2 / 6
2 捜索
しおりを挟む
その日、朝から家の方が騒がしかった。
外に出られない僕には、そんな感じがしたとしか言いようがないが、確かにザワザワしていた。
たくさんの人の声が聞こえる。
僕は少しでも様子が分からないか、物置小屋の扉に身体をピッタリくっつけて耳を澄ませていた。
「他に家族は?」
「……家中を捜して下さい。通報者の話では……がいるはずです」
「自宅にはいたか?……いないか。では、庭も捜せ」
何だろう?何かを捜してるのかな?
もしかしたら、ここにも来るかも知れない。……どうしよう。もし、見つかった事が両親に知られたら何をされるか分からない……。
昔、双子が産まれる前に一度だけ、鍵の開いていた地下室を抜け出して庭に出たことがあった。その時は誰にも会わず、見つからなかったのに、外に出たことを知った両親から、ひどい暴言や暴力を受けた。身体中のいたるところに内出血ができ、顔が腫れるまで殴られた。「産むんじゃなかった」「寄生虫」など、心ない言葉は僕の心にまで打撃をあたえ、僕は泣きながら謝り、なんとか許してもらった。
誰かに会わなくも、あんなに痛い目にあったのに、もし見つかった事が知られたら……。僕は恐くなって少しでも見つかる確率が減るように、物陰に隠れた。
ガチャガチャ……ガラッ。
ついに、物置小屋の扉が開けられてしまった。
「ここ、鍵が掛かっていましたよ?誰もいないのでは?」
「そうですね。ですが、一応見て回りましょう」
そうして、二人は物置小屋の中を歩き始めた。
暫くは、箱を開けたり、荷物を動かす音がした。
「あれは……茶碗ですか?」
しまった!!
茶碗を床に置いたままにしていた。まさか、朝に人が来るとは思わなかったから、今日の朝・昼用に残しておいた、夕食のご飯三分の二が入った茶碗を床に置いたままだった。
「ご飯?……誰かいるのか?」
「冷たいけど誰かが食べていた証拠ですね」
と今までよりも熱心に捜し始めた。
物置小屋はたいして広くない、見つかるのは時間の問題だと思っていた時、ついに僕は見つかってしまった。
「あ、いました!」
床に小さく蹲っていた僕は見つけられてしまった。
「大丈夫か?」
掛けられた声にガクガク震えながら俯いていると、新たに近付いてきた男が、何度も「安心して下さい。もう大丈夫ですよ」と優しく話してくれた。
外に出られない僕には、そんな感じがしたとしか言いようがないが、確かにザワザワしていた。
たくさんの人の声が聞こえる。
僕は少しでも様子が分からないか、物置小屋の扉に身体をピッタリくっつけて耳を澄ませていた。
「他に家族は?」
「……家中を捜して下さい。通報者の話では……がいるはずです」
「自宅にはいたか?……いないか。では、庭も捜せ」
何だろう?何かを捜してるのかな?
もしかしたら、ここにも来るかも知れない。……どうしよう。もし、見つかった事が両親に知られたら何をされるか分からない……。
昔、双子が産まれる前に一度だけ、鍵の開いていた地下室を抜け出して庭に出たことがあった。その時は誰にも会わず、見つからなかったのに、外に出たことを知った両親から、ひどい暴言や暴力を受けた。身体中のいたるところに内出血ができ、顔が腫れるまで殴られた。「産むんじゃなかった」「寄生虫」など、心ない言葉は僕の心にまで打撃をあたえ、僕は泣きながら謝り、なんとか許してもらった。
誰かに会わなくも、あんなに痛い目にあったのに、もし見つかった事が知られたら……。僕は恐くなって少しでも見つかる確率が減るように、物陰に隠れた。
ガチャガチャ……ガラッ。
ついに、物置小屋の扉が開けられてしまった。
「ここ、鍵が掛かっていましたよ?誰もいないのでは?」
「そうですね。ですが、一応見て回りましょう」
そうして、二人は物置小屋の中を歩き始めた。
暫くは、箱を開けたり、荷物を動かす音がした。
「あれは……茶碗ですか?」
しまった!!
茶碗を床に置いたままにしていた。まさか、朝に人が来るとは思わなかったから、今日の朝・昼用に残しておいた、夕食のご飯三分の二が入った茶碗を床に置いたままだった。
「ご飯?……誰かいるのか?」
「冷たいけど誰かが食べていた証拠ですね」
と今までよりも熱心に捜し始めた。
物置小屋はたいして広くない、見つかるのは時間の問題だと思っていた時、ついに僕は見つかってしまった。
「あ、いました!」
床に小さく蹲っていた僕は見つけられてしまった。
「大丈夫か?」
掛けられた声にガクガク震えながら俯いていると、新たに近付いてきた男が、何度も「安心して下さい。もう大丈夫ですよ」と優しく話してくれた。
1
お気に入りに追加
127
あなたにおすすめの小説
孤独を癒して
星屑
BL
運命の番として出会った2人。
「運命」という言葉がピッタリの出会い方をした、
デロデロに甘やかしたいアルファと、守られるだけじゃないオメガの話。
*不定期更新。
*感想などいただけると励みになります。
*完結は絶対させます!
黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~
ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。
転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。
朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。
生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。
どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。
忙しい大人の甘いオフィスラブ。
フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
上手に啼いて
紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。
■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる