21 / 50
21
しおりを挟む
それから二時間居酒屋で盛り上がった三人は時間も時間なのでお開きにする事になった。美奈穂はこれから電車に乗ってホテルまで向わなくてはいけない。洋二の方はもう少し遊ぶからと言って慶を連れて行こうとしていた。
「お前一人で行けよ!俺は美奈穂さん送ってくから!」
「えー!お前いた方がお姉ちゃん達喜ぶのに!」
「やだよ!めんどくさい!」
「あの…私一人で行けますから…」
「いいんですよ!あいついつもあんな感じで俺を連れまわすので」
ブーブーと文句を言う洋二をほったらかしにして、慶は美奈穂の手を取ってさっさと駅の改札口へ向かった。
(手…)
恋愛慣れしていない美奈穂にとって、この状況があり得ないものだった。とは言っても慶は気にする事もなくスタスタと美奈穂の前を歩いて行く。
「ホントすみません…なんかご迷惑おかけしましたよね?」
「いや、迷惑かけたのはこっちですよ。あいつ…どうしても美奈穂さんに会いたいって言ってたんで…」
おそらくは珍しい物見たさなのだろうと心の中で美奈穂は呟いた。
電車は直ぐに来たので二人は乗り込む。その間もずっと手を握ったままでいる。正直美奈穂の心臓はずっとドキドキしっぱなしだった。
「ホテルは新宿?」
「はい!あの…駅まででいいですから」
「ダメですよ。夜も遅いし、ここは田舎じゃないんですから。ちゃんと送ります」
「はぁ…」
夜が遅いと言ってもまだ十時を過ぎたところだ。それにこんなのを相手にする輩などそういないと美奈穂は思っていた。だが…今までになかった事なので、こうして男性に気にしてもらえる事がとても嬉しい。窓ガラスに映る自分と慶は傍から見たらどういう関係に見えるだろうか?手を繋いでいるので恋人なのか…?
(いやいや…それはない!)
相手は今をときめく華道界のプリンス様だ。そんな人物と世間一般どこにでもいる女とは釣り合いが取れない。取れるとしたら…昼間出会ったあのいかにもお嬢様っぽい女の子だろうか?そんな事を考えていた美奈穂の顔を除き込むかのように慶が声をかけてきた。
「美奈穂さん?」
「わっ!はははい!何ですか?」
「もう少しで着きますよ」
「わかりました…」
いい加減手を放して欲しい…
「お前一人で行けよ!俺は美奈穂さん送ってくから!」
「えー!お前いた方がお姉ちゃん達喜ぶのに!」
「やだよ!めんどくさい!」
「あの…私一人で行けますから…」
「いいんですよ!あいついつもあんな感じで俺を連れまわすので」
ブーブーと文句を言う洋二をほったらかしにして、慶は美奈穂の手を取ってさっさと駅の改札口へ向かった。
(手…)
恋愛慣れしていない美奈穂にとって、この状況があり得ないものだった。とは言っても慶は気にする事もなくスタスタと美奈穂の前を歩いて行く。
「ホントすみません…なんかご迷惑おかけしましたよね?」
「いや、迷惑かけたのはこっちですよ。あいつ…どうしても美奈穂さんに会いたいって言ってたんで…」
おそらくは珍しい物見たさなのだろうと心の中で美奈穂は呟いた。
電車は直ぐに来たので二人は乗り込む。その間もずっと手を握ったままでいる。正直美奈穂の心臓はずっとドキドキしっぱなしだった。
「ホテルは新宿?」
「はい!あの…駅まででいいですから」
「ダメですよ。夜も遅いし、ここは田舎じゃないんですから。ちゃんと送ります」
「はぁ…」
夜が遅いと言ってもまだ十時を過ぎたところだ。それにこんなのを相手にする輩などそういないと美奈穂は思っていた。だが…今までになかった事なので、こうして男性に気にしてもらえる事がとても嬉しい。窓ガラスに映る自分と慶は傍から見たらどういう関係に見えるだろうか?手を繋いでいるので恋人なのか…?
(いやいや…それはない!)
相手は今をときめく華道界のプリンス様だ。そんな人物と世間一般どこにでもいる女とは釣り合いが取れない。取れるとしたら…昼間出会ったあのいかにもお嬢様っぽい女の子だろうか?そんな事を考えていた美奈穂の顔を除き込むかのように慶が声をかけてきた。
「美奈穂さん?」
「わっ!はははい!何ですか?」
「もう少しで着きますよ」
「わかりました…」
いい加減手を放して欲しい…
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる