4 / 15
第3話 拷問
しおりを挟む「...」
「ピーちゃん。これからお楽しみよ!リアちゃんは黙って私たちの遊びを存分に見てなさい!」
「はい...」
そう告げると太った女は胸の谷間にしまっていた小さな剣で俺の腕を切り落とした。
えー?
俺は突然の出来事に頭が追いつかない。
今俺、腕切られたのか?何で俺の腕がない?
ただ落としただけだぞ?食べなかっただけだぞ?
「痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い」
大量の血が俺の右腕から迸り、今にも気を失いそうだ。痛すぎて熱くなる。むしろもう死にたい。
「んっっん!」
リアが鎖を動かして抵抗する。俺の拷問が見てられないのだろうか。先程の太った女の命令があるせいでリアは黙ったまま体だけが動いている。
「わっはははははははは!ピーちゃん面白いー。待ってて今私が腕を治したあげるから!私に感謝しなさい!」
ー何を言ってるんだ、お前がやっておいて感謝とかふざけるな。
太った女は落ちている俺の右腕を取り、元あるところに取り付けると手をかざした。手からは黒色の魔力が注ぎ込まれ、俺の右腕は元どおりに戻った。何の違和感もなく、動かせる。
「はぁーはぁーはぁー。ふざけるな!こんなことして許されるとー」
俺は最後まで言葉を告げることが出来ずに太った女は容赦なくまた腕を切り落とした。しかも今回は両腕。奴隷紋は腕の上の部分にあるのでその下を奴隷紋を傷つけずに切り落とす。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」
気絶しようにも気絶出来ない。太った女は俺の腕を切り落とし、すぐさま治癒させる。何回も何回も何回もこれを繰り返す。どれだけだったのだろうか?気絶出来たらよっぽど楽だっただろうに。こんな苦痛から逃げたい...。
俺は塞いでいた目を開ける。視界には俺の様子を伺っている太った女がいた。
「ピーちゃんまだ目が死んでないー。1日目では難しいのかしら。悲しいー。これは抉らないといけないなかな。ピーちゃんが狂うまで!」
そうして太った女は俺の目を抉り、すぐさま治癒する。まだまだ太った女の調教は続くみたいだ。
ー怖い。怖い。目が見えなくなる。混沌の闇が渦巻き、誰かが呼ぶような幻聴も聞こえるような気がする。とても痛い。
その後も色々太った女の調教は続き、俺はとうとう狂ってしまったようだ。腕を切られた、痛い。目を抉られた、痛い。爪を剥がされた、痛い。足を切られた、痛い。腹を裂かれた、気持ちいい。気持ちいい気持ちいい気持ちいい、痛みを越して、傷つくたび、気持ち良く感じる。
笑っている。俺が笑っているのを笑っている。痛いのにそれをされてしまうと笑いが治らない。
ふと、リアを見ると薄暗い闇に陥っているかのような目でこちらを見ていた。リアも狂っていたのか、病んでいたのか、苦しんでいたのかと俺はこの状況になって改めて感じた。
なんて理不尽なんだ。
日本でも陥れられ、異世界でも俺は陥れられる。もうこの世の中、滅んでしまえ・・・。
「はぁー。やっとね。随分かかったわー。でもこれで私はピーちゃんを手に入れた。凄く嬉しい!汗だくだくだわ」
「殺す...」
「え?ピーちゃん何か言ったかしら?」
「殺すって言ったんだよ!」
「ご主人様に向かって口答えするなんて私許さない!まだ、お仕置きが必要だったかしら?」
「何度でもお前を殺す、俺はお前のおもちゃなんかになるつもりはないぜ」
「っっ!!次はアイアンメイデンでも使って拷問しようかしら、色々使うのが飽きない秘訣よね」
一瞬、俺に怒りを向けたが、すぐに冷静になり、奥の方から拷問器具を取り出す。
「さぁー、これに入りなさい!ピーちゃん!」
「わかりました...」
やはり、命令されると強制的に反対の言葉が出てくる。行動も逆らえないのだからこの奴隷紋は恐ろしい。
俺は太った女が持ってきた、アイアンメイデンなる拷問器具に入ろうとした時、横から絞り出した微かな声がかかった。
「それに入ったら死んでしまいます。どうか辞めてくれませんか?ご主人様」
可愛らしい少女の顔はとても悲しそうだった。
「だったらリアちゃんが代わりに入ってくれるの?」
「私だったら構いません。でもピーちゃんにはやらないで下さい」
この少女は俺の代わりに自分の命を引き換えにしようとしている。抵抗も心苦しさも何もかもなく、どこか遠くに行きたそうなその目に俺は怒りを覚えた。
「殺す!俺はそう叫び続けるぞ!だから俺を早く調教した方がいいんじゃないか?」
「なかなかいい度胸じゃない?その心意気、私買うわ!リアちゃんはまた今度として、さっそくピーちゃんで遊ばせてもらう。買った初日で死んでしまうかもしれないなんて、本当勿体ないけど、このゾクゾク感には逆らえないわ」
そう言うと俺をアイアンメイデンの中に押し込む。中にある無数にある棘に自分の体が痛めつけられるのになんだか、嬉しい感覚があることに違和感はない。
俺は既に狂い始めている。痛いものが気持ちよく感じてしまうし、もっと痛めつけてとさえ思えてしまう。だけど、自我は確かにある。この太った女を殺して、リアと一緒に逃げるという目的が確かにあった。だから、殺す。こいつを殺す。
ーだから俺は諦めない。
アイアンメイデンの扉がゆっくりと閉まろうとしている。少しずつ、少しずつと閉っていく。そして、アイアンメイデンの棘が腕の奴隷紋を切り裂いていく。俺はその時を待っていた。
完全に閉まろうとしていた、その時、俺は右足を入れて、塞がるのを止める。次に棘に刺されている右手を無理矢理動かし、その隙間に手を入れる。左手も入れ、徐々に扉を開けていく。
「ど、どうしたのかしら...。扉が開いていくのはなんでなの??」
「残念だな。俺はお前を殺す。もう手遅れだ」
「うふふ。奴隷紋がある限り、私に逆らえないわよ!ピーちゃん止まりなさい!」
「だからもう手遅れって言ってるだろ!」
「ま、まさか」
太った女は俺の腕を見ると、奴隷紋が切り裂かれているのを見て、顔を青ざめる。
「奴隷紋が...。アイアンメイデンを使う奴隷ちゃん達はみんな死んでるから、想定していなかったわ」
「さぁー死ねーーーーーーーー!!!!」
俺は扉を開け、太った女に右ストレートを顔面にくらわせる。太った女は後方に倒れ、顔面を抑えている。
「くっ!!!!ただじゃおかないわ!!おもちゃがご主人様に逆らうなんて信じられない。私を怒らせたらどうなるか思い知りなさい!リアちゃん。ピーちゃんを殺しなさい!!」
リアは鎖に繋がれている。リアの細い身体では絶対に切れない。なのに、、、
「命令ってのはね。強制力が働くからどんなことでも出来るのよ!」
リアは鎖を壊し、手錠も壊して、俺に襲いかかってくる。
「ごめんなさい。ピーさん...。手が勝手に動いて、、、逃げて、、下さい。逃げて!!!」
リアが涙を流して、切れた鎖を振り下ろそうとしている。なんて悲しいんだ。こんなことがあってはならない。俺は今にも気絶しそうだ。手が切り裂かれて、正気を保っているのが不思議なくらいだ。でも、今気絶してしまったら、リアを助けられない。俺が死んだら、ずっとリアはこの牢獄に居続けることになるんだ。だから、死ぬわけにはいけない!だから、生きなければいけない!俺と同じのリアを守るために!
俺は鎖を右に避け、状態を立て直す。そのまま床に落ちている(先程、太った女が俺を拷問していた時に使っていた)ナイフを取り、リアの奴隷紋目掛けて投げた。
「少し。痛いの我慢してくれ。あとで気がすむまで謝るから」
そして、目掛けたところにナイフは命中した。リアの奴隷紋に傷が入り、皮が少し抉れた。
「いっっっっ!!!」
リアは叫び声をあげ、右腕を抑えた。
「ピーさん。ありがとうございます!これで自由になりました!」
やはり、奴隷紋は傷がつければその能力はなくなることがわかった。これは凄く良い情報を手に入れた。まだまだ亜人の奴隷が居るはずだ。そいつらを解放できる道しるべが今、見えたんだ。
「よし、リアはそのから動くな。俺がこいつを殺す」
俺は太った女に向かって歩く。一歩、ニ歩、三歩目で目の前についた。
「ピーちゃん?ちょっっ、と。流石に殺さないわよね、、、?」
太った女は凄く怯えていて、腰が抜けていた。顔は青白く、俺に恐怖していた。
「甘えたこと言うんじゃねぇーよ。お前は俺やリアを殺そうとしていたんだ。だから、お前が殺されても仕方ないよね?それが当然の報いだよね?」
「ひぃーーーーーっつ。や、めて。なんでもするから殺すことだけはやめて、お願いだから、、、」
太った女は土下座をした。先程まで嘲笑っていた人間がこうして地の果てまで落ちた瞬間を俺は目にした。少し、高揚感があった。興奮した。優越感があった。
俺は足を真上に掲げて、太った女の後頭部に叩き落とす。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜
黒城白爵
ファンタジー
とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。
死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。
自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。
黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。
使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。
※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。
※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる