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嫌ではないが恥ずかしくて仕方ない。むしろ慶はなんとも思ってないのだろうか?
新宿に電車が停車し、二人は新宿で降りる。美奈穂の取ったホテルは駅から徒歩五分の場所なので、そう遠くもないのだが、慶は丁寧にもホテルの前まで送ってくれた。
「ありがとうございました。もう大丈夫ですから」
そう言って手を放した美奈穂。今の今までそこにあった熱が急激に冷えていく。
「それじゃおやすみなさい」
ペコッとあいさつをした美奈穂はその場から逃げるようにホテルの中に入ろうとしたが、その手を慶が引っ張って止めた。
「待って!」
「えっ?えーっと…何でしょうか?」
「もう少し時間あるならどこか飲みに行きませんか?」
「あっ…はい…」
何故自分を引きとめたのか?この状況は一体何だろうと考えたが、答えは一つも出ない。美奈穂はそれから慶と新宿のバーで少し時間を潰し、それからホテルに戻った。ホテルに戻り寝る準備をしていた美奈穂は、今日のメインであったイベントの事などすっかり忘れ、慶と二人飲みに行ったりした事などがずっと頭の中でリピートされていた。
「これって恋のフラグなの…?わからん!」
まだ残る手の感触。あの時、正直手を放したくないと思ってしまった。こんな時は由美と話したい!とは言えもう午前零時前なので止めた。
―あの方は誰ですか?
洋二の取ったホテルでメールを見た慶は大きなため息を漏らし盛大に疲れ果てていた。まさかこの大都会東京で偶然というものがあるとは…あの時、美奈穂をホテルに送った際に、慶の視界には麗子の姿が見えた。
このまま引き返せば間違いなく捕まっていろいろと聞かれるのが目に見えたので、美奈穂を飲みに誘った。
「美奈穂さんに悪い事したなぁ…」
こんな事、美奈穂本人に知られたらなんと言われるだろうか?絶対に怒るのは目に見えている。もし同居解消を今されたら慶として困る。麗子襲撃を想像したら身が震えた。親戚にも麗子と結婚するつもりはないと言っているが、麗子の方が慶を気に入っているから絶対に嫌だと言っているそうだ。
「もう絶対東京なんて来たくない!」
ガバッとベットに伏せた慶。だが同時に美奈穂を裏切り続けている罪悪感も心の中にあった。
新宿に電車が停車し、二人は新宿で降りる。美奈穂の取ったホテルは駅から徒歩五分の場所なので、そう遠くもないのだが、慶は丁寧にもホテルの前まで送ってくれた。
「ありがとうございました。もう大丈夫ですから」
そう言って手を放した美奈穂。今の今までそこにあった熱が急激に冷えていく。
「それじゃおやすみなさい」
ペコッとあいさつをした美奈穂はその場から逃げるようにホテルの中に入ろうとしたが、その手を慶が引っ張って止めた。
「待って!」
「えっ?えーっと…何でしょうか?」
「もう少し時間あるならどこか飲みに行きませんか?」
「あっ…はい…」
何故自分を引きとめたのか?この状況は一体何だろうと考えたが、答えは一つも出ない。美奈穂はそれから慶と新宿のバーで少し時間を潰し、それからホテルに戻った。ホテルに戻り寝る準備をしていた美奈穂は、今日のメインであったイベントの事などすっかり忘れ、慶と二人飲みに行ったりした事などがずっと頭の中でリピートされていた。
「これって恋のフラグなの…?わからん!」
まだ残る手の感触。あの時、正直手を放したくないと思ってしまった。こんな時は由美と話したい!とは言えもう午前零時前なので止めた。
―あの方は誰ですか?
洋二の取ったホテルでメールを見た慶は大きなため息を漏らし盛大に疲れ果てていた。まさかこの大都会東京で偶然というものがあるとは…あの時、美奈穂をホテルに送った際に、慶の視界には麗子の姿が見えた。
このまま引き返せば間違いなく捕まっていろいろと聞かれるのが目に見えたので、美奈穂を飲みに誘った。
「美奈穂さんに悪い事したなぁ…」
こんな事、美奈穂本人に知られたらなんと言われるだろうか?絶対に怒るのは目に見えている。もし同居解消を今されたら慶として困る。麗子襲撃を想像したら身が震えた。親戚にも麗子と結婚するつもりはないと言っているが、麗子の方が慶を気に入っているから絶対に嫌だと言っているそうだ。
「もう絶対東京なんて来たくない!」
ガバッとベットに伏せた慶。だが同時に美奈穂を裏切り続けている罪悪感も心の中にあった。
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