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美奈穂の為に時間を割いてくれた由美には生西園寺慶に会わせる事と、後日飲みに連れて行くという約束で手を打ってもらった。
慶の自宅に着くと、慶は玄関の前で待っていたらしく、美奈穂を見て「お疲れ様です」と言ってくれた。助手席に座っていた由美に関しては「うわっ!ホントイケメン!」などと少々失礼な発言をしていた。
「えっと…こっちは私の友達で星野由美です」
「星野です!美奈穂から話は聞いてます!」
「俺は西園寺慶です。よろしくお願いしますね」
アイドルスマイルと言うに相応しい笑みを見せた慶。すると由美が肘で美奈穂をつつき、耳打ちしてきた。
「ちょっと!テレビとかで見るより数倍もイケメンなんだけど!」
「私はテレビより先に実物見たから何とも言えない…」
そんな女子トークをしていると、慶は「荷物運びますね」と言って車の後ろに積んである段ボールを運ぶ。二人も慌てて段ボールを家の中に運び込んだ。それから実家と慶の家を三往復したところで時間切れとなったので、由美を送り届けてから慶の家に向かった。
「とりあえず車は家から離れてますが指定場所に置いて下さい。後台所とかも好きに使って下さいね」
「何から何までありがとうございます」
ペコペコと頭を下げる美奈穂。慶からは「言ってくれたら業者手配したのに」と言われたが、家の一角をお借りするのだ。あまり迷惑をかけるわけにもいかない。
「あぁ、そうだ。忘れてた。はい、ここの鍵です」
そう言って手渡された西園寺家の鍵。なんだか新婚か同居するカップルのようだと思ってしまった。だがそんな邪念をすぐ飛ばした。
(これだからモテない女は!)
変な妄想に入った自分を戒め、美奈穂は鍵を握り絞めた。
「それじゃ今夜は美奈穂さんの歓迎会ですね。晩御飯何がいいですか?」
「えっ?いや私コンビニとかで買って済ませますから…!」
「どうせ俺の晩御飯作らないといけないし、美奈穂さんは大切な同居人ですよ。それに一人分も二人分も変わりません!コンビニとかなんて栄養偏っちゃうじゃないですか!」
そう言いながら慶は歓迎会と称し晩御飯を作ってくれるそうだ。一人暮らしの男性が作る料理とは簡単なものだろう。自分も手伝うと言ったが、あっさり却下されてしまい、美奈穂は料理が出来るまでの間、与えられた部屋で荷ほどきをした。そして夕食が出来たと言われリビングに行くと、年若い男性が作ったにしてはえらく凝った料理がテーブルに並べられていた。
「す…すごいですね…茶わん蒸しにお浸し、和え物に魚の煮つけって…」
「そうですか?これくらい普通ですよ」
出た!イケメン男子のこれくらい普通!
普通に聞けば嫌味としか捉えられないセリフをさらりと言う慶。家は立派で華道界のプリンス。その上料理上手と来たものなので、一体どこの二次元から飛び出したチート男子かと思ってしまった。料理はどれも美味しい…茶わん蒸しもぷるぷるとし、中は海老や銀杏も入っている。魚の煮つけも程よく身が柔らかい。下手をしたら自分の母親よりも料理上手なのではないかと思った。もちろん自分よりは断然に上である。
「そういえば今日はご近所さんに羊羹頂いたんですよ。美奈穂さんがお風呂から上がったら食べましょうね」
慶の自宅に着くと、慶は玄関の前で待っていたらしく、美奈穂を見て「お疲れ様です」と言ってくれた。助手席に座っていた由美に関しては「うわっ!ホントイケメン!」などと少々失礼な発言をしていた。
「えっと…こっちは私の友達で星野由美です」
「星野です!美奈穂から話は聞いてます!」
「俺は西園寺慶です。よろしくお願いしますね」
アイドルスマイルと言うに相応しい笑みを見せた慶。すると由美が肘で美奈穂をつつき、耳打ちしてきた。
「ちょっと!テレビとかで見るより数倍もイケメンなんだけど!」
「私はテレビより先に実物見たから何とも言えない…」
そんな女子トークをしていると、慶は「荷物運びますね」と言って車の後ろに積んである段ボールを運ぶ。二人も慌てて段ボールを家の中に運び込んだ。それから実家と慶の家を三往復したところで時間切れとなったので、由美を送り届けてから慶の家に向かった。
「とりあえず車は家から離れてますが指定場所に置いて下さい。後台所とかも好きに使って下さいね」
「何から何までありがとうございます」
ペコペコと頭を下げる美奈穂。慶からは「言ってくれたら業者手配したのに」と言われたが、家の一角をお借りするのだ。あまり迷惑をかけるわけにもいかない。
「あぁ、そうだ。忘れてた。はい、ここの鍵です」
そう言って手渡された西園寺家の鍵。なんだか新婚か同居するカップルのようだと思ってしまった。だがそんな邪念をすぐ飛ばした。
(これだからモテない女は!)
変な妄想に入った自分を戒め、美奈穂は鍵を握り絞めた。
「それじゃ今夜は美奈穂さんの歓迎会ですね。晩御飯何がいいですか?」
「えっ?いや私コンビニとかで買って済ませますから…!」
「どうせ俺の晩御飯作らないといけないし、美奈穂さんは大切な同居人ですよ。それに一人分も二人分も変わりません!コンビニとかなんて栄養偏っちゃうじゃないですか!」
そう言いながら慶は歓迎会と称し晩御飯を作ってくれるそうだ。一人暮らしの男性が作る料理とは簡単なものだろう。自分も手伝うと言ったが、あっさり却下されてしまい、美奈穂は料理が出来るまでの間、与えられた部屋で荷ほどきをした。そして夕食が出来たと言われリビングに行くと、年若い男性が作ったにしてはえらく凝った料理がテーブルに並べられていた。
「す…すごいですね…茶わん蒸しにお浸し、和え物に魚の煮つけって…」
「そうですか?これくらい普通ですよ」
出た!イケメン男子のこれくらい普通!
普通に聞けば嫌味としか捉えられないセリフをさらりと言う慶。家は立派で華道界のプリンス。その上料理上手と来たものなので、一体どこの二次元から飛び出したチート男子かと思ってしまった。料理はどれも美味しい…茶わん蒸しもぷるぷるとし、中は海老や銀杏も入っている。魚の煮つけも程よく身が柔らかい。下手をしたら自分の母親よりも料理上手なのではないかと思った。もちろん自分よりは断然に上である。
「そういえば今日はご近所さんに羊羹頂いたんですよ。美奈穂さんがお風呂から上がったら食べましょうね」
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