28 / 40
28話 おれほんとはコウ兄のことっ、
しおりを挟む……嘘? って、拓馬くんが……?
声をあげようとした口を閉じ、何を発しようとしたのかも忘れ……ボクは瞳をぱちくりとさせながら、拓馬くんを見つめる。
すると拓馬くんは
「っ、おれ……兄ちゃんに嘘、ついた…」
と、握っていたボクの手に少し力を入れつつ、もう一度小さく呟き。
「……さっき、」
「…さっき?」
「さっきおれっ、コウ兄にち、ちんちん触られた時から…っ、コウ兄のえっちな姿想像してオナニーしてたって…そう、言ったけど……あれ、ほんとは違うんだ…」
「!? …え…で、でもじゃあ、」
「ほ、本当はもっと前っ……コウ兄がおれに『オナニー』について初めて教えてくれた時から…っあの時から、おれずっとコウ兄のえっちな姿だけ想像してオナニーしてたんだっ…!!!」
「――…っ、う、そ…」
「う、嘘じゃないっ…!! これはほんとのほんとにほんとだからっ!!」
「っ……」
――わけが、わからない…なに、それ……何だそれは。
拓馬くんに『好きだ』と言ってもらえただけでも、
これは夢なのか…と未だ信じ難い現実にしどろもどろでいたボクであったのに、
そこへさらに追い打ちをかけるかのような言葉を送ってきた拓馬くん。
…あの時、ボクの問いかけに少しの躊躇いを見せたのは……そういうこと、なの…?
……っ、でもだって、だって待って…ボクが彼に『オナニー』について最初に教えたのは、
拓馬くんがボクに精通したことを告げてきたあの日……彼が小学六年生になったばかりの春の日のことで。
何よりも――ボクが拓馬くんと初めて『セックスしたい』と、そう思ってしまった日でもあるのだ。
な、なんで…何でそんなずっと前から、拓馬くんがボクを想って…っ、オナニーを…?
「……どう、して…拓馬く…」
「! ……へへっ、そりゃ…驚くよね…うん。さっきは、さ…おれから言うんじゃなくて急にコウ兄本人から、ボクのえっちな姿を想像してオナニーしてたの…? って目の前で聞かれて…それでおれなんかめちゃくちゃ恥ずかしくっていうか、オナニーのこと初めて教えられたその日から…っ、兄ちゃんのこと想像してお、オナニーしてました…なんてしょーじきに話したら、コウ兄にあきれられるかと思って……で、気づいたら嘘…ついちゃってたんだ、おれ…」
「っ……ボクが、あの時…聞いて、それで」
「あっ! 兄ちゃんのせいとか、別にそういう意味じゃないからなっ…!! っ……コウ兄は、あの時…おれに何て
オナニーについて説明したか…覚えてる?」
「え…あの時…あの時は、」
頭がこんがらがったままの状態の中……ボクは最初にオナニーについて拓馬くんに話したあの春の日のことを思い出す。
ボクは、ボクはあの時、
『うん。拓馬くんが気になってたり、好きだなぁってドキドキしちゃう相手のことを想いながらおちんぽゴシゴシいっぱいすると、すっごく気持ちいいって感じるはずだから…』
『! …好きな…人で、ゴシゴシ…っ』
『ふふ。そう、好きな人』
「!! ……好きな、相手のことを…想いながら…」
「…うん、コウ兄はそう言ってくれたんだ……おれ、初めてせいつー…精通して、オナニーのこと知って…それでコウ兄のこと想いながらオナニーするようになって……でも、コウ兄はおれのことお隣に住んでる『弟』みたいな存在
にしか見てないと思ってたから……だからずっとずっと、兄ちゃんでえっちな想像してること隠してたんだっ…」
「! そう、だったの…? 隠してたって…」
……そんな、だって…拓馬くん、そんな素振り全然っ、
「兄ちゃんわかんなかっただろっ…? おれが兄ちゃんのことそんな目で見てるなんてさ…」
「わ、かんな…かった…」
「だっておれ、バカなりにめちゃめちゃ頑張ったもんっ……コウ兄をえ、えっちな目で見てるなんて、兄ちゃん本人にぜってぇ知られたくなかったし……なのに、さっ最近になって急に…コウ兄、おれの前でえっちな恰好しだしたりっ、おれの身体やちんちんに兄ちゃんの手や足がくっつくことが多くなったり…マッサージした時も、すっごくえっちな声だしたりっ…て、そのせいでおれっ…前まではコウ兄のえっちな想像って言っても、何だかほんとぼやっとした想像しかできなかったのに…最近はコウ兄のお、おっぱいとか、お尻とか…声とかっ、そういう兄ちゃんのえっちなところめちゃくちゃハッキリ想像しながらオナニーするようになって……それで今度はセックスのこと教えられて…兄ちゃんとおれが、っセックスする想像までしちゃうようになっちゃって、だからおれっ……」
「っ――…」
だからおれっ…と、段々と言葉が小さくなっていく拓馬くんであったが、
けれどもボクの頭の中、彼が所々つっかえさせながらもしゃべってくれたたくさんの言葉の一つ一つが、
ぐるぐる、ぐるぐるとものすごいスピードで駆け巡っていく。
そんな、頭の中を勢いよく駆け巡る言葉たちに眩暈を起こしそうになり、
グラリ…視界を揺らがせるボクに、拓馬くんは――
「それにおれっ…兄ちゃんのことえっちな目で見るようになったのは、確かにあの春の日からだけど……っ、でも、
おれほんとはコウ兄のことっ、もっとずっと前から好きだったんだよ…!!!」
「――…え、」
そう、信じられないような言葉を、大きな声で叫んだのだった。
2
お気に入りに追加
802
あなたにおすすめの小説
ゆるふわメスお兄さんを寝ている間に俺のチンポに完全屈服させる話
さくた
BL
攻め:浩介(こうすけ)
奏音とは大学の先輩後輩関係
受け:奏音(かなと)
同性と付き合うのは浩介が初めて
いつも以上に孕むだのなんだの言いまくってるし攻めのセリフにも♡がつく
誰にもナイショ♡ -つばめ組のけーし先生(20)とすずめ組のまひろ先生(35)のらぶらぶあまあませっくすたいむ♡♡♡
そらも
BL
とある保育園で日々忙しなく働く新人保育士くん(20)とベテラン保育士さん(35)は、昼間はおドジな新人けーし先生をしっかり者のベテランまひろ先生が指導兼お世話するという一見怒り怒られな関係なのだが、しかし夜になった途端、そんな二人の先生たちは『らぶらぶあまあませっくすたいむ』なるモノを発動し合う関係に様変わりしてしまうようで――…♡♡♡
な、保育園関係者にはナイショで毎夜らぶらぶする絶倫バカップル先生たちのお話です♪
成人大人同士のカップルのお話は久しぶりかもですなぁ。でも相変わらず、というか今まで以上に年の差のある関係となっておりますのでそこのところどうぞよろしくです!
※ R-18エロもので、♡(ハート)喘ぎ満載です。
※ 素敵な表紙は、pixiv小説用フリー素材にて、『やまなし』様からお借りしました。ありがとうございます!
『田中のおじさま♡』~今夜も愛しのおじさまと濃厚ラブえっち♡♡♡
そらも
BL
過去にとある出逢いを経て知り合った『本名さえもちゃんとわかってない』自分よりも三十二歳も年上のバツイチ絶倫変態スケベおじさまとの濃厚セックスに毎夜明け暮れている、自称平凡普通大学生くんの夜のお話♡
おじさまは大学生くんにぞっこんラブだし、大学生くんもハジメテを捧げたおじさまが大大大っだ~いすきでとってもラブラブな二人でございますぞ♪
久しぶりの年上×年下の歳の差モノ♡ 全体的に変態ちっくですのでどうぞご注意を!
※ R-18エロもので、♡(ハート)喘ぎ満載です。
※ 素敵な表紙は、pixiv小説用フリー素材にて、『やまなし』様からお借りしました。ありがとうございます!
指定時間ピッタリ有能スケベ配達員くんの、本日最後のえっちなお届け物タイム♡ ~オレ、彼のお得意様なんデス♡♡♡
そらも
BL
よくある配達員×お客様の、お荷物届けついでにそのまま玄関でおセックスしまくっちゃうというスケベ話であります♡
タイトルにあるお得意様のフレーズ通り、もう二人にとっては日常のひとコマな出来事です♡
ただし中身は受けくんの台詞オンリー(擬音付き+攻めくんのはぁはぁ声は有り)ストーリーとなっておりますので、お読みになる際はどうぞお気を付けくださいませ!
いやはや一度受けくんの台詞だけで進むお話書きたかったのよね笑 いつか別シチュになるとは思いますが、今度は攻めくんの台詞オンリーのスケベ話も書いてみたいものでありますぞよ♡
ちなみに今回作中で攻めくんはまだしも受けくんの名前がまったく出ておらんのですが、一応二人はこんなお名前(&年齢とご職業)となっておりますです♪
攻めくん:光本里史(みつもとさとし)二十二歳、ナデシコ運送(なでしこうんそう)通称、シロウサナデシコの配達ドライバー。
受けくん:阿川未緒(あがわみお)二十八歳、普段は普通の会社員。週に2~3回はシロウサナデシコを利用しているいわゆる『お得意様』。
※ R-18エロもので、♡(ハート)喘ぎ満載です。
※ 素敵な表紙は、pixiv小説用フリー素材にて、『やまなし』様からお借りしました。ありがとうございます!
えっちな美形男子〇校生が出会い系ではじめてあった男の人に疑似孕ませっくすされて雌墜ちしてしまう回
朝井染両
BL
タイトルのままです。
男子高校生(16)が欲望のまま大学生と偽り、出会い系に登録してそのまま疑似孕ませっくるする話です。
続き御座います。
『ぞくぞく!えっち祭り』という短編集の二番目に載せてありますので、よろしければそちらもどうぞ。
本作はガバガバスター制度をとっております。別作品と同じ名前の登場人物がおりますが、別人としてお楽しみ下さい。
前回は様々な人に読んで頂けて驚きました。稚拙な文ではありますが、感想、次のシチュのリクエストなど頂けると嬉しいです。
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
淫らに壊れる颯太の日常~オフィス調教の性的刺激は蜜の味~
あいだ啓壱(渡辺河童)
BL
~癖になる刺激~の一部として掲載しておりましたが、癖になる刺激の純(痴漢)を今後連載していこうと思うので、別枠として掲載しました。
※R-18作品です。
モブ攻め/快楽堕ち/乳首責め/陰嚢責め/陰茎責め/アナル責め/言葉責め/鈴口責め/3P、等の表現がございます。ご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる