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魔法と、年老いた龍との出会い
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しおりを挟む「精霊族は、自然の甘みを好むからな」
ライキさんが、隣から言うと、ルカは、満面の笑みになって頷く。
甘みの違い……。
僕は、そのパンを手に取ると、ちぎって、口に入れてみた。
「わぁ……本当に、美味しい……!!」
僕は、パンを食べる手が、止まらなくなった。それに、パンにつける為に、ノルさんが置いてくれたジャムも、少し酸味があって、パンに、とても合っている。
「ロキ、そんなに一生懸命、ご飯を食べているの、はじめてね」
「えっ?」
ルカの言葉に、僕は驚いて、手を止めて、ルカを見た。ルカは、とても嬉しそうに、笑っている。
「その通りです。ロキは、量を食べることを、好みませんから、量が少なくても、栄養価の高いものを中心として、献立が考えられていました。ですが、ロキは、甘いものを好みます。ギア王国で、甘いものは、おやつの時間に、少量出されるものだけですから、このように、ロキが喜んで食べるところを、見たことがなかったのでしょう」
チィの言葉に、僕は、ギア王国での朝食を、思い出していた。
確かに、こんな風に、夢中で食べているのは、はじめてかもしれない。食べて、嬉しいとか、楽しいとか、そんな気持ちも、感じていた記憶はない。
勿論、栄養価と、好みに合わせて、バランス良く作られていたから、深く考えたことがなかっただけかもしれないけれど……。
「へぇ、ロキくんは、甘いものが好きなんだね。だったら、この肉も、少し食べてごらんよ。朝食用に、薄く切ってあるから。この肉は、甘い果物を主食とする動物の肉で、甘みのある肉なんだ。あ、ルカちゃんは、こっちの飲み物をどうぞ。そのパンに入っている、蜜が入ったジュースだから、好きだと思うな」
ノルさんが、僕たちを見ながら、料理を出してくれる。
僕は、お肉を口に入れてみた。とても柔らかくて、食べやすい。甘いかと言われたら、よく分からなかったけれど、とても美味しい。
「このジュースも、とても美味しいです! なんだか、凄く不思議な感覚です。今までずっと、量を調整された食事をとっていたから、こんなに、お腹に、ものが沢山入っている感覚が、はじめてで」
ルカに言われて、僕は、自分のお腹に、手を当てた。
凄く心地が良くて、ルカの言うように、不思議な感覚だ。
「満腹感ですね。ギア王国での食事も、満腹感が、しっかりと得られるように、調整されているはずです」
チィが言ったけれど、僕は、食事の後に、こんなに気持ちの良い感覚になった記憶がなくて、あまり、チィの言葉が、しっくりとこなかった。
ルカも、首をかしげている。
「ま、なんとなく、君たちの好みが分かって、良かったよ」
ノルさんが、葉巻を吸いながら、笑ってくれた。
「さてと、そろそろ行くか?」
ライキさんの言葉に、僕とルカは頷くと、同時に椅子から降りて、立ち上がる。
「じゃ、エミリィ、また昼に」
ノルさんの言葉に、エミリィさんが、しぶしぶといった感じで、立ち上がった。
「森までは、この前乗った、龍で行くから」
ライキさんについて、僕たちは、酒場を後にした。
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