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にこにこと笑顔を絶やさないプリンス。もといチート男子は完全に主婦顔負けの気遣いと心配りだ。
(こういうの…嫁にしたいって思うんだろうな…)
何でも出来る慶に対し、今までの人生好き勝手生き、貯金もほぼないリアルから程遠い自分がなんとも情けなく感じてしまった。
(せめて何か一つでも出来たら…!)
一体何に張り合っているのかもわからない。だがこのままでは女としていけないと深淵に考えた。
予告通り風呂から上がると慶は縁側で猫の風香と一緒にいた美奈穂の元に頂き物の羊羹と日本茶を差し出した。羊羹は冷えていてしかも甘くて美味しい。お茶も甘い物に合う。ここ数日はいろいろと自分の周辺が目まぐるしいと思った。これまでの事を思い出しながら羊羹を口に入れる。
(そういや西園寺さんって…華道やってるからかな?手とかすごく綺麗だったなぁ…)
ぼんやりと考えていた美奈穂は、ふと慶の手を思浮かべた。箸を持つ時のしなやかな所作やすらりと細い指など、女性が男性の二の腕の筋肉や胸板、指などにきゅんと来る意味がなんとなくわかった。
「美奈穂さん。お茶入れましょうか?」
「いえ、大丈夫です!」
気が付くと慶が急須に入れたお茶を湯呑に淹れようとしていたので止めた。ふと慶の横に風香が気持ちよさそうにして身体を摺り寄せている。
「西園寺さんって…」
「慶でいいですよ」
「…だったら慶さん。慶さんはお父様がお亡くなりになってからずっと風香と一緒だったんですか?」
「そうですね。お弟子さん達が来りもしますが、いないときとかはずっと風香と二人っきりですね」
目を細め微笑む慶はどこか寂しそうな雰囲気を感じられた。それもそうだろう…両輪が離婚し、祖父母も父親も亡くなって以降はずっと一人でこの大きな家にいるのだから。きっと寂しさを紛らわせる為に美奈穂に住むように言ったのかとも思ったが、「それはない!」と頭の中で全力否定をした。
(こういうの…嫁にしたいって思うんだろうな…)
何でも出来る慶に対し、今までの人生好き勝手生き、貯金もほぼないリアルから程遠い自分がなんとも情けなく感じてしまった。
(せめて何か一つでも出来たら…!)
一体何に張り合っているのかもわからない。だがこのままでは女としていけないと深淵に考えた。
予告通り風呂から上がると慶は縁側で猫の風香と一緒にいた美奈穂の元に頂き物の羊羹と日本茶を差し出した。羊羹は冷えていてしかも甘くて美味しい。お茶も甘い物に合う。ここ数日はいろいろと自分の周辺が目まぐるしいと思った。これまでの事を思い出しながら羊羹を口に入れる。
(そういや西園寺さんって…華道やってるからかな?手とかすごく綺麗だったなぁ…)
ぼんやりと考えていた美奈穂は、ふと慶の手を思浮かべた。箸を持つ時のしなやかな所作やすらりと細い指など、女性が男性の二の腕の筋肉や胸板、指などにきゅんと来る意味がなんとなくわかった。
「美奈穂さん。お茶入れましょうか?」
「いえ、大丈夫です!」
気が付くと慶が急須に入れたお茶を湯呑に淹れようとしていたので止めた。ふと慶の横に風香が気持ちよさそうにして身体を摺り寄せている。
「西園寺さんって…」
「慶でいいですよ」
「…だったら慶さん。慶さんはお父様がお亡くなりになってからずっと風香と一緒だったんですか?」
「そうですね。お弟子さん達が来りもしますが、いないときとかはずっと風香と二人っきりですね」
目を細め微笑む慶はどこか寂しそうな雰囲気を感じられた。それもそうだろう…両輪が離婚し、祖父母も父親も亡くなって以降はずっと一人でこの大きな家にいるのだから。きっと寂しさを紛らわせる為に美奈穂に住むように言ったのかとも思ったが、「それはない!」と頭の中で全力否定をした。
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