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翌日、早めに会社に出社した美奈穂は、昨日貰った花を花瓶に入れ職場の出入り口に置いた。ちょうど出社した上司である相川はその花を見て驚いた。
「おっ、見事な花だな。どうしたんだ?」
「えぇっと…昨日、物件探しに行ったら西園寺さんってお家の方から頂きました」
「西園寺だって…?」
相川は名前を聞いた瞬間、とても驚いた表情を美奈穂に見せた。
「相川さん…ご存じなんですか?」
「ご存じも何も…この界隈じゃけっこう有名だぞ。ほら、地方のローカルでも特集組まれてたくらいだし…」
「そうなんですね…テレビあまり見ないので知らなかったです…」
正直テレビ番組は寝る前のタイマーくらいにしか付けないのでわからないが、地方ではそれなりに有名な人物なのだとわかった。
「にしても…へぇ、あの西園寺家と知り合えたなんてすごいな!」
「そうですか?まぁ…確かに家も立派だし、家の人もかなりのイケメンでしたけど…」
「西園寺慶だろ?まだ二十五の若き頭目!華道界のプリンスなんてもてはやされて、地方だけでなく都会でも仕事してるからかなり有名だぞ!」
さすが情報通の上司だと思った。
「それで?いい家見つかったか?」
「いえ…まだです…」
あの後結局物件は見つけられず、花を貰って帰宅しただけだった。だが帰り際に西園寺慶は美奈穂に「またいつでもいらして下さい」と言った。こちらは名前すら名乗ってなかったのに、元々の人がいいのかわからないが、かなり気さくだなと思った。
(あぁいう初対面とか慣れてるんだろうなぁ…)
最近の若い人にしてはちゃんとした年下男性だと思った。反面自分は歳はかなり行ってはいるが、人見知りも激しく、打ち解けるまでにかなり時間を有する。
「今度お礼しないといけませんね…」
「そうだな!もしかしたら、山岸にとって運命の出会いだったりしてな!」
「無理ですよ!相手は華道界プリンスでしょ?私は世間一般その他大勢の一人ですし…」
どこを見ても平凡な自分とあの美青年が釣り合うわけがない。ましてや相手は年下だ。あの年頃なら年上女性に冒険したくもなるだろうが、結局は若い子にいくのがオチだ。
「いやいや…人生何があるかわからんぞ!自分から行動あるのみだ!」
意気込みを見せる相川に対し、「はぁ…」とドライな美奈穂。
人生最大の出会いは当の昔に終わった。まだ未熟な十代に恋した相手が自分の運命の相手だと思っていた美奈穂だが、結局上手くはいかず別れた。それから十年…この年になっても彼氏の一人もおらず、いわゆるおひとり様更新中だ。
周りが結婚を決める中、追い越される美奈穂はもう結婚というものは諦めていた。自分の恋愛運などそんなものだと決めつけ、どうでもいいという風になってしまった。
「おっ、見事な花だな。どうしたんだ?」
「えぇっと…昨日、物件探しに行ったら西園寺さんってお家の方から頂きました」
「西園寺だって…?」
相川は名前を聞いた瞬間、とても驚いた表情を美奈穂に見せた。
「相川さん…ご存じなんですか?」
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「そうなんですね…テレビあまり見ないので知らなかったです…」
正直テレビ番組は寝る前のタイマーくらいにしか付けないのでわからないが、地方ではそれなりに有名な人物なのだとわかった。
「にしても…へぇ、あの西園寺家と知り合えたなんてすごいな!」
「そうですか?まぁ…確かに家も立派だし、家の人もかなりのイケメンでしたけど…」
「西園寺慶だろ?まだ二十五の若き頭目!華道界のプリンスなんてもてはやされて、地方だけでなく都会でも仕事してるからかなり有名だぞ!」
さすが情報通の上司だと思った。
「それで?いい家見つかったか?」
「いえ…まだです…」
あの後結局物件は見つけられず、花を貰って帰宅しただけだった。だが帰り際に西園寺慶は美奈穂に「またいつでもいらして下さい」と言った。こちらは名前すら名乗ってなかったのに、元々の人がいいのかわからないが、かなり気さくだなと思った。
(あぁいう初対面とか慣れてるんだろうなぁ…)
最近の若い人にしてはちゃんとした年下男性だと思った。反面自分は歳はかなり行ってはいるが、人見知りも激しく、打ち解けるまでにかなり時間を有する。
「今度お礼しないといけませんね…」
「そうだな!もしかしたら、山岸にとって運命の出会いだったりしてな!」
「無理ですよ!相手は華道界プリンスでしょ?私は世間一般その他大勢の一人ですし…」
どこを見ても平凡な自分とあの美青年が釣り合うわけがない。ましてや相手は年下だ。あの年頃なら年上女性に冒険したくもなるだろうが、結局は若い子にいくのがオチだ。
「いやいや…人生何があるかわからんぞ!自分から行動あるのみだ!」
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人生最大の出会いは当の昔に終わった。まだ未熟な十代に恋した相手が自分の運命の相手だと思っていた美奈穂だが、結局上手くはいかず別れた。それから十年…この年になっても彼氏の一人もおらず、いわゆるおひとり様更新中だ。
周りが結婚を決める中、追い越される美奈穂はもう結婚というものは諦めていた。自分の恋愛運などそんなものだと決めつけ、どうでもいいという風になってしまった。
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