Thread of fate

さくら

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2 捜索

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その日、朝から家の方が騒がしかった。
外に出られない僕には、そんな感じがしたとしか言いようがないが、確かにザワザワしていた。

たくさんの人の声が聞こえる。
僕は少しでも様子が分からないか、物置小屋の扉に身体をピッタリくっつけて耳を澄ませていた。

「他に家族は?」
「……家中を捜して下さい。通報者の話では……がいるはずです」
「自宅にはいたか?……いないか。では、庭も捜せ」

何だろう?何かを捜してるのかな?
もしかしたら、ここにも来るかも知れない。……どうしよう。もし、見つかった事が両親に知られたら何をされるか分からない……。

昔、双子が産まれる前に一度だけ、鍵の開いていた地下室を抜け出して庭に出たことがあった。その時は誰にも会わず、見つからなかったのに、外に出たことを知った両親から、ひどい暴言や暴力を受けた。身体中のいたるところに内出血ができ、顔が腫れるまで殴られた。「産むんじゃなかった」「寄生虫」など、心ない言葉は僕の心にまで打撃をあたえ、僕は泣きながら謝り、なんとか許してもらった。
誰かに会わなくも、あんなに痛い目にあったのに、もし見つかった事が知られたら……。僕は恐くなって少しでも見つかる確率が減るように、物陰に隠れた。


ガチャガチャ……ガラッ。
ついに、物置小屋の扉が開けられてしまった。
「ここ、鍵が掛かっていましたよ?誰もいないのでは?」
「そうですね。ですが、一応見て回りましょう」
そうして、二人は物置小屋の中を歩き始めた。
暫くは、箱を開けたり、荷物を動かす音がした。
「あれは……茶碗ですか?」
しまった!!
茶碗を床に置いたままにしていた。まさか、朝に人が来るとは思わなかったから、今日の朝・昼用に残しておいた、夕食のご飯三分の二が入った茶碗を床に置いたままだった。
「ご飯?……誰かいるのか?」
「冷たいけど誰かが食べていた証拠ですね」
と今までよりも熱心に捜し始めた。


物置小屋はたいして広くない、見つかるのは時間の問題だと思っていた時、ついに僕は見つかってしまった。
「あ、いました!」
床に小さく蹲っていた僕は見つけられてしまった。
「大丈夫か?」
掛けられた声にガクガク震えながら俯いていると、新たに近付いてきた男が、何度も「安心して下さい。もう大丈夫ですよ」と優しく話してくれた。
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