上 下
21 / 76
女子大生4人の切腹の章

21 尋問される

しおりを挟む
 次の日曜。活動日なんですが・・・、定刻になってもあの2人がこない。
 あ~あ、やっぱりダメかと思ったら、15分遅刻で2人が来ました。
 明るい感じでは・・・当然ありません。先週、親友の2人が目の前で切腹して死んでしまったんですからね。
 そして私は・・・、その親友2人の首をザックリと断ち斬った女。言うなれば、親友の仇ですかね?!
 もしかして、ブスっと刺されちゃったりする?!
 ちょっと、怖いよ。

「会長。伺いたいことが、幾つかあります」

 口を開いたのは菊美さん。2人揃って私の前に直立し、真剣な顔です。それに、菊美さんまで“会長”だなんて。“有香ちゃん”って呼んでいたでしょうに。
 えっと、何でしょうか。ホントに怖いんですけどお~!
 伺いたいことって、何ですかあ??

「聖子と和美。あれ、妊娠してましたよね。会長はそのこと、切腹前に知ってましたよね」

 う、う~ん、これ、言っちゃいけない2人の秘密に関わる……。いやあ、でも、あれじゃあ、見てれば妊娠は当然分かること。仕方ないよね。

「し、知ってました…」

「そうですか。2人から詳しい事情を聴いていたんですね」

「は、はい……。でも、その詳細は、秘密の約束なので、言えません」

「そう。親友の私たちにも言えない秘密…。それを会長には話したのね。ナンなのよ……」

「いや、2人を責めないで上げてください。親友だからこそ、知られたくないってこともあるんじゃないかと思うんですよね…」

「何それ…。酷いよ。親友だからこそ、全部話して欲しかったよ……」

 う、う~ん、菊美さんの気持ちも分からなくない。言っちゃっても良いかな…。い、いあや、それは約束違反だね……。

「まあ、これは済んでしまったこと。もう2人は、この世にいません。ですから、良いです」

 ああ、良かった、じゃあ、尋問は終了ということで…。

「会長!」

「は、はい!」

「会長は、切腹するんですよね」

「は、はい・・・。出来ることならすぐにでも……したいんですけどね。この同好会の会長として、会を存続させないといけないモノですから…。会が安定するまでは、切腹を禁じられちゃってるんです」

「なるほど……」

「そういうことなんで、この辺りでお許し頂ければ・・・」

「いや、まだです!!」

「は、はい!」

 まだ尋問続くんですかあ~?!
 もう許してくださいよ~。

「会を存続させるには後を継ぐ会員が居れば良いですよね。なのに、会長は私たちを切腹させたがっているような気がするんですが…。後から入った会員が先に切腹しちゃったら、会長は何時まで経っても切腹できないじゃないですか!」

 うう、鋭い……。その通りなんですよね・・・。

「つまり、事情があって複数人を切腹させないといけない。そういう指令が出ているってことですよね」

 え、ええっと~。ど、どうしよう。菊美さんってば、鋭すぎる。

「それって、この前お話にあった、切腹後の遺体が供物になるってことに関係してますよね」

 や、ヤバいよ。どうしよう…。詳しい事情は勝手に話せない……。

「一昨日、富士山周辺で小さい地震が多発してるってニュースが出てました。こっちでも何度か揺れがありました。これ、もしかして・・・」

 え、え~っと・・・。

 そう言えばそんなニュースありましたね。特に気にしてなかったけどね。こっちで小さい地震があったのも確かです。

「富士山の噴火か、大地震が近いってことですよね、これ! それを鎮める為に、急ぎ供物が必要になっている。そういう事じゃないんですか? それで、望まぬ妊娠をしてしまった聖子と和美が切腹を承諾して、供物になった。でも、まだ供物が足りない。会長だけでは足りないから、その他の供物を探している……。そういうことですよね!」

 え、ええ~っと、そんな話は聞いてないなあ。単に新教主の就任儀式に複数の供物が必要ってことだったけど・・・。
 まあ、シッカリ儀式を続けないと、富士山の噴火や地震も教団が抑えてるってことだからね。危なくなるよね。
 今回の小さい地震も、教主の正式就任が終わってないコトが関係しているかも・・・? 放っておけば、大地震なんかにもなりかねない・・・のかな??
 間違っては・・・いないよね・・・。

 私は思わず、頷いてしまいました。

「なるほど。分かりました。そういうことなら、私たちも協力させてもらいます。2人で話し合ったのです。このままもし、富士山が大噴火したら…大変ことになってしまいます。もし、この直下で巨大地震があったりしたら…私たちもただでは済みません。死ぬかもしれないです。それならば・・・。私たちの命でそれが防げるのならば・・・。ここで命を捧げる価値、十分あるよねって・・・。聖子も和美もしたんだしね・・・」

「へえっ?? じゃ、じゃあ、お2人も・・・」

「良いですよ。切腹しても。私を供物にしてください」
「私も、させてもらいます」

 あらま・・・。良いのかな・・・。
 良いよね・・・。完全な勘違いってことでもないですよね、これ。
 2人とも自分でしたいって言っているんですからね。
 OKですよね~、聖子さん和美さん!

「分かりました。お2人の切腹申請、受理します」

「あ、でも会長・・・。あの、私は・・・。あんな風に自分で立派に切る自身が全く無いんです。供物って、必ず自分で切腹しなきゃいけないんですかね。本人が命を捧げることに承諾していれば、他人に切ってもらうってのもアリじゃあ・・・。だって、あの女子高生の一人は切ってもらってましたし・・・」

 …と、菊美さん。

「あ、ああ、それはOKですよ。必ずしも自分で切らなくても・・・」

 緒方先生も、そう言っていました。そして、前例もありますしね。

「それなら次の会で、私を解剖してもらえませんか。私は由紀と会長が切腹するときの参考資料にしてもらいたいです。私の体を使って、内臓の出し方なんかを研究してください。あの、成嶋夏実さんが前会長の為にしたように、私は2人にこの肉体を捧げたいです」

「私は、その翌週に切腹します。菊美の分も、私が立派で最高な切腹をして見せます。ですので、菊美の申し出、どうか、許可をお願いします」

 これって、私にとっても願っても無いステキな条件。
 あのスパイさんの解剖の時、私は見てるだけでした。
 自分の切腹の参考に、実際の内臓を触り、その感触やら状態やらを確認できる・・・。なんてスゴイことでしょう!!
 これは当然、承諾でしょう!!

「許可します。では、次週は菊美さんを解剖させてもらいます。私がメインで執刀しますが、由紀さんも手伝ってください。で、その次の週は由紀さんの切腹です。今ここに正式に受理し、事務局に申請します」

 ・・・でもですね。切腹よりも生体解剖される方が、時間もかかって辛いような気もしますがね。大丈夫なんですかね・・・。
 後に残る遺体は供物にされるんだから、麻酔薬は使えないんですよ・・・。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...