上 下
28 / 46

第28話 何が国だ!

しおりを挟む
「なかなかの熱風……坊ちゃま……炎化の力を既にかなり使いこなされているな(正直アレは無敵のようで危ないのだがな。小生のように魔力を纏って攻撃するタイプだったり、水や氷の魔法で攻撃されたら甚大なダメージを受ける……。それを分からずに無敵と勘違いして暴れぬよう坊ちゃまに目を光らせねばな……何だったら監禁して小生が坊ちゃまを……ん? 世界や人類の未来などどうでもいいと思えば……それもアリではないか? むしろ坊ちゃまが無駄に強くなられると、いざ小生が攫おうとしたり、我慢できずに襲おうとしたとき、無駄に抵抗されて厄介……ぬ? 今のうちに坊ちゃまを攫って誰もいない無人島でも購入して一生二人でドスケベライフも……アリか? いや、何を言っている……子が産まれたら二人だけの生活ではなくなるではないか! いやいや、何を言っている! そうではない! 小生は坊ちゃまの方から無理やり調教されて乱暴にされたいのだ! 小生から襲っては意味がないではないか!)」

 強烈な突風と熱風の混ざった爆風。
 
「きゃあ、す、すごい風!?」
「わあああ、と、飛ばされるウ!?」
「ハビリ先輩、す、すご……あのチオという子も……」

 周囲の観戦者たちも吹き飛ばされないように……おおおおお、パンチら天国……って、俺は真面目に生きるんだ! 煩悩よ燃え尽きろ!

「チオも本気の蹴りで坊ちゃまを炎ごと蹴り飛ばそうとしたようだな……(むぅ、それにしても……この学園の小娘ども……意外とエッチなパンティーを履いているものが多いな……赤、白、黄色……スケスケの黒……それに比べてネメス殿は猫……だが、坊ちゃまは小生の紐の食い込みパンティーにも貪りつかぬ精神力。まだ、パンチラごときでは大丈夫なはず……むむっ!?)」

 さて、どうなった?
 チオのケリを俺は正面から激しい炎を纏って受け止めたが、その中でチオは……

「へへ、ほんっと強いじゃないのよぉ、先輩。男の人相手にここまで熱くなったのはパパ以来かもね……もう、とことんやりたくなってきたわ!」

 爆風が晴れその中にはまだまだ元気そうな…………ん?


「気に入ったわ、先輩! ねえ、もっとやりましょうよ! 熱くて興奮する情熱的な時間を!」

「ちょっ!?」

「「「「「おおわああああああああああ!!??」」」」」


 そのとき、俺は……見てしまった……他の奴らも衝撃を受けている。

「なに、ボーっとしてんのよ、こっちからいっちゃうわよ? せいっ!」

 チオの……制服の……スカートが消滅している……戦闘中にチラチラ見えていた縞々のパンツすらも……靴も……靴下も……

「そりゃぁああああ! 魔閃上段蹴りッ!!」
「ばっ!? お、おまっ!?」

 下半身に何を身に着けていない状態で、足を大きく広げてハイキック!?
 ば、おま、見え、る!? ってか、ネメスといい、最近の新入生は……って、そうじゃなくてぇ!

「ごばっ!?」
「え、あ、当たった? 体も炎化してない? 魔力切れ? いずれにせよ、チャンスッ!」

 まさかこいつ気づいていない!? 
 尻も丸出しなのに!?

「水面蹴りイ!」
「ちょ、ま、まて、うげ!」
「待たないわよッ! 勝機は一気に攻めるわ!」

 足払いをされ、俺が尻もちついて、その瞬間、チオはジャンプして俺に「馬乗り」になり……


「「「「「ぎゃああああああああああああああ!!!???」」」」」

「ふぉっ?! ちょ、待つのじゃあ、そ、それはあ!?」

「せ、先輩いがああああ!?」

「ぼ、坊ちゃまの顔面にッ!? ちょ、き、貴様ぁああああ!」


 俺の顔面に……ああ……この素肌を通して感じるモノ……どこか懐かしさがある……この顔面に触れる感触は―――

「へへーん、どうよ――――――ひゃん!? え、な、なに、今の、ゾクって……え?」

 その瞬間、チオの体が俺の顔面の上で硬直したのが分かった。
 震えている。
 熱くなっている。
 ようやく今の自分の状況に気づいたんだろう。

「え、う、うそ、え? え? ぇ……うぇ? え? なん、で……」

 おそらくさっきのぶつかり合いで、こいつのスカートもパンツも靴も靴下も燃え尽きたか消滅したか……いずれにせよ……

「う、う、そぉ……い、い……いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 チオの発狂が学園中に響き渡った。

「坊ちゃま!? (なんあなな、なんという羨しいことを!? 小生はループして奴隷になってから今日にいたるまで、い、いまだに坊ちゃまにしてなければ、されてもないというのに、そ、それなのに、い、いきなり坊ちゃまの!? 小生としたことが油断した! まさか、まさかよりにもよってチオが先に坊ちゃまに!?)」

 そう、俺は今……ループ以来のこの懐かしいような……ってちが?!

「もがぁあああ!?」
「ひゃうあああ、あ、うああああああああ!?」

 俺がハッとした瞬間、チオはそのまま痺れながら飛び退いて蹲った。

「う、うそ、うそでしょぉおおおおおお!? いやああ、なんでこんあああんやあああああ!?」

 もはや何を言っているかも分からないぐらいの悲鳴。
 俺は慌てて制服の上着を脱いでチオにかける。


「す、すまん、俺も無我夢中で……いや、なんというか、俺も何でここまでになったか分からないが、す、すまん!」

「すまんじゃないわよぉおおお! み、見られたぁあ! し、しかも、しかもぉおお、わ、私んおおおおおお!」

「お、落ち着け、お、おち、と、とにかく一旦冷静に! お前はこれから国を背負って―――」

「何がクニだよ、ク●●されたはおらぁああああ!」

 
 し、していないはず……●●●はしていないはず……していないはずだが……一瞬、俺は無意識に体が……


「ハ、ハビリ先輩……わ、わわあ……」

「ぐぬぅ、何と羨ましい、小生はまだだというのに、おのれえええ!」


 そして、周囲ももはや呆気に取られているというか、この大惨事に言葉を失っている様子。
 そして……


「しかも、しかも……学園の連中に見られた……わ、私のぉ、パ●●●までぇえ! まだ生えてないお子様だって思われて……う、うう、ひっぐ……」

「チ、チオ……あ……あのよ……」


 くそ、なんかないか? 土下座や謝罪以外でどうにかこいつに償い、こいつ対する励ましの言葉的な……何か、何か―――


「えっと……お、俺はツルツルの方が好きだぜ!」

「ッッッ!!??」


 そう、俺はループ前でもソードとマギナのを剃っ……って、俺はなにをぉおおおお!?

(わあ、あう、先輩、そっちが好きなんだ……よかった……って、僕は何をぉお!?)
(うむうむ……って、そうではないであろう坊ちゃま! 坊ちゃまは剃る行為も好きであろう!)

 俺も混乱しているからか言葉がうまく出てこず、そしてチオは……


「……やめてやる……」

「……え?」

「もう、学校来れないじゃないのよぉおお、このチ●カ●クソ野郎ッッッ!」

 
 そのまま鬼のような形相で涙を流しながら立ち上がり……
 
 

「もうお嫁にいけないし、もうやめてやるうううううううううううううううううううううううううう!! もうこんな学園二度と来るもんかァあああああ!!」

「ちょ、お、おいーーーー!?」


 そして、チオは学校をやめると叫びながら、下半身全裸ダッシュでその場から走り去ってしまった。





 
 こうしてチオは翌日から学園に来なくなった。





 あれ?




 奇跡の黄金世代また一人減った?




 ヤバい……


「うわああああん、見られたぁああ、口をおぉおおおお、ファーストキスもまだなのにぃ、なんでこっちにキキキキ、され……うきゃああああ! もう生きていけないわよぉ、お嫁に行けないわよぉ! 私は私より強くて逞しい人のお嫁さんになるって決めてたのに、もうお嫁にいけな――――――――――あれ? ……私より強くて……逞しい……あれ? ~~~ううん、ありえないわ! あんなクソエロ雑魚、……いや、雑魚じゃないけど……でもなしなしなしなし! あんなの無しなんだからぁ~~~、うわぁあああん!」


 この世界はどうなっちまうんだ!?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

1000億円の遺産があります、異世界に

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に投稿しています。 19話10万字の完結作です。 『異世界で人生やり直し』 佐藤直太朗は夢の中で見ず知らずに金髪老女に話しかけられた。 とんでもなく居丈高な態度で、普通の人間なら聞く気になれない話し方だった。 しかも異世界に千億もの遺産があると言う荒唐無稽な話だった。 普通の人間なら絶対に信じない話だ。 それでなくても弟と手を組んだ伯母に陥れられた直太朗は人間不信となっていた。 だから完全拒否の態度で応答した。 その態度に苛立った金髪に老女は、強硬手段に出た。 無理矢理直太朗を異世界に召喚したのだった。

嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない

AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。 かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。 俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。 *書籍化に際してタイトルを変更いたしました!

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

処理中です...