上 下
58 / 85

p57

しおりを挟む
「まっ、いざとなったら私が助けてあげるから安心してちょうだい!」
「と、言いますと?」
「そうねぇ……条件は劣るかもしれないけど、似たような男を紹介してあげるわよ」
「け、結構です!」
「そう?ダメなら次に行かなくちゃ!」
 そんな切り替えが出来るタイプではない陽菜は、例えアレンと離されたとして次に行くなんて行為はすぐには出来ないだろう。むしろアレン以外など考えられない。こうして考えてみると、自分はアレンにぞっこんなのではと思った。
「他の男がダメだとすると、そうねぇ……アパレル関係だからウォーキングレッスンとかなら紹介出来るわよ」
「それはもう習ってます」
「あら、どこの誰?私が知っている人物?」
 一応伊澄に紹介されたウォーキングレッスンの講師の場所と名を言うと、ブレンダは直ぐに「Non!」と言って反論を見せた。
「ダメよ!そんな無名の人じゃ!私の紹介する人にしなさい!」
「で、でも……」
「こっちはハリウッドセレブからパリコレモデルまで輩出している講師よ」
 そんな名前を並べられると陽菜としても困る。さすがはアパレル会社のCEOだけあって、その手の人材を知っている。つまり超がつく一流講師だ。
「とりあえず上司に紹介してもらったので、まずは上司にお伺いをたてないと」
「本当日本人のそういうところって面倒ね。自分のステップアップの為なら切る選択も出来ないと」
「そ、そうですね……とりあえず返事は保留で」
「ダメよ。善は急げって日本語あるでしょ?ヒナが言いにくいなら私が言ってあげる。相手に電話して頂戴」
 否を言わせぬブレンダの迫力に負け、陽菜は伊澄に電話をした。
「も、もしもし山下です」
「伊澄です。どうかしましたか?」
「あの、実は……」
「ヒナかして」
 横から奪い取る様にスマホを取ったブレンダは、そのまま英語で話続ける。もちろん伊澄も英語が話せるので問題ない。むしろ基本片言日本語のブレンダに付き合ってここまで英語で会話をした自分が凄いと思った。
 少し話した後、ブレンダは陽菜にスマホを渡したので、陽菜は「もしもし」と伊澄に話しかける。
「山下さん」
「はい!」
「あなたブレンディスカイのCEOといつの間に知り合ったのですか?」
「えっと……以前行ったパーティで……」
「そうですか。それならそうと早く言ってくれたらよかったのに……とりあえずブレンダ氏の話は聞きました。こちらとしてもブレンダ氏の意向を汲んだ方がいいと思いますので、お任せしますと言っておきました」
「えぇ!いいんですか?」
 まだ数回しか行っていないのだが。しかも伊澄の紹介した講師とは言っても有名雑誌モデルのランウェイを指導する程度には力のある人物なのだが、こんな理不尽な感じで切っていいのか陽菜にはわからない。
「私の方からも謝りは入れておきますが、角が立たないようにブレンダ氏からも話を入れてもらうつもりです」
 有名アパレルのCEOがそう言えば相手も聞いてくれるだろう。しかもその講師の抱える生徒の中から一人、日本での広告塔をつけるというのだから文句は言わないだろう。むしろ断るだけにしては大きなおまけがついている気もする。
 とりあえず陽菜のウォーキングレッスンはブレンダお抱えの講師になるわけだが……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ

中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。 ※ 作品 「男装バレてイケメンに~」 「灼熱の砂丘」 「イケメンはずんどうぽっちゃり…」 こちらの作品を先にお読みください。 各、作品のファン様へ。 こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。 故に、本作品のイメージが崩れた!とか。 あのキャラにこんなことさせないで!とか。 その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)

異世界で出会った美少年が劣化しててがっかりなんですけど ~聖女が舞い戻ったのは20年後の世界でした~

このはなさくや
恋愛
かつて聖女として世界を救ったあかりが再び降り立ったのは、20年後の世界だった。 「え? この人があの天使のような美少年だったアル……? うそでしょう!?」 「なんだこの失礼な女は」 天使のようだった美少年がくたびれきったおっさんに!しかもなんか首に鎖がついてるんですけど! 王子にかけられたのはちょっぴりエッチな呪い。果たして恋愛初心者のあかりが解くことはできるのか。 愛される小動物系主人公のあかりが聖女として過ごす異世界生活。 かるいノリでゆるーくお楽しみ下さい。 ムーンで公開している同タイトルの作品を一部改稿、修正しております。 [注意]タイトルの横にある※は18禁シーンありの表記です。ご注意ください。

結婚三年、私たちは既に離婚していますよ?

杉本凪咲
恋愛
離婚しろとパーティー会場で叫ぶ彼。 しかし私は、既に離婚をしていると言葉を返して……

【R18】悪役令嬢(仮)、豪華な牢屋に監禁される-男性視点-

たかはし
恋愛
意識が浮上すると同時に「婚約破棄だ!」とイケメンに罵られた私は、1時間後には豪華な部屋へと監禁されてしまいました。 窓と唯一の出入り口である扉の前に鉄格子の柵があるけど豪華は豪華な部屋ではある…。でも明らかにここ牢屋じゃない?! その上、王弟殿下がハイドワーフの姫である私は秘宝のありかを知ってるはずだから、それの在処を話すまで監禁しておきますねって微笑まれてしまって?! …は?そんなの知らないんですけど! ・性行為をする話には#がついています 【R18】悪役令嬢(仮)、豪華な牢屋に監禁されるhttps://www.alphapolis.co.jp/novel/205245899/756335882 の男性視点のお話になります こっちの方がR18要素が多いかも…? 第13回恋愛小説大賞に参加しています。よろしくお願いします。

【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha
恋愛
ずっと好きだった初恋の相手、社長の弱みを握る為に頑張ります!!にゃんっ♥ 財閥の分家の家に代々遣える“秘書”という立場の“家”に生まれた加藤望。 ”秘書“としての適正がない”ダメ秘書“の望が12月25日の朝、愛している人から連れてこられた場所は初恋の男の人の家だった。 財閥の本家の長男からの指示、”星野青(じょう)の弱みを握ってくる“という仕事。 財閥が青さんの会社を吸収する為に私を任命した・・・!! 青さんの弱みを握る為、“ダメ秘書”は今日から頑張ります!! 関連物語 『お嬢様は“いけないコト”がしたい』 『“純”の純愛ではない“愛”の鍵』連載中 『雪の上に犬と猿。たまに男と女。』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高11位 『好き好き大好きの嘘』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高36位 『約束したでしょ?忘れちゃった?』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高30位 ※表紙イラスト Bu-cha作

【R18・完結】お飾りの妻なんて冗談じゃありません! 〜婚約破棄するためなら手段を選びません〜

野地マルテ
恋愛
王城で侍女として働くマイヤは幸せの絶頂だった。王立騎士団軍部司令官リュボフとの結婚が決まり、「あの王立騎士団のエリート騎士の妻になれる」と彼女は毎日浮かれていたのだが、ある日婚約者であるリュボフの秘密を知ってしまい、不幸のどん底に突き落とされる。 リュボフはなんと自身の副官(男)と密かに交際していたのだ。彼は部下とデキていることを周囲に隠すため、マイヤとの結婚を望んでいた。 お飾りの妻になど絶対になりたくないマイヤは婚約破棄しようとしたが、リュボフは取り合わない。困り果てたマイヤはなけなしの貯金をかき集め、特務部隊の戸を叩いた。 王立騎士団特務部隊は、金さえ払えばどのような汚れ仕事でも行うと別の意味で評判の部隊。マイヤは特務部隊の力を借りてなんとかリュボフと婚約破棄しようとするが、マイヤの依頼を引き受けた特務部隊伍長レジナンドは、いかにも遊び人風のチャラついた男だった。 ◆R18回には※あり。ほぼR18回です。 ◆一応ハッピーエンドですが、ありとあらゆる性的な表現が詰めに詰められています。エロければ何でも許せる方向け。ノーマルな性表現しか読めない方はご注意ください。

【完結】私を虐げた継母と義妹のために、素敵なドレスにして差し上げました

紫崎 藍華
恋愛
キャロラインは継母のバーバラと義妹のドーラから虐げられ使用人のように働かされていた。 王宮で舞踏会が開催されることになってもキャロラインにはドレスもなく参加できるはずもない。 しかも人手不足から舞踏会ではメイドとして働くことになり、ドーラはそれを嘲笑った。 そして舞踏会は始まった。 キャロラインは仕返しのチャンスを逃さない。

処理中です...