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第31話 歴史が変わった(1)

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 トワイライトは歓喜していた。

「ぬわはははは! さあさあ、儂らの反撃開始じゃァ! 攻撃さえ通じるのなら、貴様ら等に後れを取る儂ではないわァ!」

 これまであらゆる攻撃を跳ね返してきたキカイの防御力。
 スピードやパワーなどは負けていない自信があったが、その防御力という一点を突き破れなかったがために、キカイに勝つことができなかった。
 そしてその結果、全人類が悲劇に見舞われた。
 自分も数多くの戦友や、幼いころから馴染みの者、互いに血と魂をかけてぶつかりあった敵たちすら、キカイによって奪われてきた。
 それはついこの間も同じこと。

――姫様……お二人が幼いころより今日までお仕えできて、実に本懐でありました。どうかご武運を。ワシらは先に逝きます。姫様たちは必ずやあの希望を……

 幼いころからの世話役。
 共に戦争に出ている以上、死という名の別れは付き物だと覚悟もしていた。
 しかし、それでも割り切れない。


「貴様らァ……貴様らの仲間である同じキカイが死んでいるというのに、動揺もしてなければ、泣いたりキレたりするわけでもか……魂あるのか?」

「警戒レベルアップ」

「こんな奴らに……こんなクソつまらぬ奴らが……今まで好き放題してくれたもんじゃのう!!」


 ましてや、相手は人を殺しても、仲間が殺されても大した反応を見せない、本当に人形のような存在。
 そんな相手にただ殺されるだけ。
 どうして、イバラは我慢ならなかった。

「これは爺の分じゃァ! これは、これは、これは、これはぁぁぁあ! 全員の怒りじゃァ!」

 だからこそ、荒ぶった。普段は冷静に敵を足止めすることや、ふっとばして距離を取ったりするようにして、不用意に必要以上な特攻はしなかった。
 しかし、今のトワイライトは違う。

「次じゃァ、もっとキカイどもを儂に誘導するのじゃァ!!」

 まるで自身の全てを出し切るかのように、タガが外れて暴れまわった。
 次々とキカイを粉砕し、蹂躙していく姿。
 それは暴れる鬼人……そして……

「すげぇ、トワイライト姫……」
「ああ、ああ! この日を待ってたんだ!」
「キカイに反撃し、そして姫が……ここまで……」
「よっしゃ、俺たちも体を張って言われたことを果たすんだ! 次代の魔王様のために!」
「おおおおっっ!!」

 まさに、暴れる魔王。
 その姿に突き動かされた魔族たちがより一層躍動する。

「姫だけではない! 小生も参るッ!!」

 また、トワイライトと同様に己の力を開放して暴れる、オルガス。

「今日の小生は武人としてではなく……貴様らにとってはただの災厄となろうぞ! ふふ、ふふふふ、ふははははは! これだ! 斬る! 斬れる! 殺せる! この感覚だ……ふふふふふ、ふはははは、子宮がたまらなく疼く♡」

 アークスに与えられた大剣を振り回し、キカイたちを両断し、時には砕き、時には突き刺し、圧倒的な力を見せつける。

「トワイライト姫もオルガスさんもすげえな……よし、俺もだ! 俺もこの屑鉄野郎どもに見せつけてやる!」

 そして、二人の活躍と熱く猛る兵士たちの姿に当てられて、アークスも動く。

「アークス、待ってください! モグラキカイだけでなく、当初こちらに来ると報告を受けていた―――」
「分かってるよ、クローナ。あっちの『30体』は……」

 当初、『30人』のキカイがこちらに接近しているという報告があり、その防衛のために世界連合軍たちは動こうとしたが、地中から襲撃したモグラキカイたちによって陣形を崩され、中心で乱戦となった。
 だが、今はトワイライトとオルガスの活躍でモグラキカイたちを返り討ちにできている一方で、その間にも30人のキカイたちもこちらへ辿り着こうとしている。
 そのキカイたちに対して、アークスが動く。

「俺が行くッ! クローナの命令は絶対に果たす!」
「アークス……」

 迷いなく、そして強く真っすぐな目でアークスは走り出す。
 そして……
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