親友Sxx、始めました。

そらも

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始めましたその三、 ―――セックスはものすごぉくしたいっ…!!!!

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結婚まで真剣に考えていた『あきな』ちゃんとお別れしてからの六日後、本日土曜日の時刻午後十時。



「うぃ~ひっくウェェェェイ!! も~女なんて金輪際信じないぞ~!!!」
「ウェェェェイ!! 彼女なんて二度と作るか~!!!」
「作るか~!! 今の時代はやっぱ恋人より友情一番じゃ~い!!!」
「友情一番じゃ~い!!!」



気がつけば愚痴大会という名の自宅飲み会の惨状は、それはもうおっそろしいことになっていた。



浮気をしたそれぞれの元彼女のあきなちゃんへの罵倒から、酔いが回りすぎたのか――その証拠に、机の上にも下にも今まででは考えられないほどの酒の空き缶が転がっていた――次第にやとと京眞の話題の矛先は、何故か世の中の女性全体への悪口に変わっていき。
そして、



「つか…ほんとマジ、こんな最低最悪の状況……俺、お前っていう存在がいなかったら多分…いや絶対もっとヤバい精神状態になってたと思うわ。これは真面目に冗談とかなくて、改めて本当ありがとな…やと」
「!! …京眞……っ、うん…オレだって、こうして京眞が傍にいてくれなかったら…絶対、絶対もっとおかしな
ことになってたと思う。だから本当、京眞には感謝してるよ…へへっありがとう」
「やと……っな、なんかココ、妙にあっちくなってきたな、ははっ…」
「っ、そ…そうだな…えと、そろそろ酒飲むのはストップしよっか…」
「お、おう…」
「うん……」



先程までのハイテンションから一転。
こんなキツイ精神の中、それでも互いの存在があったからこそのこの状態で踏みとどまれているというそのことに、改めて自分の『親友』に向かって感謝を述べる二人であったが……けれどどうしてだか、少し纏う空気の色に変化が帯びてきて。


酒に酔ってできた赤みとは違う別の熱さが、二人それぞれの頬に集まり始めたところで、「そっそういやさ…!」と、妙な空気を変えるようにしてどもりながら京眞が口を開きだす。



「明菜ちゃんとっ…恋人とこんな形で別れることになったのはもちろんめちゃくちゃショックだけどさ…でもあれだよな、これからはその…っ、セックスできなくなっちゃうってことも、正直なところ男としては困っちゃう重要問題だよなぁ~…なんて」
「っ!! …お、お前は何いきなりそんな話題を…」
「いっいやだってほんとのことじゃん…!? さっきは金輪際信じないとか二度と作るかと言ったけども…でもやっぱり独り身は寂しいし、セックス自体はしたいわけで……つかそういうお前だって、次の彼女できるまではこれからしばらくセックスできないことよ~くちゃんと考えてみろよ!? 童貞だった十代の時ならまだしも、もうセックスの良さを知っちまった今じゃコレけっこうな拷問展開だぞ…!?」
「!? そっそう言われちゃうと確かに…!!?」
「だろだろっ! ―――…ま、まぁ…つっても今回の最低最悪事件のせいで、よく考えなくても『女』という存在とすぐさまお付き合いできるのかって言われると…アレ…なのが本音だったりもするわけだけども…」
「!!! ―――…そ、そうだよな…うん。オレもその…せ、セックスはしたい…けども、しばらくは女の子と付き合うのはちょっと…無理っぽい…かも」
「う、うぐ……」
「うぅ……」



けれど、明るい話題を! 的な感じで切り出したものの。
到着した先で『セックスはめちゃくちゃしたいけど、正直しばらく女性とはお付き合いしたくないっ……』との、思っていたよりもずっと今回の事件が己の心にかなりの大打撃を打っていたその事実に、やとも京眞も酔いが一気に醒めてしまいそうなほどに、互いの顔をさっきまでの赤色から瞬時に青色に変えるのだった。



……セックスはしたい。
でも結婚まで考えていた彼女の浮気現場を見たショックからか、トラウマとまではいかなくともしばらく新しい彼女を作ろうという気にはとてもじゃないがおきない。
でも、セックスはしたい。
女性と付き合う気がおきないのに、仮にその場しのぎに性欲だけを発散するために風俗などに行ったとしても……正直己の息子が勃つのかさえも、今はわからない。
けれども、


―――セックスはものすごぉくしたいっ…!!!!



という強い思いがぐるぐるぐるぐる…まだまだ性欲満タンな二十五歳の二人の男たちそれぞれの頭の中で、同時上映の如くまったく一緒のタイミングで流れ出し。


カチカチカチカチ、しばらくの間やとの部屋の壁にかけてある時計の針の音だけが、二人のいる静かな空間にただただやけに音を響かせていた


ところで。

「―――っ!!」と、突如何かハッとしたように、京眞の方が顔を勢いよくあげたのだ。

そして、ゴクリ…と一旦唾を飲み干し。
おそるおそるといった感じに、京眞は未だ沈黙を守り続けていた目の前のやとへと視線を向け。



「……な、なぁ…やと、」
「へ……あっ、何っ京眞…?」
「あの、あのさ…多分だけど、お前も今…セックスはしたいけどこの先女の子と付き合う気には到底なれない、一体どうすれば……的なことずっと考えてたんだろ…?」
「!! っ…う、ん…むしろちょっと、この先女の子とお付き合いできたとしても…自分のち、ちんこがちゃんと勃つのかな……的なことまで考えてた…」
「ま、マジか……はは、俺たちってほんと色んなとこが似すぎてるな…」
「はは、だな…」
「っ、だから…さ」
「え…」
「や、だからその……つまりだな、『セックスはしたいけど、女の子と付き合うのは当分無理そう』っていう同じ思いを、お互いに持ってんなら……っ、」
「? さっきから、京眞どうし――…」



「―――いっ、いっそのこと俺とお前でセックスしてみないかっ、やとっ!!!」
「―――へ……へえぇぇぇえええっ!!???」



ぐるぐるぐるぐる考えすぎてしまった結果なのか。
突然のいわゆる夜のお誘いというヤツを、何故か幼なじみ兼親友なはずの相手に向かって大声で言いだしたのであった。


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