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「あれから何の音沙汰もないところを見ると、ようやく先方も諦めてくれたよあですね。ですが油断は禁物です。周囲に気を配りながらの行動をして下さいね」
そう伊澄に言われ、これまで行動に制限のあった生活はようやく全面解除された模様だ。
あの日から一ヶ月と少し。ようやく自由な行動が出来るようになった陽菜だが、その前に帰宅可能になっていたのであまり実感がないのも事実だ。
ただ、会食などの仕事関係の用事がないアレンがそのまま真っ直ぐマンションに戻る姿は、世のサラリーマンのようにも見えた。
(CEOとかの社長職って、どうしても夜な夜な遊んでるイメージがあるけど、アレンが変わってるように見えて、案外これが普通なのかな?)
空の上の人の行動など知らないので、遊ぶ事なく帰宅して陽菜の家で夕食を食べる姿は普通だ。これにアンリも加わっているが、最近は忙しいのか用事があるのか、日本に来た時ほど夕食を一緒になる頻度は減った。
「ヒナ!今日の晩ご飯は何?」
「今日はそうですねぇ……魚の蒸し焼きに茶碗蒸しですかね」
「茶碗蒸し!あれはアメージングな食べ物だよ!」
どうやらアレンはザ・日本的な食べ物が好きらしく、煮魚や煮物を美味しく食べてくれる。ただ、カルパッチョは食べるが生魚は苦手なようで、刺身を出した時はノーをつけつけられた。
カルパッチョと生魚は一緒ではないのか?と陽菜は思ったが、要は生臭いかそうでないかなのだろう。
「あぁでも銀杏はあまり好きじゃないから入れないで。その代わりかまぼこを多めに入れて!」
「はいはい。わかりましたから仕事をして下さい」
まだまだ専属ではないが、少しずつ秘書の仕事にも慣れてき始めた。
陽菜とアレンのそんな会話を見ていた伊澄がクスクス笑う。
「そうしてみるとまるで夫婦の会話ですね」
「ちょ、やめて下さい!まだ何もないですから!」
「僕はいつだってウェルカムだよ」
こんな会話が日常になって来たからこそ、油断というものが生まれたのかもしれない。
「ご馳走様!」
夕食を食べ終わり、丁寧に手を合わせたアレン。こうしてみると日本人よりも礼儀正しい。今日は用事があるらしくアンリはいない。
「なんだか食後のデザートが食べたいね」
「さすがにデザートはいきなり作れませんよ」
「何言ってるの?コンビニがあるじゃない」
「今からですか?」
案外庶民の味も平気なアレンは、コンビニスイーツもまたお気に入りのようだ。
「だったら私が買って来ますよ」
「ノーノー。夜にレディ一人歩かせるなんて出来ないよ。僕も行く」
やると言えばやるのがアレンなので、止めても無駄なので陽菜はアレンと一緒にコンビニへ向かった。
アレンのお気に入りは大福とどら焼きで、日本好きな外国人によくあるチョイスを選ぶ。
マンションからコンビニまでは歩いて五分程度なので、歩いて行く。どこかしらにSPはいるのでと安心していた。だがそのSPの目を掻い潜って、まさかアレンと陽菜のスクープが出るとは思いもしなかった。
そう伊澄に言われ、これまで行動に制限のあった生活はようやく全面解除された模様だ。
あの日から一ヶ月と少し。ようやく自由な行動が出来るようになった陽菜だが、その前に帰宅可能になっていたのであまり実感がないのも事実だ。
ただ、会食などの仕事関係の用事がないアレンがそのまま真っ直ぐマンションに戻る姿は、世のサラリーマンのようにも見えた。
(CEOとかの社長職って、どうしても夜な夜な遊んでるイメージがあるけど、アレンが変わってるように見えて、案外これが普通なのかな?)
空の上の人の行動など知らないので、遊ぶ事なく帰宅して陽菜の家で夕食を食べる姿は普通だ。これにアンリも加わっているが、最近は忙しいのか用事があるのか、日本に来た時ほど夕食を一緒になる頻度は減った。
「ヒナ!今日の晩ご飯は何?」
「今日はそうですねぇ……魚の蒸し焼きに茶碗蒸しですかね」
「茶碗蒸し!あれはアメージングな食べ物だよ!」
どうやらアレンはザ・日本的な食べ物が好きらしく、煮魚や煮物を美味しく食べてくれる。ただ、カルパッチョは食べるが生魚は苦手なようで、刺身を出した時はノーをつけつけられた。
カルパッチョと生魚は一緒ではないのか?と陽菜は思ったが、要は生臭いかそうでないかなのだろう。
「あぁでも銀杏はあまり好きじゃないから入れないで。その代わりかまぼこを多めに入れて!」
「はいはい。わかりましたから仕事をして下さい」
まだまだ専属ではないが、少しずつ秘書の仕事にも慣れてき始めた。
陽菜とアレンのそんな会話を見ていた伊澄がクスクス笑う。
「そうしてみるとまるで夫婦の会話ですね」
「ちょ、やめて下さい!まだ何もないですから!」
「僕はいつだってウェルカムだよ」
こんな会話が日常になって来たからこそ、油断というものが生まれたのかもしれない。
「ご馳走様!」
夕食を食べ終わり、丁寧に手を合わせたアレン。こうしてみると日本人よりも礼儀正しい。今日は用事があるらしくアンリはいない。
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「さすがにデザートはいきなり作れませんよ」
「何言ってるの?コンビニがあるじゃない」
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アレンのお気に入りは大福とどら焼きで、日本好きな外国人によくあるチョイスを選ぶ。
マンションからコンビニまでは歩いて五分程度なので、歩いて行く。どこかしらにSPはいるのでと安心していた。だがそのSPの目を掻い潜って、まさかアレンと陽菜のスクープが出るとは思いもしなかった。
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