14 / 30
勝負の時?
しおりを挟む
そこはお互いの顔が見れる程度には薄暗く、店内にはいかにもなムーディな音楽が流れるバーだった。
ここも噂の?先輩とやらに教えてもらった場所らしい。むしろその先輩はやたらとハイクラスな場所ばかり教えているっぽい。
「佐和子さんって普段はビールですか?」
「そうだね。ビール飲んで、気分良くなったら焼酎とか日本酒かな?」
「渋いですね。日本酒飲めるとか本当にすごいです」
「いやいや歳とれば飲めるようになるよ。私も若い頃はカクテルとかチューハイばっかで、ふとした瞬間日本酒とかの旨味がわかるようになったんだから」
そんなうんちくを語りながらもおしゃべりは良好だ。この後のアクションはどう出るのか。とりあえず相手の出方次第。
小一時間ほどバーで飲み、お開きにしようという事になり、駅まで送ってもらう事になった。
まさかここまで来て何もなしなのか?そう思いながら駅に向かっていると。
「あ、あの。佐和子さん」
「な、何?」
キタ!
そう思った時、唇にチュッと音を立てて触れられた。
たかがキス。されどキスだが、その破壊力は佐和子には十分で、唖然として加納を見た。加納自身は顔を真っ赤にしていた。
「そ、それじゃおやすみなさい!」
足早にその場を去って行く加納の背中を見ながら、フリーズ状態の佐和子は時間の経過と共に徐々に頭が回り始めた。
「えっ?えっ?キスだけ?てかキスした?」
プチパニックを起こしつつ、これで終わり?感が否めなかったが、キス一つでこの状態だ。むしろこの先があれば息が止まっていたかもしれない。
「はっ?キス一つで何言ってるの?てか今時の小学生でももう少しマシな思考回路持ってるわ」
帰宅後にLINEで千枝に報告すると、秒で電話がかかってきた。
「てかその年下君も年下君ね。もっと押せ押せかと思ったら、そっちもそっちでウブなの?」
「それはわからないけど……」
「単に年上だから緊張してるのか……それよりもあんたの方よ。長らく恋愛サボると恋愛事が退化するのだとよーくわかったわ」
やれやれと言いながらも、昔を知っているだけに千枝はズバズバ切り込んでいく。
「あんたそんなんじゃこの先の展開どうするのよ。心臓止まるんじゃない?」
「それはないと思うけど……なんだろ。想像すると恥ずかしくはなるね」
「はぁ……私もそんなウブな感じに戻りたい。というより処女じゃないんだし、相手が奥手ならあんたから攻めなきゃ!」
そんなハードルの高い事が佐和子に出来るのかと思ったが、千枝曰くやれ!との事だ。
だが問題は恋愛退化した佐和子がどこまで押せるかだ。次のデートでは必ずエッチしてこいと画面越しで千枝は言っていた。
ここも噂の?先輩とやらに教えてもらった場所らしい。むしろその先輩はやたらとハイクラスな場所ばかり教えているっぽい。
「佐和子さんって普段はビールですか?」
「そうだね。ビール飲んで、気分良くなったら焼酎とか日本酒かな?」
「渋いですね。日本酒飲めるとか本当にすごいです」
「いやいや歳とれば飲めるようになるよ。私も若い頃はカクテルとかチューハイばっかで、ふとした瞬間日本酒とかの旨味がわかるようになったんだから」
そんなうんちくを語りながらもおしゃべりは良好だ。この後のアクションはどう出るのか。とりあえず相手の出方次第。
小一時間ほどバーで飲み、お開きにしようという事になり、駅まで送ってもらう事になった。
まさかここまで来て何もなしなのか?そう思いながら駅に向かっていると。
「あ、あの。佐和子さん」
「な、何?」
キタ!
そう思った時、唇にチュッと音を立てて触れられた。
たかがキス。されどキスだが、その破壊力は佐和子には十分で、唖然として加納を見た。加納自身は顔を真っ赤にしていた。
「そ、それじゃおやすみなさい!」
足早にその場を去って行く加納の背中を見ながら、フリーズ状態の佐和子は時間の経過と共に徐々に頭が回り始めた。
「えっ?えっ?キスだけ?てかキスした?」
プチパニックを起こしつつ、これで終わり?感が否めなかったが、キス一つでこの状態だ。むしろこの先があれば息が止まっていたかもしれない。
「はっ?キス一つで何言ってるの?てか今時の小学生でももう少しマシな思考回路持ってるわ」
帰宅後にLINEで千枝に報告すると、秒で電話がかかってきた。
「てかその年下君も年下君ね。もっと押せ押せかと思ったら、そっちもそっちでウブなの?」
「それはわからないけど……」
「単に年上だから緊張してるのか……それよりもあんたの方よ。長らく恋愛サボると恋愛事が退化するのだとよーくわかったわ」
やれやれと言いながらも、昔を知っているだけに千枝はズバズバ切り込んでいく。
「あんたそんなんじゃこの先の展開どうするのよ。心臓止まるんじゃない?」
「それはないと思うけど……なんだろ。想像すると恥ずかしくはなるね」
「はぁ……私もそんなウブな感じに戻りたい。というより処女じゃないんだし、相手が奥手ならあんたから攻めなきゃ!」
そんなハードルの高い事が佐和子に出来るのかと思ったが、千枝曰くやれ!との事だ。
だが問題は恋愛退化した佐和子がどこまで押せるかだ。次のデートでは必ずエッチしてこいと画面越しで千枝は言っていた。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
転生JKの推しはワンコ系王子様!推しの恋愛後押ししてたはずが何故か私が溺愛されていました
蓮恭
恋愛
高校生の美香は病気で入院していたが回復せずに亡くなってしまう。
死後の世界で出会ったのはいかにも神様っぽいおじいさん。
「楽しいが退屈な天国へ行って次の転生を待つか、そなたと姉の望んでいた世界へ行って次の転生を待つか……。どうする?」
へぇ……退屈なんだ、天国って。
なんかゲームの選択肢みたいに選ばされるんだね。
「まあ儂からしたらどっちでそなたが待ってようが一緒じゃからな。そなたの姉は信心深いのう。毎日神に祈っておったわ。『病気の妹が死後にあちらの世界で楽しく暮らせますように』とな」
結局私は異世界ファンタジー小説家の姉の書いた、お気に入りの小説の世界に転生することになる。
そこで推しのワンコ系王子様が、とある令嬢に失恋して闇堕ちするのを防ぐため、王子様と令嬢の恋愛を後押しするんだけど……
いつの間にか私が溺愛されてるんですけど、これってイイんですか⁉︎
『テンプレ上等!』の、姉が書いたテンプレ満載の異世界ファンタジー(恋愛)小説に転生することになった女子高生(JK)の話。
拾った宰相閣下に溺愛されまして。~残念イケメンの執着が重すぎます!
枢 呂紅
恋愛
「わたしにだって、限界があるんですよ……」
そんな風に泣きながら、べろべろに酔いつぶれて行き倒れていたイケメンを拾ってしまったフィアナ。そのまま道端に放っておくのも忍びなくて、仏心をみせて拾ってやったのがすべての間違いの始まりだった――。
「天使で、女神で、マイスウィートハニーなフィアナさん。どうか私の愛を受け入れてください!」
「気持ち悪いし重いんで絶対嫌です」
外見だけは最強だが中身は残念なイケメン宰相と、そんな宰相に好かれてしまった庶民ムスメの、温度差しかない身分差×年の差溺愛ストーリー、ここに開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
魔法の使えない不良品伯爵令嬢、魔導公爵に溺愛される
ねこいかいち
恋愛
魔法で栄えた国家グリスタニア。人々にとって魔力の有無や保有する魔力《オド》の量が存在価値ともいえる中、魔力の量は多くとも魔法が使えない『不良品』というレッテルを貼られた伯爵令嬢レティシア。両親や妹すらまともに接してくれない日々をずっと送っていた。成人間近のある日、魔導公爵が嫁探しのパーティーを開くという話が持ち上がる。妹のおまけとして参加させられたパーティーで、もの静かな青年に声をかけられ……。
一度は書いてみたかった王道恋愛ファンタジーです!
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
【完結】一夜の関係を結んだ相手の正体はスパダリヤクザでした~甘い執着で離してくれません!~
中山紡希
恋愛
ある出来事をキッカケに出会った容姿端麗な男の魅力に抗えず、一夜の関係を結んだ萌音。
翌朝目を覚ますと「俺の嫁になれ」と言い寄られる。
けれど、その上半身には昨晩は気付かなかった刺青が彫られていて……。
「久我組の若頭だ」
一夜の関係を結んだ相手は……ヤクザでした。
※R18
※性的描写ありますのでご注意ください
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
雨宮課長に甘えたい
コハラ
恋愛
仕事大好きアラサーOLの中島奈々子(30)は映画会社の宣伝部エースだった。しかし、ある日突然、上司から花形部署の宣伝部からの異動を言い渡され、ショックのあまり映画館で一人泣いていた。偶然居合わせた同じ会社の総務部の雨宮課長(37)が奈々子にハンカチを貸してくれて、その日から雨宮課長は奈々子にとって特別な存在になっていき……。
簡単には行かない奈々子と雨宮課長の恋の行方は――?
そして奈々子は再び宣伝部に戻れるのか?
※表紙イラストはミカスケ様のフリーイラストをお借りしました。
http://misoko.net/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる