14 / 85
p13
しおりを挟む
何故こうなったのかは不明。
陽菜の家にアレンの弟だと言うアンリが目の前にいるのだ。確かによくよく見ると似ていると言えば似ている。だが当のアンリはすごくむっすりしているのだ。
「どうしたんだい?何の連絡もなく日本に来て」
そんな空気を破ってくれたのはアレンだ。兄にそう聞かれ、アンリはようやく口を開く。
「兄さんが、日本で何処の誰かも知らない日本人と付き合ってるって報告を受けてここまで来たんだ」
どんな報告だ。付き合ってない。それは間違いだ!と反論したかったが、そういう情報は逐一入るとなると、金持ちは油断ならないと陽菜は思ってしまった。
「どうして陽菜と付き合う事に否定的かのかわからないなぁ」
「だって、そのブス庶民じゃないか!絶対ヒースルーの財産目当てだ!」
「アンリ。ヒナの事をそんな風に言うと怒るよ」
陽菜にとっては初めて見る表情。アレンが真剣な面持ちで怒っているようにも見え、アンリも肩を震わせた。
(まぁ、ブスは置いといて、身内からしたらお金目当てだって思うよねぇ……)
付き合っていなければ、付き合うにしてもそんな何世代先まで使いきれないようなお金など興味はないが、そう見えて仕方ないのだろう。
「でもどうしていきなり日本人?日本人でももっと美人だとかスタイルいい人がいるじゃない!」
「ヒナは可愛らしい。それに素直になれず頑ななところも可愛いんだ。料理だってその辺のコックよりも美味しいし」
(えっ?何?変なハードル上げないで!)
いきなり何を言い出すのかと思えば、とんでもない事をアレンは言ったぞ。前半部分はこの際置いといて、後半は明らかにアンリを焚きつけるような話だ。
「へぇ、日本では相手の胃袋を捕まえろって言葉があるけど、それってホントだったんだね」
「ち、違う違う!一般その他大勢の腕前なので誤解しないで下さい!」
さすがに溜まりかねた陽菜は声を発した。だがアンリはいろいろと納得していないようだ。それもそうだろう。
「オレは絶対認めないからな!だって兄さんが付き合ってきた人と全然系統違うじゃない!」
具体的な名前まで持ち出したアンリ。モテる男だろうは見てわかるが、さすがのセレブ様だ。アンリの出す名前には陽菜も知るような有名なハリウッド女優からパリコレモデルまでいた。
(そんなビッグネームばかり見てたら、確かに私はブスゾーンに入るよね)
そもそも出会いからしておかしかったわけだが、そのビッグネームの中の一人に入れられ、かなり萎縮してしまった。
「アンリ……人は造形だけじゃないんだよ。僕は一目見た瞬間からヒナに心を奪われる衝撃を受けたんだ」
(うん。付き合った人の名前聞いた後だと何の説得力もないぞ!)
ついつい心の中でツッコミを入れてしまった陽菜。だがアレンの言葉は嬉しかったし、若干ドキリともした。
「なら本当にこの女が兄さんに相応しいか、ここに住んで確認する!」
そう息巻くアンリに、陽菜は側頭しそうになった。よくあるマンションだったここはさらに賑やかになっていく予感がした。
陽菜の家にアレンの弟だと言うアンリが目の前にいるのだ。確かによくよく見ると似ていると言えば似ている。だが当のアンリはすごくむっすりしているのだ。
「どうしたんだい?何の連絡もなく日本に来て」
そんな空気を破ってくれたのはアレンだ。兄にそう聞かれ、アンリはようやく口を開く。
「兄さんが、日本で何処の誰かも知らない日本人と付き合ってるって報告を受けてここまで来たんだ」
どんな報告だ。付き合ってない。それは間違いだ!と反論したかったが、そういう情報は逐一入るとなると、金持ちは油断ならないと陽菜は思ってしまった。
「どうして陽菜と付き合う事に否定的かのかわからないなぁ」
「だって、そのブス庶民じゃないか!絶対ヒースルーの財産目当てだ!」
「アンリ。ヒナの事をそんな風に言うと怒るよ」
陽菜にとっては初めて見る表情。アレンが真剣な面持ちで怒っているようにも見え、アンリも肩を震わせた。
(まぁ、ブスは置いといて、身内からしたらお金目当てだって思うよねぇ……)
付き合っていなければ、付き合うにしてもそんな何世代先まで使いきれないようなお金など興味はないが、そう見えて仕方ないのだろう。
「でもどうしていきなり日本人?日本人でももっと美人だとかスタイルいい人がいるじゃない!」
「ヒナは可愛らしい。それに素直になれず頑ななところも可愛いんだ。料理だってその辺のコックよりも美味しいし」
(えっ?何?変なハードル上げないで!)
いきなり何を言い出すのかと思えば、とんでもない事をアレンは言ったぞ。前半部分はこの際置いといて、後半は明らかにアンリを焚きつけるような話だ。
「へぇ、日本では相手の胃袋を捕まえろって言葉があるけど、それってホントだったんだね」
「ち、違う違う!一般その他大勢の腕前なので誤解しないで下さい!」
さすがに溜まりかねた陽菜は声を発した。だがアンリはいろいろと納得していないようだ。それもそうだろう。
「オレは絶対認めないからな!だって兄さんが付き合ってきた人と全然系統違うじゃない!」
具体的な名前まで持ち出したアンリ。モテる男だろうは見てわかるが、さすがのセレブ様だ。アンリの出す名前には陽菜も知るような有名なハリウッド女優からパリコレモデルまでいた。
(そんなビッグネームばかり見てたら、確かに私はブスゾーンに入るよね)
そもそも出会いからしておかしかったわけだが、そのビッグネームの中の一人に入れられ、かなり萎縮してしまった。
「アンリ……人は造形だけじゃないんだよ。僕は一目見た瞬間からヒナに心を奪われる衝撃を受けたんだ」
(うん。付き合った人の名前聞いた後だと何の説得力もないぞ!)
ついつい心の中でツッコミを入れてしまった陽菜。だがアレンの言葉は嬉しかったし、若干ドキリともした。
「なら本当にこの女が兄さんに相応しいか、ここに住んで確認する!」
そう息巻くアンリに、陽菜は側頭しそうになった。よくあるマンションだったここはさらに賑やかになっていく予感がした。
1
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ
中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。
※ 作品
「男装バレてイケメンに~」
「灼熱の砂丘」
「イケメンはずんどうぽっちゃり…」
こちらの作品を先にお読みください。
各、作品のファン様へ。
こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。
故に、本作品のイメージが崩れた!とか。
あのキャラにこんなことさせないで!とか。
その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)
異世界で出会った美少年が劣化しててがっかりなんですけど ~聖女が舞い戻ったのは20年後の世界でした~
このはなさくや
恋愛
かつて聖女として世界を救ったあかりが再び降り立ったのは、20年後の世界だった。
「え? この人があの天使のような美少年だったアル……? うそでしょう!?」
「なんだこの失礼な女は」
天使のようだった美少年がくたびれきったおっさんに!しかもなんか首に鎖がついてるんですけど!
王子にかけられたのはちょっぴりエッチな呪い。果たして恋愛初心者のあかりが解くことはできるのか。
愛される小動物系主人公のあかりが聖女として過ごす異世界生活。
かるいノリでゆるーくお楽しみ下さい。
ムーンで公開している同タイトルの作品を一部改稿、修正しております。
[注意]タイトルの横にある※は18禁シーンありの表記です。ご注意ください。
【R18】悪役令嬢(仮)、豪華な牢屋に監禁される-男性視点-
たかはし
恋愛
意識が浮上すると同時に「婚約破棄だ!」とイケメンに罵られた私は、1時間後には豪華な部屋へと監禁されてしまいました。
窓と唯一の出入り口である扉の前に鉄格子の柵があるけど豪華は豪華な部屋ではある…。でも明らかにここ牢屋じゃない?!
その上、王弟殿下がハイドワーフの姫である私は秘宝のありかを知ってるはずだから、それの在処を話すまで監禁しておきますねって微笑まれてしまって?!
…は?そんなの知らないんですけど!
・性行為をする話には#がついています
【R18】悪役令嬢(仮)、豪華な牢屋に監禁されるhttps://www.alphapolis.co.jp/novel/205245899/756335882 の男性視点のお話になります
こっちの方がR18要素が多いかも…?
第13回恋愛小説大賞に参加しています。よろしくお願いします。
【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!
Bu-cha
恋愛
ずっと好きだった初恋の相手、社長の弱みを握る為に頑張ります!!にゃんっ♥
財閥の分家の家に代々遣える“秘書”という立場の“家”に生まれた加藤望。
”秘書“としての適正がない”ダメ秘書“の望が12月25日の朝、愛している人から連れてこられた場所は初恋の男の人の家だった。
財閥の本家の長男からの指示、”星野青(じょう)の弱みを握ってくる“という仕事。
財閥が青さんの会社を吸収する為に私を任命した・・・!!
青さんの弱みを握る為、“ダメ秘書”は今日から頑張ります!!
関連物語
『お嬢様は“いけないコト”がしたい』
『“純”の純愛ではない“愛”の鍵』連載中
『雪の上に犬と猿。たまに男と女。』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高11位
『好き好き大好きの嘘』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高36位
『約束したでしょ?忘れちゃった?』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高30位
※表紙イラスト Bu-cha作
【R18・完結】お飾りの妻なんて冗談じゃありません! 〜婚約破棄するためなら手段を選びません〜
野地マルテ
恋愛
王城で侍女として働くマイヤは幸せの絶頂だった。王立騎士団軍部司令官リュボフとの結婚が決まり、「あの王立騎士団のエリート騎士の妻になれる」と彼女は毎日浮かれていたのだが、ある日婚約者であるリュボフの秘密を知ってしまい、不幸のどん底に突き落とされる。
リュボフはなんと自身の副官(男)と密かに交際していたのだ。彼は部下とデキていることを周囲に隠すため、マイヤとの結婚を望んでいた。
お飾りの妻になど絶対になりたくないマイヤは婚約破棄しようとしたが、リュボフは取り合わない。困り果てたマイヤはなけなしの貯金をかき集め、特務部隊の戸を叩いた。
王立騎士団特務部隊は、金さえ払えばどのような汚れ仕事でも行うと別の意味で評判の部隊。マイヤは特務部隊の力を借りてなんとかリュボフと婚約破棄しようとするが、マイヤの依頼を引き受けた特務部隊伍長レジナンドは、いかにも遊び人風のチャラついた男だった。
◆R18回には※あり。ほぼR18回です。
◆一応ハッピーエンドですが、ありとあらゆる性的な表現が詰めに詰められています。エロければ何でも許せる方向け。ノーマルな性表現しか読めない方はご注意ください。
【完結】私を虐げた継母と義妹のために、素敵なドレスにして差し上げました
紫崎 藍華
恋愛
キャロラインは継母のバーバラと義妹のドーラから虐げられ使用人のように働かされていた。
王宮で舞踏会が開催されることになってもキャロラインにはドレスもなく参加できるはずもない。
しかも人手不足から舞踏会ではメイドとして働くことになり、ドーラはそれを嘲笑った。
そして舞踏会は始まった。
キャロラインは仕返しのチャンスを逃さない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる