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01:コタくん
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新作を書きました。
中盤まではラブコメです。
ですがNTRなので注意してください。
―――――
彼との出会いは中学2年生のクラス替え。
それまでは顔は知ってるけど話したことのない、ただの同級生だったんだけど、クラス替えをして席が隣同士になったことがきっかけで良くお話をするようになった。
「俺の名前は浜崎鼓太郎って言うんだ。これからよろしくな」
「私は三島弥生です。こちらこそよろしくね」
彼の第一印象はとても優しそうだった。
声色もそうだし、何よりも穏やかな笑顔がとても印象的だったのだ。
あと、話すようになってから共通の趣味があることも分かった。
その趣味はドラマ鑑賞。
ドラマを観た翌日は、二人でドラマの感想を言い合ったり、サスペンス系だとお互いの推理を披露しあったりしていた。
彼の感想や推理は私よりも深くて、いつも関心させられてしまう。
そんな彼の話を聞くのが私はいつの間にかとても好きになっていた。
お互いに異性の中で一番仲の良いクラスメイトって感じになって、お互いの呼び名もいつしか「弥生」と「コタくん」に変わった。
そして一学期が終わって夏休みが近付いてくると、近所の神社で毎年恒例の夏祭りが開催される。
その夏祭りにコタくんと私を含む男女4人組で遊びに行くことになった。
この4人組は学校でも仲良しで、いつもみんなで楽しくお話をしている間柄だった。
一緒に夏祭りに行く女の子は、親友の山根瞳ちゃん。
瞳ちゃんはクラスどころか、学校内でも人気が高く、何人もの人が告白をしていた。
だけど、どんなかっこいい先輩や同級生に告白されても、全て振っちゃうんだからなんかかっこいいなって思っちゃう。
ある日なんで付き合わないのか聞いてみたんだけど、「私一年の頃から好きな人がいるんだ」と言っていた。
瞳ちゃんがこんなにも好きな人ってどういう人なんだろう? って興味はあったけど、それ以上は聞いちゃダメなオーラが漂ってたから聞かないようにしたんだよね。
「おっ、三島も山根も浴衣かよ! めっちゃいいじゃん! なっ、鼓太郎もそう思うだろ?」
「あっ、あぁ。2人とも良く似合ってるよ」
待ち合わせに来て最初に声を掛けてきたのが小金井聡くん。
聡くんはコタくんの小学生の頃からの親友だ。
そして瞳ちゃんと同様に、聡くんもとてもモテる人だった。
外見はイケメンだし、スポーツも万能だから女の子からの人気がとても高いのだ。
だけど、不思議なことに聡くんも誰とも付き合わずに、告白を断っているらしい。
瞳ちゃんは好きな人がいるみたいだけど、聡くんはどうなんだろう?
聡くんの恋愛話は聞いたことがなかった。
私はというと、実はこの時点でコタくんにクラスメイト以上の感情を抱くようになっていた。
だから浴衣も着たし、髪の毛も頑張ってヘアアレンジしてみた。
だって、瞳ちゃんが一緒にいると、どうしても外見で負けちゃうからコタくんに私のことを見てもらいたいと思ったから。
コタくんが誰を好きなのかとか聞いたことはないけど、外見では瞳ちゃんに絶対に負けちゃうのは分かってる。
だけど、コタくんが瞳ちゃんばかり見ちゃったら寂しいし、やっぱり悔しくなっちゃうもん。
この神社のお祭りは、特別な催しなどがあるわけではなく、出店が立ち並んでるだけなんだけど、赤い提灯で照らされるお祭りの雰囲気はまるで別世界のようで、私の気持ちをふわふわとさせてしまう。
一頻りお祭りを楽しんだ私たちは、境内にあるテーブル付きのベンチに座って休憩をすることにした。
そこでコタくんが「俺、たこ焼きとか買ってくるわ。荷物多くなるかもだから弥生も着いてきてよ」って言うから私は犬のように喜んで後を着いて行く。
「せっかく休憩してたのに付き合わせてごめんな」
「ううん。いいんだよ。コタくんと2人でお祭りに来てるみたいで嬉しいし」
私がそう言うと、ちょっと顔を赤らめてそっぽを向いてしまった。
よくよくさっきの私の言葉を思い返してみると、なんか告白したみたいな感じで私も途端に恥ずかしくなってしまう。
するとコタくんが急に私の手を掴んだと思ったら、人気のない屋台の裏の方まで連れて行かれてしまった。
急にどうしたんだろうって不思議に思ってコタくんの顔を見ると、恥ずかしそうにしてるけど、どこか真剣な目で私のことを見ている。
その瞬間私の心臓は飛び跳ねるようにドキドキしてしまった。
「急にこんなところに連れてきてごめんな」
「ううん。けど、どうしたの?」
私は卑怯だ。
次にコタくんが何を言うのかくらい分かっているのに、わざと知らないフリをして質問をする
「あのな、俺弥生のことが好きなんだ。もし良かったら付き合ってくれないか?」
私はとても嬉しくて、「はい。お願いします」と言いながら涙を流していた。
急に泣き出した私を見て、コタくんはアワアワとしてたけど、おずおずと手を伸ばして私の頭を撫でてくれた。
その感触がとても気持ちよくて、心地良くて、私はまたさらに泣いてしまうのだった。
中盤まではラブコメです。
ですがNTRなので注意してください。
―――――
彼との出会いは中学2年生のクラス替え。
それまでは顔は知ってるけど話したことのない、ただの同級生だったんだけど、クラス替えをして席が隣同士になったことがきっかけで良くお話をするようになった。
「俺の名前は浜崎鼓太郎って言うんだ。これからよろしくな」
「私は三島弥生です。こちらこそよろしくね」
彼の第一印象はとても優しそうだった。
声色もそうだし、何よりも穏やかな笑顔がとても印象的だったのだ。
あと、話すようになってから共通の趣味があることも分かった。
その趣味はドラマ鑑賞。
ドラマを観た翌日は、二人でドラマの感想を言い合ったり、サスペンス系だとお互いの推理を披露しあったりしていた。
彼の感想や推理は私よりも深くて、いつも関心させられてしまう。
そんな彼の話を聞くのが私はいつの間にかとても好きになっていた。
お互いに異性の中で一番仲の良いクラスメイトって感じになって、お互いの呼び名もいつしか「弥生」と「コタくん」に変わった。
そして一学期が終わって夏休みが近付いてくると、近所の神社で毎年恒例の夏祭りが開催される。
その夏祭りにコタくんと私を含む男女4人組で遊びに行くことになった。
この4人組は学校でも仲良しで、いつもみんなで楽しくお話をしている間柄だった。
一緒に夏祭りに行く女の子は、親友の山根瞳ちゃん。
瞳ちゃんはクラスどころか、学校内でも人気が高く、何人もの人が告白をしていた。
だけど、どんなかっこいい先輩や同級生に告白されても、全て振っちゃうんだからなんかかっこいいなって思っちゃう。
ある日なんで付き合わないのか聞いてみたんだけど、「私一年の頃から好きな人がいるんだ」と言っていた。
瞳ちゃんがこんなにも好きな人ってどういう人なんだろう? って興味はあったけど、それ以上は聞いちゃダメなオーラが漂ってたから聞かないようにしたんだよね。
「おっ、三島も山根も浴衣かよ! めっちゃいいじゃん! なっ、鼓太郎もそう思うだろ?」
「あっ、あぁ。2人とも良く似合ってるよ」
待ち合わせに来て最初に声を掛けてきたのが小金井聡くん。
聡くんはコタくんの小学生の頃からの親友だ。
そして瞳ちゃんと同様に、聡くんもとてもモテる人だった。
外見はイケメンだし、スポーツも万能だから女の子からの人気がとても高いのだ。
だけど、不思議なことに聡くんも誰とも付き合わずに、告白を断っているらしい。
瞳ちゃんは好きな人がいるみたいだけど、聡くんはどうなんだろう?
聡くんの恋愛話は聞いたことがなかった。
私はというと、実はこの時点でコタくんにクラスメイト以上の感情を抱くようになっていた。
だから浴衣も着たし、髪の毛も頑張ってヘアアレンジしてみた。
だって、瞳ちゃんが一緒にいると、どうしても外見で負けちゃうからコタくんに私のことを見てもらいたいと思ったから。
コタくんが誰を好きなのかとか聞いたことはないけど、外見では瞳ちゃんに絶対に負けちゃうのは分かってる。
だけど、コタくんが瞳ちゃんばかり見ちゃったら寂しいし、やっぱり悔しくなっちゃうもん。
この神社のお祭りは、特別な催しなどがあるわけではなく、出店が立ち並んでるだけなんだけど、赤い提灯で照らされるお祭りの雰囲気はまるで別世界のようで、私の気持ちをふわふわとさせてしまう。
一頻りお祭りを楽しんだ私たちは、境内にあるテーブル付きのベンチに座って休憩をすることにした。
そこでコタくんが「俺、たこ焼きとか買ってくるわ。荷物多くなるかもだから弥生も着いてきてよ」って言うから私は犬のように喜んで後を着いて行く。
「せっかく休憩してたのに付き合わせてごめんな」
「ううん。いいんだよ。コタくんと2人でお祭りに来てるみたいで嬉しいし」
私がそう言うと、ちょっと顔を赤らめてそっぽを向いてしまった。
よくよくさっきの私の言葉を思い返してみると、なんか告白したみたいな感じで私も途端に恥ずかしくなってしまう。
するとコタくんが急に私の手を掴んだと思ったら、人気のない屋台の裏の方まで連れて行かれてしまった。
急にどうしたんだろうって不思議に思ってコタくんの顔を見ると、恥ずかしそうにしてるけど、どこか真剣な目で私のことを見ている。
その瞬間私の心臓は飛び跳ねるようにドキドキしてしまった。
「急にこんなところに連れてきてごめんな」
「ううん。けど、どうしたの?」
私は卑怯だ。
次にコタくんが何を言うのかくらい分かっているのに、わざと知らないフリをして質問をする
「あのな、俺弥生のことが好きなんだ。もし良かったら付き合ってくれないか?」
私はとても嬉しくて、「はい。お願いします」と言いながら涙を流していた。
急に泣き出した私を見て、コタくんはアワアワとしてたけど、おずおずと手を伸ばして私の頭を撫でてくれた。
その感触がとても気持ちよくて、心地良くて、私はまたさらに泣いてしまうのだった。
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