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第四話 予想通りにいらっしゃい
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「ん? アレはなんだ? 騒がしいな、何かトラブルかな?」
校門から中に入られたソラくん。すると早速何かに気づかれたようです。
「ねえ、君は新入生だろ? かわいいじゃん。ほら、ちゃんと僕に挨拶しな。僕はナリキンヌ家の貴族、ナヒカーリだ。君は幸運だ。入学早々僕に目をかけられるなんてね。ほら、式なんてサボってそこの空き校舎にでもいって、僕と親密にならないか?」
「あ、その、私……ご、ごめんなさい、し、失礼しま、きゃっ!?」
「どこへ行くんだい? 平民の分際で僕の誘いを断るだなんて」
全身をキラキラさせたナヨナヨの男の子が、オドオドした可愛らしい女の子の手首を掴んでいます。
『はい、噛ませ犬きたー! 予想通りに、いらっしゃ~い♪ 俺tueeeされるためだけしか役目のない定番の噛ませ犬が一人ご登場なのだ~!』
と、そこで御主神さまはビシッと騒ぎに指差しました。
『ここから勇者の孫とあの貴族が言い争うのだ! 『やめろ!』、『なんだい君は!』、『別に名乗るほどじゃねえよ』、『無礼者め! 僕を誰だか知らないのか』、『知らないな』、『おのれええ、決闘だ!』、『やれやれ、俺は目立ちたくないんだけどな』……ってなるぞ! よし、なれなければ今晩、妾の乳をずーっと好きにしてよいぞ、マイン!』
興奮した様子の御主神さま。
そして……
「やめろ!」
「何だ君は!」
「別に名乗るほどの―――」
「――――――――」
「うんたらかんたら」
「うんぬんかんぬん」
「あーでもないこーでもない」
「ぺらぺらぺーら」
「かくかく」
「しかじか」
すごい……ところどころ、言葉が付け足されるけど、大まかな流れは御主神さまが予想されたとおりで……
「決闘だ! 先輩として、貴族として、平民に僕の力を思い知らせてやる」
「やれやれ、俺は目立ちたくないんだけどな」
『ほれきたーーーー! いえーーい、言ったのだー! ほれみたことか、ほれほれほーれ♪』
『お、お見事です、御主神さま……』
すごい。本当にその通りの流れになりました。
『で、決闘が終わったら、学園中が『あいつは何者だ?!』となって、で、なんやかんやであの娘が惚れる』
『そうなんですか!? まさか当事者以外の心の揺れ動きまで予言されるとは……さすが御主神さま!』
『はっはっはっは、褒めてたも! 妾はアカシックレコードにアクセスせずとも歴史を看破するのだ!』
『お見事です! で……どうします?』
『一応正解かどうかを見てみようぞ。そんで、その後にチートを回収だ♪』
『え、見るのですか? でも、そうなると結局彼がすごいということがバレちゃいますよ?』
『ん? ……ん~……なら、見物人たちと本人たちの記憶を消せばよかろう。あと勇者が、自分の孫がどれだけ強いかの認識をいじくれば……』
『で、でも……』
『なんだ? 妾になにか意見か?』
『い、いえ……』
そのとき、僕は心の中に僅かな引っかかりを感じました。
どれだけ強いかの認識を弄る。彼の強さは、神が与えたチートに起因するもの。でも、彼が勇者の下で十年以上も努力していたことは紛れもなく、チートだけではなく、彼自身の……その認識を弄る……?
校門から中に入られたソラくん。すると早速何かに気づかれたようです。
「ねえ、君は新入生だろ? かわいいじゃん。ほら、ちゃんと僕に挨拶しな。僕はナリキンヌ家の貴族、ナヒカーリだ。君は幸運だ。入学早々僕に目をかけられるなんてね。ほら、式なんてサボってそこの空き校舎にでもいって、僕と親密にならないか?」
「あ、その、私……ご、ごめんなさい、し、失礼しま、きゃっ!?」
「どこへ行くんだい? 平民の分際で僕の誘いを断るだなんて」
全身をキラキラさせたナヨナヨの男の子が、オドオドした可愛らしい女の子の手首を掴んでいます。
『はい、噛ませ犬きたー! 予想通りに、いらっしゃ~い♪ 俺tueeeされるためだけしか役目のない定番の噛ませ犬が一人ご登場なのだ~!』
と、そこで御主神さまはビシッと騒ぎに指差しました。
『ここから勇者の孫とあの貴族が言い争うのだ! 『やめろ!』、『なんだい君は!』、『別に名乗るほどじゃねえよ』、『無礼者め! 僕を誰だか知らないのか』、『知らないな』、『おのれええ、決闘だ!』、『やれやれ、俺は目立ちたくないんだけどな』……ってなるぞ! よし、なれなければ今晩、妾の乳をずーっと好きにしてよいぞ、マイン!』
興奮した様子の御主神さま。
そして……
「やめろ!」
「何だ君は!」
「別に名乗るほどの―――」
「――――――――」
「うんたらかんたら」
「うんぬんかんぬん」
「あーでもないこーでもない」
「ぺらぺらぺーら」
「かくかく」
「しかじか」
すごい……ところどころ、言葉が付け足されるけど、大まかな流れは御主神さまが予想されたとおりで……
「決闘だ! 先輩として、貴族として、平民に僕の力を思い知らせてやる」
「やれやれ、俺は目立ちたくないんだけどな」
『ほれきたーーーー! いえーーい、言ったのだー! ほれみたことか、ほれほれほーれ♪』
『お、お見事です、御主神さま……』
すごい。本当にその通りの流れになりました。
『で、決闘が終わったら、学園中が『あいつは何者だ?!』となって、で、なんやかんやであの娘が惚れる』
『そうなんですか!? まさか当事者以外の心の揺れ動きまで予言されるとは……さすが御主神さま!』
『はっはっはっは、褒めてたも! 妾はアカシックレコードにアクセスせずとも歴史を看破するのだ!』
『お見事です! で……どうします?』
『一応正解かどうかを見てみようぞ。そんで、その後にチートを回収だ♪』
『え、見るのですか? でも、そうなると結局彼がすごいということがバレちゃいますよ?』
『ん? ……ん~……なら、見物人たちと本人たちの記憶を消せばよかろう。あと勇者が、自分の孫がどれだけ強いかの認識をいじくれば……』
『で、でも……』
『なんだ? 妾になにか意見か?』
『い、いえ……』
そのとき、僕は心の中に僅かな引っかかりを感じました。
どれだけ強いかの認識を弄る。彼の強さは、神が与えたチートに起因するもの。でも、彼が勇者の下で十年以上も努力していたことは紛れもなく、チートだけではなく、彼自身の……その認識を弄る……?
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