に振る。
そして、そのまま数秒。
「……よし。千紘、りっちゃん。早く魔物を退治して、みんなを安心させような!」
すぐに気を取り直した秋斗がガッツポーズをすると、
「はい! 僕も頑張ります!」
律も同調するように張り切った声を上げた。
「二人とも元気だな……」
確かにみんなを安心させたいというところには千紘も同意できるが、今は早く地球に帰りたいという本音の方がどちらかと言えば大きい。
「……まあ、魔物退治して塩を買ってこないと帰してもらえないからな」
休んでいる暇も惜しいし、さっさと済ませて地球に帰るか、と秋斗と律に顔を向けると、二人とも笑顔で頷いた。
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