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攻略ルート確定
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目の前に現れた黒いモヤに、私は足がすくんで動けなかった。黒いモヤは人の形を保っているが、その姿は女性なのか男性なのかはっきりとしない。じっと私を見ている(気がする)だけで、何をするわけでもない。だがその不気味なものに声すら出ず、どうすればいいのかわからない。正直目の前にして怖いと感じた。
「あ……あなた……誰?」
ようやく出た言葉は、相手に尋ねるものだったが、言葉が通じているのかどうかはわからない。だが人間よくわからない状況に陥るとそんな言葉を漏らすのだなと思った。
すると黒いモヤの手がスッと私に伸びて来た。思わず「ヒッ!」という声が漏れた。
「大丈夫ですか?」
「えっ?」
私の名前を呼び、固まっていた私の手を引いてその場から引き放したのはニーアだった。
黒いモヤはまだその場に漂っている。ニーアはその黒いモヤを見ながらじりじりと後ずさる。
「これがカインの言っていた黒いモヤですね。でもなんでこんな所に?」
そんな事は私も知りたい。だが今まで国の郊外にいたはずだ。それが国内に入り込んだとなれば大問題だろう。まずすべきはこの場から離れる事だ。
「走れますか?」
「う、うん……」
どうやら黒いモヤは動きが遅いのもあるが、こちらに攻撃をしてくるという感じには見えなかった。なのでニーアに手を引かれその場から立ち去る事にした。
「危険性の程は聞いていたよりは大丈夫そうでしたけど、どうしてあんなものが国内に入り込んでいるのでしょうか?」
「わ、わからない……私にも……」
やって来たのはニーアが借りているという家だ。借家という事もあり、家具も必要最低限のみの、テーブルとイス、ベッドのみだ。
イスに座った私にニーアはホットミルクを渡した。甘く温かいミルクが動揺していた私の心を落ち着かせてくれる。
「なんだか眠れなくて外に出たらあの黒いモヤがいて……ニーアはどうしてあの場に?」
「僕は散歩です。散歩していたら貴女と黒いモヤがいて」
どちらにしても間一髪だったのかもしれない。それにしてもどうして私の前に現れたのだろう。むしろ国内にいたという事は、随分前から入り込んでいたのではないかとも予想出来る。
「あの黒いモヤは何だろう……?」
「さぁ、僕にはわかりませんが、今日は戻らない方がいいかもしれませんね」
「えっ?でも……」
「まだあいつがいたら危険です。貴女を危険な目に合わせられないです。僕にとっての運命の人を失うわけにはいかないので!」
ギュッと抱きしめられた私。これはもしやニーアルート確定なのではないか?そう思った私は、別に嫌でもない。ニーアは私を助けてくれた。そういういろいろな要素が決めてになったかもしれない。私の手は自然とニーアの背に置かれた。
私が進むハッピーエンドはニーアとだ。
「ありがとう……私を助けてくれて」
そう呟き見つめ合う私とニーア。そっとその唇が触れ合った。
「あ……あなた……誰?」
ようやく出た言葉は、相手に尋ねるものだったが、言葉が通じているのかどうかはわからない。だが人間よくわからない状況に陥るとそんな言葉を漏らすのだなと思った。
すると黒いモヤの手がスッと私に伸びて来た。思わず「ヒッ!」という声が漏れた。
「大丈夫ですか?」
「えっ?」
私の名前を呼び、固まっていた私の手を引いてその場から引き放したのはニーアだった。
黒いモヤはまだその場に漂っている。ニーアはその黒いモヤを見ながらじりじりと後ずさる。
「これがカインの言っていた黒いモヤですね。でもなんでこんな所に?」
そんな事は私も知りたい。だが今まで国の郊外にいたはずだ。それが国内に入り込んだとなれば大問題だろう。まずすべきはこの場から離れる事だ。
「走れますか?」
「う、うん……」
どうやら黒いモヤは動きが遅いのもあるが、こちらに攻撃をしてくるという感じには見えなかった。なのでニーアに手を引かれその場から立ち去る事にした。
「危険性の程は聞いていたよりは大丈夫そうでしたけど、どうしてあんなものが国内に入り込んでいるのでしょうか?」
「わ、わからない……私にも……」
やって来たのはニーアが借りているという家だ。借家という事もあり、家具も必要最低限のみの、テーブルとイス、ベッドのみだ。
イスに座った私にニーアはホットミルクを渡した。甘く温かいミルクが動揺していた私の心を落ち着かせてくれる。
「なんだか眠れなくて外に出たらあの黒いモヤがいて……ニーアはどうしてあの場に?」
「僕は散歩です。散歩していたら貴女と黒いモヤがいて」
どちらにしても間一髪だったのかもしれない。それにしてもどうして私の前に現れたのだろう。むしろ国内にいたという事は、随分前から入り込んでいたのではないかとも予想出来る。
「あの黒いモヤは何だろう……?」
「さぁ、僕にはわかりませんが、今日は戻らない方がいいかもしれませんね」
「えっ?でも……」
「まだあいつがいたら危険です。貴女を危険な目に合わせられないです。僕にとっての運命の人を失うわけにはいかないので!」
ギュッと抱きしめられた私。これはもしやニーアルート確定なのではないか?そう思った私は、別に嫌でもない。ニーアは私を助けてくれた。そういういろいろな要素が決めてになったかもしれない。私の手は自然とニーアの背に置かれた。
私が進むハッピーエンドはニーアとだ。
「ありがとう……私を助けてくれて」
そう呟き見つめ合う私とニーア。そっとその唇が触れ合った。
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