きらめきの星の奇跡

Emi 松原

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きらめきの双子神・教典第三章第一項~双子神の足跡~

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 この世界は、双子の神、ノムとテコベによって創られた。
 ノムとテコベは、一つの星から誕生した。
 星の輝く光からは、キラキラ光る金髪のノムが、星の影からは、静かに光る銀髪のテコベが。輝く光から産まれたノムは創造神。星の影から産まれたテコベは破壊神として、二人でこの世界を創ることにした。
 まずは、星の影から産まれた破壊神のテコベが、この地に生息していた悪しき魔物達を一掃した。
 次に、輝く光から産まれた創造神のノムが、綺麗な水、緑を創った。
 そして二人は、力を合わせて、この世界を魔力で満たした。魔力を形にするために、石を使った。二人が特別な魔力を込めて創った石こそが、フラワーストーンである。
 二人は、フラワーストーンから指輪を創った。
 創造神のノムはダイヤモンドの星の指輪を。破壊神のテコベはブラックダイヤモンドの星の指輪を。お互いの光と影を表すように、肌身離さず指輪をつけていた。
 そこから二人は、この世界の成長を見守り、観察し、時々手助けをすることにした。きっと綺麗で素敵な世界になると信じて。
 だが、光があれば影がある。
 この世界は、綺麗なものだけでは満たされなかった。
 特に、ヒト型という生物が現れてからは。
 ヒト型達は、まるでノムとテコベを表しているかのようだった。光があると思えば、影がある。
 そんなヒト型が、どういう道を歩むのか、二人は特に気にしていた。
 二人は不安だったのだ。光と影のバランスが崩れてしまった時、このヒト型はどうなってしまうのだろうかと。

 ヒト型は、最初はどの種族よりも考える力があり、ノムとテコベを崇め、その教えを信じて、仲良く平和に生きていた。
 光と影のバランスも保たれていて、ノムとテコベは少し安心した。
 だがその安心もつかの間だった。
 ヒト型の影の部分が、徐々に徐々に大きくなっていたのだ。
 そしてついに、ヒト型達は争いを始めた。
 争いはどんどん大きくなり、関係のないヒト型も、他の生き物も血に染まった。
 破壊神のテコベは、ヒト型を消してしまおうと、いっそ、この世界を消してしまおうと言った。
 こんな世界、見ていてもしょうがないと。
 創造神のノムは、この世界に生きる者はやり直せると言った。なんど倒れても、壊れても、一からやり直すことができると。
 二人の主張は、平行線が続いていた。
 そしてその二人の神の意見を、ヒト型達が黙って聞いているだけのはずがなかった。

 一人のヒト型が言った。破壊神のテコベは脅威であると。破壊神は、膨大な魔力を壊すことにしか使うことができない。よって、ヒト型に、生き物にとって必要ないと。
 別のヒト型も言った。その通りだと。神は、創造神のノム、一人だけで良いと。
 そして、それに賛同したヒト型達は、破壊神のテコベを倒す為に魔力の武器を持ち、破壊神のテコベを一斉に襲った。
 破壊神のテコベは、そのヒト型達を一瞬で消し去った。
 そして、創造神のノムに告げた。私はもう、ヒト型にはウンザリだと。この世界を創った我々には責任がある。だから責任を持って消すと。
 創造神のノムは、去って行く破壊神のテコベを止めることができなかった。

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