悪徳令嬢は転生した乙女ゲームの世界でもやっていけます

0話 乙女ゲームに未練があります。

「お、王女様！飛び降り自殺なんておやめください！」


私こと双葉明日香は乙女ゲームの廃人である。
断崖絶壁。真下は、岩が一面に広がっていて、落ちたら即死してしまう高さだ。


「最近、アニメやゲームで死んだら異世界転生できると聞いたわ。だから私も死んで乙女ゲームの世界に転生してやるわ！」


廃人は現実とゲームの世界の区別がつかない。


「そんなのは王女様らしくありません。死んでも天国か地獄に行くだけで何もないです！もう一度考えをお改めくださいませんか？どうか目を覚ましてください！」


白髪で白髭が伸びている爺は私を止めようと説得に試みていた。だが、私の意志は曲げない。


「無理よ。私は一度決めたことは貫くの。それはベスト爺もよくわかってるでしょ！だから私はもう迷わないわよ」


金髪ロングで誰もが崇め、羨まれるほどの顔立ち。婚約は何度もしたが、やはり現実はつまらない、だから私はゲームの世界に飛び込むのだ。


「待って下さい！私は王女様がいなければダメなのです。生まれた時から仕えていて...こんなお別れは酷いです！このネトゲ廃人がーーーーー！！！」


爺は感極まり、怒りを露わにする。こんな突拍子も無いことを言われたのなら怒るのも無理はない。こんな私を諦めないで説得してくれただけありがたいものだ。やばい泣きそう。


「ごめんね...私どうしても優くんに会いたいの...それと今まで仕えてくれてありがとね。やっぱり転生して乙女ゲームの世界に行きたいの。それじゃバイバイ爺」


私は意を決して飛び込む。やはり死ぬのは怖い、だけどそれよりこの世界は退屈だ。だけど、死の先には楽しいものが待ってるはずだ。だから私は死ぬ。待ってて、今行くから優くん。


「このバカ王女がーーーーーーーー！」


爺は叫び、地面に跪き嘆いた。
その刹那、私は死んだのだった。