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女子大生4人の切腹の章

21 尋問される

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 次の日曜。活動日なんですが・・・、定刻になってもあの2人がこない。
 あ~あ、やっぱりダメかと思ったら、15分遅刻で2人が来ました。
 明るい感じでは・・・当然ありません。先週、親友の2人が目の前で切腹して死んでしまったんですからね。
 そして私は・・・、その親友2人の首をザックリと断ち斬った女。言うなれば、親友の仇ですかね?!
 もしかして、ブスっと刺されちゃったりする?!
 ちょっと、怖いよ。

「会長。伺いたいことが、幾つかあります」

 口を開いたのは菊美さん。2人揃って私の前に直立し、真剣な顔です。それに、菊美さんまで“会長”だなんて。“有香ちゃん”って呼んでいたでしょうに。
 えっと、何でしょうか。ホントに怖いんですけどお~!
 伺いたいことって、何ですかあ??

「聖子と和美。あれ、妊娠してましたよね。会長はそのこと、切腹前に知ってましたよね」

 う、う~ん、これ、言っちゃいけない2人の秘密に関わる……。いやあ、でも、あれじゃあ、見てれば妊娠は当然分かること。仕方ないよね。

「し、知ってました…」

「そうですか。2人から詳しい事情を聴いていたんですね」

「は、はい……。でも、その詳細は、秘密の約束なので、言えません」

「そう。親友の私たちにも言えない秘密…。それを会長には話したのね。ナンなのよ……」

「いや、2人を責めないで上げてください。親友だからこそ、知られたくないってこともあるんじゃないかと思うんですよね…」

「何それ…。酷いよ。親友だからこそ、全部話して欲しかったよ……」

 う、う~ん、菊美さんの気持ちも分からなくない。言っちゃっても良いかな…。い、いあや、それは約束違反だね……。

「まあ、これは済んでしまったこと。もう2人は、この世にいません。ですから、良いです」

 ああ、良かった、じゃあ、尋問は終了ということで…。

「会長!」

「は、はい!」

「会長は、切腹するんですよね」

「は、はい・・・。出来ることならすぐにでも……したいんですけどね。この同好会の会長として、会を存続させないといけないモノですから…。会が安定するまでは、切腹を禁じられちゃってるんです」

「なるほど……」

「そういうことなんで、この辺りでお許し頂ければ・・・」

「いや、まだです!!」

「は、はい!」

 まだ尋問続くんですかあ~?!
 もう許してくださいよ~。

「会を存続させるには後を継ぐ会員が居れば良いですよね。なのに、会長は私たちを切腹させたがっているような気がするんですが…。後から入った会員が先に切腹しちゃったら、会長は何時までも切腹できないじゃないですか!」

 うう、鋭い……。その通りなんですよね・・・。

「つまり、事情があって複数人を切腹させないといけない。そういう指令が出ているってことですよね」

 え、ええっと~。ど、どうしよう。菊美さんってば、鋭すぎる。

「それって、この前お話にあった、切腹後の遺体が供物になるってことに関係してますよね」

 や、ヤバいよ。どうしよう…。詳しい事情は勝手に話せない……。

「一昨日、富士山周辺で小さい地震が多発してるってニュースが出てました。こっちでも何度か揺れがありました。これ、もしかして・・・」

 え、え~っと・・・。

 そう言えばそんなニュースありましたね。特に気にしてなかったけどね。こっちで小さい地震があったのも確かです。

「富士山の噴火か、首都圏の大地震が近いってことですよね、これ! それを鎮める為に、供物が必要になっている。そういう事じゃないんですか? それで、望まぬ妊娠をしてしまった聖子と和美が切腹を承諾して、供物になった。でも、まだ供物が足りない。会長だけでは足りないから、その他の供物を探している……。そういうことですよね!」

 え、ええ~っと、そんな話は聞いてないなあ。単に新教主の就任儀式に複数の供物が必要ってことだったけど・・・。
 まあ、シッカリ儀式を続けないと、富士山の噴火や地震も教団が抑えてるってことだからね。危なくなるよね。
 今回の小さい地震も、教主の正式就任が終わってないコトが関係しているかも・・・。放っておけば、大地震なんかにもなりかねない・・・のかな??
 間違っては・・・いないよね・・・。

 私は思わず、頷いてしまいました。

「なるほど。分かりました。そういうことなら、私たちも協力させてもらいます。2人で話し合ったのです。このままもし、富士山が大噴火したら…大変ことになってしまいます。もし、首都直下で巨大地震があったりしたら…私たちもただでは済みません。死ぬかもしれないです。それならば・・・。私たちの命でそれが防げるのならば・・・。ここで命を捧げる価値、十分あるよねって・・・。聖子も和美もしたんだしね・・・」

「へえっ?? じゃ、じゃあ、お2人も・・・」

「良いですよ。切腹しても。私を供物にしてください」
「私も、させてもらいます」

 あらま・・・。良いのかな・・・。
 良いよね・・・。完全な勘違いってことでもないですよね、これ。
 2人とも自分でしたいって言っているんですからね。
 OKですよね~、聖子さん和美さん!

「分かりました。お2人の切腹申請、受理します」

「あ、でも会長・・・。あの、私は・・・。あんな風に自分で立派に切る自身が全く無いんです。供物って、必ず自分で切腹しなきゃいけないんですかね。本人が命を捧げることに承諾していれば、他人に切ってもらうってのもアリじゃあ・・・。だって、あの女子高生の一人は切ってもらってましたし・・・」

 …と、菊美さん。

「あ、ああ、それはOKですよ。必ずしも自分で切らなくても・・・」

 緒方先生も、そう言っていました。そして、前例もありますしね。

「それなら次の会で、私を解剖してもらえませんか。私は由紀と会長が切腹するときの参考資料にしてもらいたいです。私の体を使って、内臓の出し方なんかを研究してください。あの、成嶋夏実さんが前会長の為にしたように、私は2人にこの肉体を捧げたいです」

「私は、その翌週に切腹します。菊美の分も、私が立派で最高な切腹をして見せます。ですので、菊美の申し出、どうか、許可をお願いします」

 これって、私にとっても願っても無いステキな条件。
 あのスパイさんの解剖の時、私は見てるだけでした。
 自分の切腹の参考に、実際の内臓を触り、その感触やら状態やらを確認できる・・・。なんてスゴイことでしょう!!
 これは当然、承諾でしょう!!

「許可します。では、次週は菊美さんを解剖させてもらいます。私がメインで執刀しますが、由紀さんも手伝ってください。で、その次の週は由紀さんの切腹です。今ここに正式に受理し、事務局に申請します」

 ・・・でもですね。切腹よりも生体解剖される方が、時間もかかって辛いような気もしますがね。大丈夫なんですかね・・・。
 後に残る遺体は供物にされるんだから、麻酔薬は使えないんですよ・・・。
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