24 / 26
共に生きるため
しおりを挟む
夢華にとって,妖精界で過ごす最後の夜が来た。
大聖堂に夢華,優姿,種子蕾隊のメンバーが居る。
「夢ちゃんや,本当にすまんかったのう・・・。しかし,君がこの世界に来てくれて本当によかった。優姿,君もじゃ。妖精と人間は,きっとまた共存できる。わしは,二人がその架け橋になってくれる,そう信じてるぞ・・・。」
夢華と優姿がしっかりうなずいた。
「たぶん,帰ったらあたいらはもう見えなくなる。」
唐突に秋美が言った。
「えっ!?」
夢華が驚いて声をあげる。
「夢華達があたいらを見えてたのは,本当に純粋だからだ。けど,あたいに合うまで妖精が見えたことはなかったろ?あたいの力は普通の妖精より強いから,見えたんだ。たぶん,人間界で生活してたら,もう見えなく・・・。」
秋美が言葉を切った。
しかし夢華は微笑んだ。
「前にも言ったよね?あたしがみんなを見えなくなっても,あたしの側にみんなは居る。ほんの小さな自然にも妖精は居る。だから,あたしは大丈夫!!」
優姿も,微笑んでうなずいた。
その後は,みんなで色々な話をした。
心から楽しく思え,帰るのが辛くてたまらない。
だが,夢華と優姿の居場所は人間界だ。
人間界で,二人は生きていく。
未来がどうなるかは分からない。
それでも悪い道だけが延びているのではない。
「草多,冬美を待つの?」
遠慮がちに夢華は草多に聞いてみた。
「あぁ,数年なんて,あっという間さ。冬美が生きていてくれたら,俺はそれだけで十分だ。」
そう言って草多は笑った。
「夢華達が帰ったら,少しは落ち着けよ。」
海起が秋美に話しかけている。
「うっせーな!!てめぇに関係ねぇよ。」
そう言いながらも,秋美は口元に笑みを浮かべている。
それを見て,夏美がにやついていた。
春美も微笑んでいる。
桜達精霊も,夢華と優姿に近づいた。
「本当に,ありがとう。」
桜が二人に向かって言った。
時間が過ぎるのも忘れて,夢華は全員と語り続けていた。
夢華達が人間界に帰る時が来た。
当たり前だが優姿とは別のゲートだ。
ゲートは新しく,大精霊様達が作ったらしい。
優姿と夢華が別れる前,大聖堂の前で優姿は夢華にメモを渡した。
「これ,俺の連絡先。・・・また向こうで会おう。待ってるから。」
優姿が夢華に言った。
「うん!!」
二人はしっかり握手すると,大精霊様と精霊に別れを告げ,別々のゲートに向かっていった。
大精霊様,それに精霊と妖精達は,ずっと手を振り続けていた。
夢華は秋美,桜,春美,夏美と共にゲートへ到着した。
「みんな,本当に,本当にありがとう。」
夢華が笑顔で言った。
「あなたのその心と行動力があれば,きっと,明るい未来が開けている。・・・頑張るのですよ。」
桜が夢華に言った。
全員としっかり握手をして,夢華は秋美と手をつないだ。
「さぁ!!行くぜ!!!!」
秋美の声と共に,夢華は人間界へと帰っていった・・・・・。
夢華は元の,獣道を抜けてきた楠木の前に立っていた。
隣には秋美もいる。
「お別れだな・・・・・。」
秋美が言った。
「夢華と出会えて,嬉しかった。」
秋美が笑いながら言った。
夢華も笑ってうなずいた。
「いつでもあたいは夢華の側にいる。みんなだ。それを,忘れないでくれよ。」
秋美がそう言うと夢華は言葉にならない想いを伝えるかのようにうなずいた。
空は暗くなっている。
「ゆめかぁぁぁ!!」
声が聞こえてきた。
夢華のお母さんの声だ。
「ほら,探してるぜ。行けよ。」
夢華はゆっくりと秋美の手を離すと,獣道へ向かって歩いていった・・・・。
大聖堂に夢華,優姿,種子蕾隊のメンバーが居る。
「夢ちゃんや,本当にすまんかったのう・・・。しかし,君がこの世界に来てくれて本当によかった。優姿,君もじゃ。妖精と人間は,きっとまた共存できる。わしは,二人がその架け橋になってくれる,そう信じてるぞ・・・。」
夢華と優姿がしっかりうなずいた。
「たぶん,帰ったらあたいらはもう見えなくなる。」
唐突に秋美が言った。
「えっ!?」
夢華が驚いて声をあげる。
「夢華達があたいらを見えてたのは,本当に純粋だからだ。けど,あたいに合うまで妖精が見えたことはなかったろ?あたいの力は普通の妖精より強いから,見えたんだ。たぶん,人間界で生活してたら,もう見えなく・・・。」
秋美が言葉を切った。
しかし夢華は微笑んだ。
「前にも言ったよね?あたしがみんなを見えなくなっても,あたしの側にみんなは居る。ほんの小さな自然にも妖精は居る。だから,あたしは大丈夫!!」
優姿も,微笑んでうなずいた。
その後は,みんなで色々な話をした。
心から楽しく思え,帰るのが辛くてたまらない。
だが,夢華と優姿の居場所は人間界だ。
人間界で,二人は生きていく。
未来がどうなるかは分からない。
それでも悪い道だけが延びているのではない。
「草多,冬美を待つの?」
遠慮がちに夢華は草多に聞いてみた。
「あぁ,数年なんて,あっという間さ。冬美が生きていてくれたら,俺はそれだけで十分だ。」
そう言って草多は笑った。
「夢華達が帰ったら,少しは落ち着けよ。」
海起が秋美に話しかけている。
「うっせーな!!てめぇに関係ねぇよ。」
そう言いながらも,秋美は口元に笑みを浮かべている。
それを見て,夏美がにやついていた。
春美も微笑んでいる。
桜達精霊も,夢華と優姿に近づいた。
「本当に,ありがとう。」
桜が二人に向かって言った。
時間が過ぎるのも忘れて,夢華は全員と語り続けていた。
夢華達が人間界に帰る時が来た。
当たり前だが優姿とは別のゲートだ。
ゲートは新しく,大精霊様達が作ったらしい。
優姿と夢華が別れる前,大聖堂の前で優姿は夢華にメモを渡した。
「これ,俺の連絡先。・・・また向こうで会おう。待ってるから。」
優姿が夢華に言った。
「うん!!」
二人はしっかり握手すると,大精霊様と精霊に別れを告げ,別々のゲートに向かっていった。
大精霊様,それに精霊と妖精達は,ずっと手を振り続けていた。
夢華は秋美,桜,春美,夏美と共にゲートへ到着した。
「みんな,本当に,本当にありがとう。」
夢華が笑顔で言った。
「あなたのその心と行動力があれば,きっと,明るい未来が開けている。・・・頑張るのですよ。」
桜が夢華に言った。
全員としっかり握手をして,夢華は秋美と手をつないだ。
「さぁ!!行くぜ!!!!」
秋美の声と共に,夢華は人間界へと帰っていった・・・・・。
夢華は元の,獣道を抜けてきた楠木の前に立っていた。
隣には秋美もいる。
「お別れだな・・・・・。」
秋美が言った。
「夢華と出会えて,嬉しかった。」
秋美が笑いながら言った。
夢華も笑ってうなずいた。
「いつでもあたいは夢華の側にいる。みんなだ。それを,忘れないでくれよ。」
秋美がそう言うと夢華は言葉にならない想いを伝えるかのようにうなずいた。
空は暗くなっている。
「ゆめかぁぁぁ!!」
声が聞こえてきた。
夢華のお母さんの声だ。
「ほら,探してるぜ。行けよ。」
夢華はゆっくりと秋美の手を離すと,獣道へ向かって歩いていった・・・・。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる