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―実は東京行くことになりました。着くのは夜です―
慶からメールが来たのはイベント開始一時間前だった。
(うっそ!一昨日の今日って…相変わらず忙しいなぁ…)
東京都内のカフェでコーヒーを飲んでいた美奈穂は、ついその文章を見てコーヒーを吹き出しそうになってしまった。美奈穂は直ぐに「大変ですね。気を付けて下さい」と送った。すると今度はメールではなく電話がかかってきた。
「は…はい!」
『もしもし?』
声を聞いた瞬間、美奈穂は「ん?」と首を傾げた。慶の声にしては少しがさついていて低い。
『お前何してんだよ!あっ、美奈穂さん?』
今度は慶だ。どうやら誰かが慶のスマフォから美奈穂に電話をしてきたようだ。
「どうかしたんですか?てか今のは…?」
『あぁ…今の俺のマネージャーです…あっ、おい!』
『もしもーし!慶のマネージャーやってます泉川洋二です!』
どうやら電話があっちに行ったりこっちに行ったりのようだ。洋二と言う電話越しからもわかる陽気そうな人物が、東京に行くので会いませんかと言ってきた。
『いつも慶がお世話になってるみたいなんで、あいさつしておかなきゃって思ってまして』
「そんな…私の方がお世話になってますから!」
『いえいえ!こんな男と一緒に住むなんてすごいですよ!ほら、こいつ結構神経質じゃないですか!』
「はぁ…」
『洋二!もういいだろ?美奈穂さん?ちょっとこいつ煩くてすみません…』
どうやら慶は洋二という友人の前では年相応の青年のようだ。こんなに砕けた会話をする慶を初めて聞いたので、美奈穂はクスクスと笑った。
『美奈穂さん?』
「泉川さんに伝えて下さい。いいですよ。会いましょうって…」
『美奈穂さん…!』
「あっ、そろそろイベント始まるんで、また後で電話しますね」
プチッと電話を切った美奈穂は、電話越しの二人のやり取りが面白かったのでまだ笑っていた。
「お・ま・え…何してくれるんだよ!」
電話が切れたタイミングに合わせ、忌々しげな表情を洋二に向ける慶。だが当の本人は気にしてないどころかニコニコとしている。
「いいじゃないのいいじゃないの!それで?同居人は何だって?」
「それに関しては会いましょうって…って!そうじゃなくて!何勝手な事してんだよ!」
「別に減るもんじゃないし、俺だってお世話になってる人には挨拶しときたいじゃないか」
別に会うなら東京でなくてもいいと思う。家に来れば会う事は可能。問題なのは東京という場所で美奈穂と会う事が問題なのだ。そう洋二に説明するも、洋二は気にしてない様子だ。
「東京の人口考えたら、麗子さんとばったり遭遇なんて確率めっちゃ低いだろうが!何ビビってんの?あっ、もしかして俺と同居人会わせたくないとか?やっだぁ!慶ってばかなり嫉妬深い?」
「殺す!絶対お前殺す!」
慶からメールが来たのはイベント開始一時間前だった。
(うっそ!一昨日の今日って…相変わらず忙しいなぁ…)
東京都内のカフェでコーヒーを飲んでいた美奈穂は、ついその文章を見てコーヒーを吹き出しそうになってしまった。美奈穂は直ぐに「大変ですね。気を付けて下さい」と送った。すると今度はメールではなく電話がかかってきた。
「は…はい!」
『もしもし?』
声を聞いた瞬間、美奈穂は「ん?」と首を傾げた。慶の声にしては少しがさついていて低い。
『お前何してんだよ!あっ、美奈穂さん?』
今度は慶だ。どうやら誰かが慶のスマフォから美奈穂に電話をしてきたようだ。
「どうかしたんですか?てか今のは…?」
『あぁ…今の俺のマネージャーです…あっ、おい!』
『もしもーし!慶のマネージャーやってます泉川洋二です!』
どうやら電話があっちに行ったりこっちに行ったりのようだ。洋二と言う電話越しからもわかる陽気そうな人物が、東京に行くので会いませんかと言ってきた。
『いつも慶がお世話になってるみたいなんで、あいさつしておかなきゃって思ってまして』
「そんな…私の方がお世話になってますから!」
『いえいえ!こんな男と一緒に住むなんてすごいですよ!ほら、こいつ結構神経質じゃないですか!』
「はぁ…」
『洋二!もういいだろ?美奈穂さん?ちょっとこいつ煩くてすみません…』
どうやら慶は洋二という友人の前では年相応の青年のようだ。こんなに砕けた会話をする慶を初めて聞いたので、美奈穂はクスクスと笑った。
『美奈穂さん?』
「泉川さんに伝えて下さい。いいですよ。会いましょうって…」
『美奈穂さん…!』
「あっ、そろそろイベント始まるんで、また後で電話しますね」
プチッと電話を切った美奈穂は、電話越しの二人のやり取りが面白かったのでまだ笑っていた。
「お・ま・え…何してくれるんだよ!」
電話が切れたタイミングに合わせ、忌々しげな表情を洋二に向ける慶。だが当の本人は気にしてないどころかニコニコとしている。
「いいじゃないのいいじゃないの!それで?同居人は何だって?」
「それに関しては会いましょうって…って!そうじゃなくて!何勝手な事してんだよ!」
「別に減るもんじゃないし、俺だってお世話になってる人には挨拶しときたいじゃないか」
別に会うなら東京でなくてもいいと思う。家に来れば会う事は可能。問題なのは東京という場所で美奈穂と会う事が問題なのだ。そう洋二に説明するも、洋二は気にしてない様子だ。
「東京の人口考えたら、麗子さんとばったり遭遇なんて確率めっちゃ低いだろうが!何ビビってんの?あっ、もしかして俺と同居人会わせたくないとか?やっだぁ!慶ってばかなり嫉妬深い?」
「殺す!絶対お前殺す!」
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