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混戦の中で
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ガキンと、鈍い音がした。いつまで経っても、痛みを感じない。おそるおそる、目を開けた僕は、状況が分からなくて、固まってしまった。
見知らぬ、人族であろう人が、ロボットに乗って、僕とルカを、庇っていたのだ。そのまま、その人は、ロボットで、敵側の、人族のロボットを、押し返す。
「今です、高く飛んでください」
「わかった! スタウロ!!」
チィの言葉に、僕は、今度こそ迷わず、スタウロに呼びかけた。
それと同時に、沢山の龍と、それに乗った、ヴィーヴル王国の、ギルドメンバーが、後方に見える。キラさんたちが、来てくれたんだ。
その場は、すぐに混戦となった。僕は、エミリィさんたちのところへ、行こうと思ったけれど、僕たちも、敵側の、人族のロボットに、狙われ続けていた。
だけれど、僕たちの前に、また、さっき助けてくれた、人族の人が乗った、ロボットが現れて、守ってくれる。
「誰なんだろう。レインボーローズの人かな?」
「スティブ!? どういうことだ!?」
僕が呟いたのと、敵側の、人族のロボットから、大きな声が響いたのは、同時だった。
その名前を聞いた途端、僕も、ルカも、反射的に緊張する。
だって、その名前は……。
「確認しました。間違いありません。先ほどから、私たちを守っている、ロボットの操縦者は、ギア王国第一王子、スティブ様。ルカの、父親です」
チィの言葉に、僕もルカも、驚いて、何も言えない。だって、スティブ様は、幽閉されているはず……。
「お前、何故ここに!! どうやってあそこを出た!!」
「どうやって? そんなことは、どうでも良いことです。父上。私は、私の愛する娘が、あなたの手によって、危険におかされていることを知らされ、ここに来たまでです。私の愛する妻、ネリーの花は、バーベナ。花言葉は、家族の団らん。それが、永遠に叶わないことであっても、私は、私の娘に会いたかった。守りたかった。ただ、それだけです」
「貴様……!!」
スティブ様は、チラリと、僕とルカを見て、微笑んだ。
ルカは、少し震えていて、でも、目の前で戦う、スティブ様を、見つめている。
「今のうちです。エミリィさんたちの元へ、行きましょう」
チィの言葉に、僕は頷いて、スタウロに指示を出す。いつでも、ルカが、魔法の銃を撃てるように、一緒に支えながら。
エミリィさんたちの場所には、キラさんが到着していて、周りの、敵のロボットを、蹴散らしていたけれど、敵側の、人族のロボットたちは、圧倒的な数で、押している。
僕たちは、すぐに、ノルさんと、フールさんの、魔力供給をして、エミリィさんたちを見た。二人は、あれから、微動だにせず、お互いを見つめている。二人の胸からは、血が流れ続けていた。このままでは、二人とも、死んでしまう。
「諦めろ。人族の無人機は、この日の為に、量産し続けたのだ。力だけならば、長の力も越える、エミリィと、リィノさえいなければ、お前たちに、勝ち目はない」
冷静さを、取り戻したかのような声が、ロボットたちから、響いた。これが、現国王の声なのだろう。
「エミリィ!!」
ノルさんの、叫びと同時に、敵の、人族のロボットが、リィノさんと、見つめ合ったままの、エミリィさんを、攻撃して、吹き飛ばした。
「お姉ちゃん!?」
リィノさんが、驚いて叫ぶ。
「どうして!? お姉ちゃんには、手を出さないって、言ったじゃない!?」
そう叫ぶ、リィノさんにも、敵のロボットが、攻撃する。
リィノさんも、吹き飛ばされて、手と膝をついた。その目が、必死に、エミリィさんを探している。
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