20 / 290
第一章
第18話 今の自分も生活も嫌いじゃない
しおりを挟む
気づいたら、俺は常に油と火にまみれていた。
「あいよ! チャーハンお待ち! 餃子はもうちょいす!」
「ヴェルくん、こっちにも水ちょーだい!」
「あいよ!」
「ヴェルト~、俺のラメーンはまだか?」
「あいよ、すぐ持っていくっす!」
「ヴェル坊、さっさと注文来いってんだ! 昼休み終わっちまうだろ!」
「あいよっつってんだろ、ぶっとばすぞ!」
いい加減、うるせー。
どいつもこいつもヴェルヴェルヴェルヴェル、俺は呼び鈴じゃねえ!
つーか、この店は繁盛しすぎだろ。まあ、センセーのメシはウメーからな。
今や、店の客たちの頭上をラーメンの皿が行ったり来たりと、俺の浮遊魔法は、かなり進歩した。
「ヴェルくん。それ、終わったら今日はもう上がりでいいですよ。後はお手伝いの子たちも来ますから」
「カミさん、ちーす」
「もー、カミさんはやめてください~」
エプロンを付けながら休憩から帰ってきたのは、先生の『この世界』の奥さん。
名前は、ララーナ。
髪は肩ぐらいまでしかないが、長い前髪で目が隠れていることが多い。
見た目は地味で大人しそうで、学校に居たら本ばっか読んでクラスの隅に居そうなタイプだ。
だが、この間、俺は見てしまった。前髪上げたところを見たら、メチャクチャ可愛かった。
年齢は二十八と意外に高いが、ぶっちゃけ十代にしか見えない。
そして、俺は気づいてしまった。先生は現在三十二歳で十九歳の時に結婚したそうなので、結婚して十三年になる。
つまり、カミさんは十五歳の時に先生と結婚したことになる。
この世界は十五でも結婚できるそうなのだが、問題はそこではなく、前世では五十歳越えの高校教師だった先生が、十五歳――中学三年生の子に手を出して結婚したことになるのだ。
この間、先生に「犯罪じゃね?」と聞いたらぶん殴られた。
「ふい~、疲れた~、魔力もドッと減った感じだぜ」
親父とおふくろが死んでから、俺はこうして先生の家に居候している。
学校に行かなくなってからは、店の手伝いとラーメンの修行とで、普通に忙しい。
「ヴェルくん、ちょっといいですか?」
「あん? どうした、カミさん」
「はい、お給料です。いつも、いっぱい働いてくれてありがとうございます」
「お、おお~……って、あれ? これ、結構多いぞ? 俺の食費とか、家賃とか引いてないの?」
「こら! 子供がそんなことを気にしたらダメです。それに、ヴェルくんは居候じゃなくて、ウチの子ですから、問題ありません」
「いや、でも……いや、……ありがとう」
「ふふふ、それでいいんです! 今日はもう上がって良いですから、初任給で姫様に何か買ってあげたらどうですか?」
「欲しいモノは何でも手に入る姫様に?」
「気持ちが大事なんです!」
俺が居候という話をしたとき、カミさんは普通に歓迎してくれた。
まあ、二人に子供が居なかったからというのもあるが、今では俺に本当の子供のように接してくれている。誰にでも敬語を使ってしまうところが気になるが。
また、俺の方も普通にカミさんの甘やかしを照れくさいと思う反面、親父とおふくろのことを思い出して、素直に嬉しいと思うようにした。
「フォルナにね~、何を買う?」
あと、俺はあることを発見した。
俺は、最初は普通に自分自身の成長のためにとラーメン屋の手伝いを自分から申し出たが、正直なところ、今は充実感でいっぱいだった。
朝倉リューマ時代は遊んだり喧嘩したりばっかだったが、俺はこうやって汗水流して仕事をすることが嫌いではなかった。
ひょっとしたら、農業もマジメに取り組んでいれば、俺はワリと好きになれたかもしれない。もし、そうなったら、親父とおふくろもスゲー喜んでくれただろう。
そう思うと、やはり後悔してしまうが、もうそれは考えないことにする。
これからは、同じ後悔をしないようにするだけだ。
「ヴェルト、お仕事はもう終わりましたの?」
俺のシフトを既に完全に把握しているフォルナがひょっこりと店に顔を出した。
以前まではウザイただのマセガキと思っていたが、最近では考え方も変わってきた。
もちろん、恋愛感情は皆無だが、ブラコンの妹を相手にしているような気持ちにはなってきたのだ。
「ああ、ちょうどな」
「そうですの。迷惑はかけていませんね?」
「お前は俺のかーちゃんか?」
「心配して当然ですわ。あんな、まずい料理を出されて、しかもそれを『自分の覚悟』などと言われた日には」
「やっ、あれはまー、まだ修行段階なんだよ」
口うるさいのも愛情の裏返し。結局は俺のことが気になって、こうやって見に来てくれるわけだ。
「ほれ、さっさと行くぞ」
そんなフォルナの気持ちを温かく感じながら、俺は店を出た。
「ちょっ、待ちなさい! 行くってどちらへ?」
慌てて追いかけてくるフォルナ。
「街をブラブラだよ」
「はあ? ブラブラって、どういう意味ですの?」
「別に。ただ、お前をデートに誘ってやってるだけだよ」
まあ、給料も入ったし、奢ってやるぐらい……待て待て、何を驚愕の表情で打ち震えてやがる。
「ヴぇ、……ヴェルトが……ヴェルトがワタクシをデートに誘う!」
「嫌なら……」
「えっ、いや、あっ、いやっていうのは嫌っていうことではなくて、行きますわ! はいっ、はいっ、行きますですわ!」
なるほど。向こうにペースさえ握らせなければ、普通にこいつも可愛いもんだ。
ただ、あんまりこー、ギュッと手をつないだり、抱きついたりすんのはやめてほしい。
特に、顔を真っ赤にして照れているくせに自分からスキンシップしてくるのとか。
「ヴェルト……その、最近どうしましたの? 前から少し大人っぽいところもありましたが、最近は一段と素直ですわ」
「そう見えるか? だったら、ちょっとは俺も成長したってことなんじゃねえか?」
「~~~~……うふふ、うふふふふふふふふ」
「あん?」
「♪」
フォルナは、何だかとてもご機嫌だった。俺と繋いだ手をブランコのように揺らしながら、鼻歌交じりだ。
子供のくせに指を絡める、いわゆる恋人繋ぎというものなのだが……まぁ、拒否しないで俺も握り返してやると、フォルナはもっと嬉しそうに腕をぶんぶん振った。
「おっ、ヴェルト、今日は仕事終わりに奥さんとデートかい?」
「今日はっていうか、いつもだけどな~」
「あとは、ラメーンの腕をもっと上げろよな」
以前はウザいと思った街の声も、何だか今では余裕に感じた。
軽口でからかう連中ばかりだが、親父とおふくろが死んだとき、大勢の人たちが墓参りに来ては涙を流していた。
みんな、こうやって俺をからかっているようで、本音は俺のことを気にかけているんだ。
そういうことも分かるようになり、最近では俺も笑顔で対応することが多くなった気がした。
「も~、ヴェルトはモテモテですわね」
「はあ? 別にモテちゃいねーだろ。近所のワルガキを、ただ気にかけてくれてるだけさ」
「いいえ、ヴェルトはモテモテですわ! ただ、覚えておきなさい。ヴェルトが一番モテモテなのはワタクシにですからね!」
「……お前、頭いいけど、たまに馬鹿だろ?」
「真顔で言うのは失礼ですわ! もう、怒りましたわ、何か贈り物でもしていただかなければ収まりませんわ!」
「プレゼントか? まあ、丁度給料入ったし、あんま高いもんじゃなければそれぐらいは……」
「ヴェルドガブレゼンド! って、あなた、本当にワタクシのヴェルトですか? 森の魔獣が化けているとか、ワタクシが見ている夢ということはありませんわよね!」
「……いらねーのか?」
「い、いりますわ! いります! いるます! い、いる、いるから! ちょっ、え~っと……えっと……あっ!」
「結婚指輪とか言ったらハッ倒すからな」
「えっ……だ、ダメですの?」
「……は~……」
「な、なんですの、その呆れた顔は! ヴェルトのくせに生意気ですわ! でも、待ってくださいな。ちょっ、えっと、でしたら小物屋で、あ、でもお揃いの飾りものなど……えっと……」
俺たちは漫才でもやってるのか? 下らねえ茶番だ。でも、何だか楽しいとも思えた。
完全にテンパったフォルナはフラフラと露店の前を行ったり来たり。街中からクスクスと笑い声も聞こえている。
「ったく、ほら、あんま高いのじゃなくて、たとえば、このリボンとかどーだ?」
「リボンですわね! えっと、えーと、え~~~~~~っと」
「おい、悩むな。テキトーに気に入ったもんを言えよ」
「お黙りなさい! ちょっと真剣に考えますので、静かになさい!」
「お、おお」
おかしなものだ。ついこの間までは朝倉リューマとヴェルト・ジーハに板挟みになって、生きる目的も無かった。
だが、ちょっと自分の考え方を変えるだけで、こんなくだらないことにも、胸が温かくなる。
思えば、朝倉リューマの時、高校に行きだした頃はこんな感じだったかもしれない。
喧嘩ばかりで虚しい日々。学校生活に一喜一憂している連中がくだらないと思い、興味もなかった。
だが、ある日を境にその考え方も変わった。くだらないと思えた学校生活に対する気持ちが一変した。
「ん~、悩みますわ。ピンクと青……どちらが……」
そう、高校生活が楽しいと思えるようになってきた時と、同じ感覚だ。
ヴェルト・ジーハの考え方を変えてくれたのは、先生、そして親父とおふくろ、そしてこのマセガキ。
そして、朝倉リューマの考え方を変えてくれたのは……
―――楽しーね、朝倉くん!
「神乃……俺は今、楽しんでるよ。お前は……今、どうしている?」
いつか、今の俺を見せて、そして昔の俺のことでお前に礼を言いたい。
その気持ちが、更に強くなったよ。
「あいよ! チャーハンお待ち! 餃子はもうちょいす!」
「ヴェルくん、こっちにも水ちょーだい!」
「あいよ!」
「ヴェルト~、俺のラメーンはまだか?」
「あいよ、すぐ持っていくっす!」
「ヴェル坊、さっさと注文来いってんだ! 昼休み終わっちまうだろ!」
「あいよっつってんだろ、ぶっとばすぞ!」
いい加減、うるせー。
どいつもこいつもヴェルヴェルヴェルヴェル、俺は呼び鈴じゃねえ!
つーか、この店は繁盛しすぎだろ。まあ、センセーのメシはウメーからな。
今や、店の客たちの頭上をラーメンの皿が行ったり来たりと、俺の浮遊魔法は、かなり進歩した。
「ヴェルくん。それ、終わったら今日はもう上がりでいいですよ。後はお手伝いの子たちも来ますから」
「カミさん、ちーす」
「もー、カミさんはやめてください~」
エプロンを付けながら休憩から帰ってきたのは、先生の『この世界』の奥さん。
名前は、ララーナ。
髪は肩ぐらいまでしかないが、長い前髪で目が隠れていることが多い。
見た目は地味で大人しそうで、学校に居たら本ばっか読んでクラスの隅に居そうなタイプだ。
だが、この間、俺は見てしまった。前髪上げたところを見たら、メチャクチャ可愛かった。
年齢は二十八と意外に高いが、ぶっちゃけ十代にしか見えない。
そして、俺は気づいてしまった。先生は現在三十二歳で十九歳の時に結婚したそうなので、結婚して十三年になる。
つまり、カミさんは十五歳の時に先生と結婚したことになる。
この世界は十五でも結婚できるそうなのだが、問題はそこではなく、前世では五十歳越えの高校教師だった先生が、十五歳――中学三年生の子に手を出して結婚したことになるのだ。
この間、先生に「犯罪じゃね?」と聞いたらぶん殴られた。
「ふい~、疲れた~、魔力もドッと減った感じだぜ」
親父とおふくろが死んでから、俺はこうして先生の家に居候している。
学校に行かなくなってからは、店の手伝いとラーメンの修行とで、普通に忙しい。
「ヴェルくん、ちょっといいですか?」
「あん? どうした、カミさん」
「はい、お給料です。いつも、いっぱい働いてくれてありがとうございます」
「お、おお~……って、あれ? これ、結構多いぞ? 俺の食費とか、家賃とか引いてないの?」
「こら! 子供がそんなことを気にしたらダメです。それに、ヴェルくんは居候じゃなくて、ウチの子ですから、問題ありません」
「いや、でも……いや、……ありがとう」
「ふふふ、それでいいんです! 今日はもう上がって良いですから、初任給で姫様に何か買ってあげたらどうですか?」
「欲しいモノは何でも手に入る姫様に?」
「気持ちが大事なんです!」
俺が居候という話をしたとき、カミさんは普通に歓迎してくれた。
まあ、二人に子供が居なかったからというのもあるが、今では俺に本当の子供のように接してくれている。誰にでも敬語を使ってしまうところが気になるが。
また、俺の方も普通にカミさんの甘やかしを照れくさいと思う反面、親父とおふくろのことを思い出して、素直に嬉しいと思うようにした。
「フォルナにね~、何を買う?」
あと、俺はあることを発見した。
俺は、最初は普通に自分自身の成長のためにとラーメン屋の手伝いを自分から申し出たが、正直なところ、今は充実感でいっぱいだった。
朝倉リューマ時代は遊んだり喧嘩したりばっかだったが、俺はこうやって汗水流して仕事をすることが嫌いではなかった。
ひょっとしたら、農業もマジメに取り組んでいれば、俺はワリと好きになれたかもしれない。もし、そうなったら、親父とおふくろもスゲー喜んでくれただろう。
そう思うと、やはり後悔してしまうが、もうそれは考えないことにする。
これからは、同じ後悔をしないようにするだけだ。
「ヴェルト、お仕事はもう終わりましたの?」
俺のシフトを既に完全に把握しているフォルナがひょっこりと店に顔を出した。
以前まではウザイただのマセガキと思っていたが、最近では考え方も変わってきた。
もちろん、恋愛感情は皆無だが、ブラコンの妹を相手にしているような気持ちにはなってきたのだ。
「ああ、ちょうどな」
「そうですの。迷惑はかけていませんね?」
「お前は俺のかーちゃんか?」
「心配して当然ですわ。あんな、まずい料理を出されて、しかもそれを『自分の覚悟』などと言われた日には」
「やっ、あれはまー、まだ修行段階なんだよ」
口うるさいのも愛情の裏返し。結局は俺のことが気になって、こうやって見に来てくれるわけだ。
「ほれ、さっさと行くぞ」
そんなフォルナの気持ちを温かく感じながら、俺は店を出た。
「ちょっ、待ちなさい! 行くってどちらへ?」
慌てて追いかけてくるフォルナ。
「街をブラブラだよ」
「はあ? ブラブラって、どういう意味ですの?」
「別に。ただ、お前をデートに誘ってやってるだけだよ」
まあ、給料も入ったし、奢ってやるぐらい……待て待て、何を驚愕の表情で打ち震えてやがる。
「ヴぇ、……ヴェルトが……ヴェルトがワタクシをデートに誘う!」
「嫌なら……」
「えっ、いや、あっ、いやっていうのは嫌っていうことではなくて、行きますわ! はいっ、はいっ、行きますですわ!」
なるほど。向こうにペースさえ握らせなければ、普通にこいつも可愛いもんだ。
ただ、あんまりこー、ギュッと手をつないだり、抱きついたりすんのはやめてほしい。
特に、顔を真っ赤にして照れているくせに自分からスキンシップしてくるのとか。
「ヴェルト……その、最近どうしましたの? 前から少し大人っぽいところもありましたが、最近は一段と素直ですわ」
「そう見えるか? だったら、ちょっとは俺も成長したってことなんじゃねえか?」
「~~~~……うふふ、うふふふふふふふふ」
「あん?」
「♪」
フォルナは、何だかとてもご機嫌だった。俺と繋いだ手をブランコのように揺らしながら、鼻歌交じりだ。
子供のくせに指を絡める、いわゆる恋人繋ぎというものなのだが……まぁ、拒否しないで俺も握り返してやると、フォルナはもっと嬉しそうに腕をぶんぶん振った。
「おっ、ヴェルト、今日は仕事終わりに奥さんとデートかい?」
「今日はっていうか、いつもだけどな~」
「あとは、ラメーンの腕をもっと上げろよな」
以前はウザいと思った街の声も、何だか今では余裕に感じた。
軽口でからかう連中ばかりだが、親父とおふくろが死んだとき、大勢の人たちが墓参りに来ては涙を流していた。
みんな、こうやって俺をからかっているようで、本音は俺のことを気にかけているんだ。
そういうことも分かるようになり、最近では俺も笑顔で対応することが多くなった気がした。
「も~、ヴェルトはモテモテですわね」
「はあ? 別にモテちゃいねーだろ。近所のワルガキを、ただ気にかけてくれてるだけさ」
「いいえ、ヴェルトはモテモテですわ! ただ、覚えておきなさい。ヴェルトが一番モテモテなのはワタクシにですからね!」
「……お前、頭いいけど、たまに馬鹿だろ?」
「真顔で言うのは失礼ですわ! もう、怒りましたわ、何か贈り物でもしていただかなければ収まりませんわ!」
「プレゼントか? まあ、丁度給料入ったし、あんま高いもんじゃなければそれぐらいは……」
「ヴェルドガブレゼンド! って、あなた、本当にワタクシのヴェルトですか? 森の魔獣が化けているとか、ワタクシが見ている夢ということはありませんわよね!」
「……いらねーのか?」
「い、いりますわ! いります! いるます! い、いる、いるから! ちょっ、え~っと……えっと……あっ!」
「結婚指輪とか言ったらハッ倒すからな」
「えっ……だ、ダメですの?」
「……は~……」
「な、なんですの、その呆れた顔は! ヴェルトのくせに生意気ですわ! でも、待ってくださいな。ちょっ、えっと、でしたら小物屋で、あ、でもお揃いの飾りものなど……えっと……」
俺たちは漫才でもやってるのか? 下らねえ茶番だ。でも、何だか楽しいとも思えた。
完全にテンパったフォルナはフラフラと露店の前を行ったり来たり。街中からクスクスと笑い声も聞こえている。
「ったく、ほら、あんま高いのじゃなくて、たとえば、このリボンとかどーだ?」
「リボンですわね! えっと、えーと、え~~~~~~っと」
「おい、悩むな。テキトーに気に入ったもんを言えよ」
「お黙りなさい! ちょっと真剣に考えますので、静かになさい!」
「お、おお」
おかしなものだ。ついこの間までは朝倉リューマとヴェルト・ジーハに板挟みになって、生きる目的も無かった。
だが、ちょっと自分の考え方を変えるだけで、こんなくだらないことにも、胸が温かくなる。
思えば、朝倉リューマの時、高校に行きだした頃はこんな感じだったかもしれない。
喧嘩ばかりで虚しい日々。学校生活に一喜一憂している連中がくだらないと思い、興味もなかった。
だが、ある日を境にその考え方も変わった。くだらないと思えた学校生活に対する気持ちが一変した。
「ん~、悩みますわ。ピンクと青……どちらが……」
そう、高校生活が楽しいと思えるようになってきた時と、同じ感覚だ。
ヴェルト・ジーハの考え方を変えてくれたのは、先生、そして親父とおふくろ、そしてこのマセガキ。
そして、朝倉リューマの考え方を変えてくれたのは……
―――楽しーね、朝倉くん!
「神乃……俺は今、楽しんでるよ。お前は……今、どうしている?」
いつか、今の俺を見せて、そして昔の俺のことでお前に礼を言いたい。
その気持ちが、更に強くなったよ。
0
お気に入りに追加
683
あなたにおすすめの小説
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
【完結】転生令嬢は逃げ出したい~穏便に婚約解消されたのにバッドエンドの監禁魔が追ってきます。
こみあ
恋愛
「リザ、別れよう」
すらっとした細身に美しい金髪、愁いをおびた私の婚約者、セド王子から婚約破棄を言い渡されました。
全然おっけー。
だってこれは全部私が仕組んだことなのですもの。
これで当て馬追放→王室薬師に下げ渡され→監禁→ヤバい薬漬けの極悪バッドエンドは、きっと回避できたはず。
あとはセドからたっぷり破談金せしめ……頂いて、買った薬局で毎日通ってくる『血まみれ筋肉』……じゃなかったお客様たちを愛でて悠々自適に暮らすのです!
……と思ってたのに、なぜか監禁ルートの張本人、王室薬師カーティスがついてきた!
極悪バッドエンドから逃げ出したい転生令嬢リザが、執着系薬師カーティスの魔の手にポロリと落ちるまでの、ケンカップル恋愛事情。
ーーー
R15版完結しました。
完結後、猫の日のSSを一番最後に移動しました。
以前のおまけを6話目から変更して婚姻編R15ギリギリ版を追加しました。
ケンカップルが書きたい一心で書いています。
恋愛小説大賞に登録してますので合わせてよろしくお願いいたします。
終わりなき進化の果てに──魔物っ娘と歩む異世界冒険紀行──
淡雪融
ファンタジー
誰がスライムが最弱だと、ゾンビが最弱だと、ゴブリンが最弱だと言った。今までは彼らは常に狩られる立場であった。だがその運命は一人の少年によって大きく逆転する。少年のスキルによってもたらされたのは、終わらない進化、進化、進化──。最弱と蔑まれた魔物が進化すれば、やがて可愛く美しい魔物っ娘へと、そして神話上の魔物、伝説殺し、SS級を超えたSSS級の魔物へと。世界の何よりも可愛く美しく進化した最強最凶な魔物っ娘たちと、一人の少年が織り成す異世界冒険ファンタジー。
もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~
鐘ケ江 しのぶ
ファンタジー
第15回ファンタジー大賞、奨励賞頂きました。
投票していただいた皆さん、ありがとうございます。
励みになりましたので、感想欄は受け付けのままにします。基本的には返信しませんので、ご了承ください。
「あんたいいかげんにせんねっ」
異世界にある大国ディレナスの王子が聖女召喚を行った。呼ばれたのは聖女の称号をもつ華憐と、派手な母親と、華憐の弟と妹。テンプレートのように巻き込まれたのは、聖女華憐に散々迷惑をかけられてきた、水澤一家。
ディレナスの大臣の1人が申し訳ないからと、世話をしてくれるが、絶対にあの華憐が何かやらかすに決まっている。一番の被害者である水澤家長女優衣には、新種のスキルが異世界転移特典のようにあった。『ルーム』だ。
一緒に巻き込まれた両親と弟にもそれぞれスキルがあるが、優衣のスキルだけ異質に思えた。だが、当人はこれでどうにかして、家族と溺愛している愛犬花を守れないかと思う。
まずは、聖女となった華憐から逃げることだ。
聖女召喚に巻き込まれた4人家族+愛犬の、のんびりで、もふもふな生活のつもりが……………
ゆるっと設定、方言がちらほら出ますので、読みにくい解釈しにくい箇所があるかと思いますが、ご了承頂けたら幸いです。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜
ぽん
ファンタジー
⭐︎書籍化決定⭐︎
『拾ってたものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』
第2巻:2024年5月20日(月)に各書店に発送されます。
書籍化される[106話]まで引き下げレンタル版と差し替えさせて頂きます。
第1巻:2023年12月〜
改稿を入れて読みやすくなっております。
是非♪
==================
1人ぼっちだった相沢庵は小さな子狼に気に入られ、共に異世界に送られた。
絶対神リュオンが求めたのは2人で自由に生きる事。
前作でダークエルフの脅威に触れた世界は各地で起こっている不可解な事に憂慮し始めた。
そんな中、異世界にて様々な出会いをし家族を得たイオリはリュオンの願い通り自由に生きていく。
まだ、読んでらっしゃらない方は先に『拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』をご覧下さい。
前作に続き、のんびりと投稿してまいります。
気長なお付き合いを願います。
よろしくお願いします。
※念の為R15にしています。
※誤字脱字が存在する可能性か高いです。
苦笑いで許して下さい。
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 11/22ノベル5巻、コミックス1巻刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロが苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる