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明かされていくもの
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しおりを挟む次の日の朝、俺とリルはお城に呼ばれて、二人で緊張しながら、お城の一室で待っていた。
従者さんに連れられて、初めて行く部屋に行くと、そこには、エミリィ様と、エリィ姫様、ラネンさん、それに、濃い紫色の長い髪の毛をした、不思議な雰囲気の女の人が立っていた。
「お二人とも、突然呼び出して、驚かせてごめんなさいね。昨日の舞踏会の一件で、これから私たちは忙しくなります。そこで、私たちの師匠、アーサ師匠に、しばらくあなた達を預かってもらって、保護してもらうことにしたの」
エリィ姫様が、優しく笑って言った。
俺たちは、何も言わずに、黙って頷いた。
心なしか、エミリィ様の元気がないような気がして、俺は心配になった。
……当たり前か、だって、これから戦争になるかもしれないのだから……。
そう思ったのだけれど……。
「全く。この馬鹿がやらかしたせいで、せっかく隠居していたのに、子のお守りか」
アーサさんが、ギロリとエミリィ様を見た。エミリィ様が、少しむくれて、顔を背ける。
え……?アーサさんは、今、エミリィ様を……破壊神様のことを馬鹿と言ったのか……?それに、エミリィ様も、アーサさんの前では大人しい。元気がないように見えたのは、アーサさんがいるからだったのか……?
「師匠は、主に、私とユークに力の使い方を教えてくれた人だ。……これからこの国もどうなるか分からない。師匠から、できる限りのことを学んでおけ」
エミリィ様が、俺たちに向けて言った。
アーサさんが、ため息をつく。
「じゃあ、必要な荷物は送りますから、このままアーサ師匠と一緒に行って下さい。時々様子を見に行きますし、必要なものや、行きたいところがあれば、アーサ師匠に遠慮なく言って下さいね。エミリィに人一倍厳しいだけで、とても優しい方ですから」
エリィ姫様の言葉に、エミリィ様が、ギロリとエリィ姫様を見た。
「なにかあったら、遠慮せずに連絡して下さいね」
エリィ姫様の優しい言葉に、俺たちは、また黙って頷いた。
「じゃあ、そろそろ行くぞ」
アーサさんが言った。
「師匠……私たちの弟子を、よろしくお願いします」
俺は、驚く光景を見た。
あのエミリィ様が、アーサさんに頭を下げているのだ。それほど、アーサさんは怖いのだろうか。
「じゃあ、行くぞ」
「は、はい!!」
アーサさんに言われて、俺たちはとっさに返事をした。
「転送」
アーサさんの声と共に、景色が変わった。
そこは、のどかな丘の上だった。
一件だけぽつんと家が建っていて、周りには何もない。ここは、どの辺りになるんだろう。
俺とリルは、無意識に手を握り合っていた。
「さぁ、ついてこい」
アーサさんに言われるがままに、家に入った俺たちは驚いた。
外から見るよりも、家の中はかなり広い。何か魔法がかかっているのだろうか。
「ここが、お前達の部屋だ。リビングや、書物庫は好きに使って良い」
「はい、ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます」
リルに続いて、俺は、慌てて言った。
「じゃあ、早速、ルトは私と戦闘の修行をするか。リル、お前は、そこにあるリストをこなしていけ。エリィから、お前は自分で修行を進められると聞いている。後でチェックを入れるからな」
俺たちは、黙って頷いた。
そして、俺は、アーサさんに連れられて外に出た。
「まずは、お前の実力を直接確かめさせてもらうぞ。武器を出して、かかってこい」
アーサさんの言葉に、俺は、短剣を取り出し、飛行魔法を準備した。
アーサさんも、生誕指輪を構えて、とても長い、杖の武器魔法道具を出した。
アーサさんの石は、チャロアイト。石言葉は、無条件の愛・精神の安定。希少価値が高い石で、潜在意識に眠るネガティブなものを克服し、浄化すると共に精神を癒やし、安定させると言われている。
……この石と出会ったとき、それは、心の深くにくすぶっている負の感情をリセットする時が来たということだと聞いたこともある。
俺が、今、ここでアーサさんに預けられたことには何か意味があるのだろうか……。
「何をボサッとしている。さっさとしないと、こちらからいくぞ」
アーサさんの言葉に我に返った俺は、短剣を構えた。
そしてそのまま、修行が始まった。
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