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~信じる時,人は優しい姿になれる~
「夢華・・・・。」
獣道を戻っている3人を見ながら,秋美がつぶやいた。
「夢華は,まだ私たちのことを覚えていてくれている。そして,私たちの気持ちも伝わっているね・・・・。」
春美が言った。
種子蕾隊のメンバーは,ずっと守我達の会話の様子を見つめていた。
夢華も優姿も,妖精の姿は見えなくなっていた。
しかし感じていた。
自然の中で,妖精たちが居ることを。
「やっぱりあたい,夢華が好きだ。優姿が好きだ。人間が,大好きだ。」
秋美の言葉に,みんなが頷いた。
「まだどうなるかは分からない。けれども,悪い道だけが延びているのではないことがはっきりしたな。」
有水が全員を見渡した。
「大丈夫。あたいは夢華のことを信じてる。あいつの純粋な気持ちが,優しい心が,守我の心も溶かすことを。なっ,冬美!」
秋美が冬美の手を取りながら言った。
「もちろん。・・・・優姿・・・。あんなに立派に成長したんだよね。私たちは,例え姿は見えなくても・・・例え生きる世界が違っても・・・ちゃんと,分かり合えているんだよね。」
冬美の肩を,草多がそっと抱いた。
「そういえば,優姿も昔は人間を滅ぼしたいなんて言ってたもんな。」
草多が,久しぶりに優しく微笑んだ。
「そうそう。色んなものを抱えて,苦しんで,それで色んなことが起きて・・・。でも,人が人を心から想う気持ちで,こんなにも変わるんだね。」
夏美が笑いながら言った。
「俺達が,仲間を信じてここまできたように夢華達も進んできた。俺達は,今でも信じ合っている。だから,何も心配することなんてない。・・・ま,油断は大敵だけどな。守我が変わらなければ・・・・。」
海起が少し不安そうな顔をした。
「海起!!お前らしくないぞ!!」
秋美が,冬美の手を握っていた反対側の手で,海起の手を握った。
真っ赤になりながら,その手を握り返す海起。
そして海起の空いた手を,水湖が握った。
冬美の肩を離し,草多は冬美の手をギュッと握る。
草多の手を大樹が,反対の手を栄枝が,栄枝の手を桜が・・・・。
どんどん繋がっていき,最後には妖精・精霊達全員の手が誰かと結ばれていた。
「繋がり・・・って,こんなに簡単なんだ。こんなに単純なんだ。けれど現実には・・・・難しいんだよな。でもさっ!このことに人間達が気が付けば・・・。自分の手で,誰かの手を握ることができれば・・・・。握り返すことができたら,きっといつか,夢華が言ってたみんなが笑顔で暮らせる世界ってやつが作れる・・・。そんな気がしねぇか?・・・・・・そうだろ・・・・?・・・・・じじい・・・・・・。」
秋美が笑いながら言った。
「春が来て,夏が来て,秋が来て冬が来る。季節はめぐり,そのつど色んなことが変化する。けど,どれだけ季節が変わっても変わらないものもあるのよね。」
冬美が秋美に答えた。
妖精,精霊達は全員うなずいた。
そしてもう一度獣道に目をやった。
明日,きっと何かが変わる・・・・そう信じて。
「夢華・・・・。」
獣道を戻っている3人を見ながら,秋美がつぶやいた。
「夢華は,まだ私たちのことを覚えていてくれている。そして,私たちの気持ちも伝わっているね・・・・。」
春美が言った。
種子蕾隊のメンバーは,ずっと守我達の会話の様子を見つめていた。
夢華も優姿も,妖精の姿は見えなくなっていた。
しかし感じていた。
自然の中で,妖精たちが居ることを。
「やっぱりあたい,夢華が好きだ。優姿が好きだ。人間が,大好きだ。」
秋美の言葉に,みんなが頷いた。
「まだどうなるかは分からない。けれども,悪い道だけが延びているのではないことがはっきりしたな。」
有水が全員を見渡した。
「大丈夫。あたいは夢華のことを信じてる。あいつの純粋な気持ちが,優しい心が,守我の心も溶かすことを。なっ,冬美!」
秋美が冬美の手を取りながら言った。
「もちろん。・・・・優姿・・・。あんなに立派に成長したんだよね。私たちは,例え姿は見えなくても・・・例え生きる世界が違っても・・・ちゃんと,分かり合えているんだよね。」
冬美の肩を,草多がそっと抱いた。
「そういえば,優姿も昔は人間を滅ぼしたいなんて言ってたもんな。」
草多が,久しぶりに優しく微笑んだ。
「そうそう。色んなものを抱えて,苦しんで,それで色んなことが起きて・・・。でも,人が人を心から想う気持ちで,こんなにも変わるんだね。」
夏美が笑いながら言った。
「俺達が,仲間を信じてここまできたように夢華達も進んできた。俺達は,今でも信じ合っている。だから,何も心配することなんてない。・・・ま,油断は大敵だけどな。守我が変わらなければ・・・・。」
海起が少し不安そうな顔をした。
「海起!!お前らしくないぞ!!」
秋美が,冬美の手を握っていた反対側の手で,海起の手を握った。
真っ赤になりながら,その手を握り返す海起。
そして海起の空いた手を,水湖が握った。
冬美の肩を離し,草多は冬美の手をギュッと握る。
草多の手を大樹が,反対の手を栄枝が,栄枝の手を桜が・・・・。
どんどん繋がっていき,最後には妖精・精霊達全員の手が誰かと結ばれていた。
「繋がり・・・って,こんなに簡単なんだ。こんなに単純なんだ。けれど現実には・・・・難しいんだよな。でもさっ!このことに人間達が気が付けば・・・。自分の手で,誰かの手を握ることができれば・・・・。握り返すことができたら,きっといつか,夢華が言ってたみんなが笑顔で暮らせる世界ってやつが作れる・・・。そんな気がしねぇか?・・・・・・そうだろ・・・・?・・・・・じじい・・・・・・。」
秋美が笑いながら言った。
「春が来て,夏が来て,秋が来て冬が来る。季節はめぐり,そのつど色んなことが変化する。けど,どれだけ季節が変わっても変わらないものもあるのよね。」
冬美が秋美に答えた。
妖精,精霊達は全員うなずいた。
そしてもう一度獣道に目をやった。
明日,きっと何かが変わる・・・・そう信じて。
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