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混戦の中で
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しおりを挟む「……!! お姉ちゃん!! 逃げてぇぇぇ!!」
リィノさんが、目を見開いて、叫んだ。その先には、エミリィさんがいて、敵の、人族のロボットが、一斉に、エミリィさんに向けて、火を放った。炎に包まれ、エミリィさんが、見えなくなる。森が、燃えていた。
「お姉ちゃん!! お姉ちゃん!!」
狂ったように、泣き叫ぶ、リィノさんにも、敵の、人族のロボットが、せまる。
もう、終わりだ……。
そう思った時。リィノさんを、一台のロボットが、庇った。そのロボットに、描かれているのは、虹色のバラ。レインボーローズ。
「リィノ。フール。皆、遅くなって、すまなかった」
「マスター……!!」
フールさんが、少し安心したように、叫んだ。
レインボーローズが描かれた、無人機は、次から次に現れて、僕たちに、加勢する。
その間に、僕たち、ライキさん、フールさん、ノルさん、キラさんは、リィノさんの元へと、集まることができた。
「ライキ!! フール!! お姉ちゃんが!!」
リィノさんは、胸から血を流しながら、膝をついて、必死で訴えてくる。
「私、私……。お姉ちゃんが、炎に包まれた瞬間、思い出したの!! みんなは、お姉ちゃんは、私を、捨ててなんかいない!! あの時、お姉ちゃんは、ずっと、私の手を、離さなかった!! 私に、声をかけ続けてくれた!! みんなも、私を、一緒に、連れて行こうとしてくれた!! でも、自分で、自分の制御ができなくて、みんなの手を、振り払ったのは、私だったのに!!」
「リィノ、洗脳が……!?」
リィノさんの言葉に、フールさんが、目を見開いた。
「エミリィさんが、炎に包まれた衝撃で、洗脳がとけたのでしょう。リィノさんの、魔力は、ほぼ残っていません。破壊の衝動に駆られても、しばらくは、動けないはずです」
チィの言葉に、フールさんが、頷く。
そして、全員が、炎に包まれた、森を見た。ノルさんは、目に光をなくして、膝をついている。
「エミリィさんは、生きています。わずかですが、エミリィさんの、魔力を、感知できます。あの炎の中で、魔法を使っています。ですが、エミリィさんの魔力も、ほとんど残っていないはず。急がなくては」
チィの言葉に、全員が、チィの方を向いた。
「でも、あんな炎の中に、どうやって……」
「ロキ。あなたは、エミリィさんを、救出することを、望みますか?」
「えっ、そんなの、当たり前じゃないか!!」
僕の言葉に、チィは、頷くと、キラさんと、ノルさんを見た。
「私が、エミリィさんの元へ、そして、ここへ戻る、道を作ります。ノルさんは、エミリィさん、ノルさん、キラさん、そして龍を守る、壁を、魔法で作ってください。チャンスは一度、一瞬です。キラさんが、エミリィさんを、龍から、すくい上げてください。お二人の、龍人族と、精霊族の連携は、見させて頂いた中で、ずば抜けていましたから」
「だけど、チィちゃんは……!?」
ルカの言葉に、チィは、ルカではなく、僕の方を向いた。
「ロキ、その、スモ爺のうろこで作った、ブレスレッドを、私のコアの、懐中時計に、かけてくれますか。争いが始まって、より強く、懐中時計と、その石との共鳴を、感じるのです。魔石を媒体としている、私の機体の動きが、上がると思われます」
「わ、わかった……」
僕は、言われたとおり、チィの機体を操作して、懐中時計に、ブレスレッドをかける。
「ねぇ、チィちゃん、答えて!! あの炎の中に入って、チィちゃんのことを、包む魔力までは、作れないはずよ!!」
「ルカ。大丈夫ですよ。私はロボットです。熱さは感じませんし、機体にも、防火加工はされていますから。準備は良いですか?」
チィが、今までにないくらい、優しく、ルカに言った。そして、ノルさんと、キラさんを見る。二人は、力強く、頷いた。
「じゃあ、行きます。……ルカ。ロキのことを、頼みますよ」
そう言って、チィの機体が、飛び上がった。その後ろに、ノルさんと、キラさんを乗せた龍が、続く。
僕は、一気に、不安になった。だって、産まれてから、チィが、僕の側を離れることなんて、一度もなかったから。
だけれど、今は、チィを、信じるしかないんだ。
「こっちは、リィノが狙われている。気を抜くなよ」
ライキさんの言葉で、僕たちは、また、戦場に戻った。
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