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第七章 王都

第五百九話 みんなを造船場に案内します

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 翌朝、屋敷の玄関にこの人たちが姿を現しました。
 僕も、よく知っている人たちです。

「あっ、ワイアットさんにマックスさんです。お久しぶりです」
「おお、レオ君か。久しぶりだな」
「そういえば、騎士爵を頂いたんだよね。おめでとう」

 海軍司令官のワイアットさんに、シークレア子爵領守備隊長のマックスさんです。
 僕が二人のところに歩み寄ると、二人も僕の頭を撫でてくれました。
 やっぱり、とても優しい人ですね。
 でも、朝早くからいったいなんだろうか?
 その理由は、僕の背後から声をかけていたセルゲイさんが教えてくれました。

「レオ君は、この件の当事者だから知っていた方が良いだろう。あの男爵家にある森の件で、国から正式に軍とシークレア子爵領に害獣駆除を行うようにという命令が出された。海軍も出動する大事になったよ」
「あっ、だからこの後皆さんで打ち合わせをするんですね」
「レオ君は理解が早くて助かる。それに、男爵領を通らないで子爵領に抜ける街道の整備の認可も下りた。物流が途絶えたら、男爵領は大打撃だろう。全て、身から出たサビだけどね」

 結婚式まであと三日しかないので、大急ぎで対応するそうです。
 街道の整備は、暫くかかる事業になるそうです。
 ということで、大変なことは偉い人に任せて、僕たちは朝食を食べたらみんなで海軍の軍船造船所に向かいます。

「私のところにも、国からの情報が伝わっているわ。やっぱり、フランソワーズ公爵家の乗った馬車が盗賊に襲われたのが致命傷みたいね。男爵は結婚式参加も取り消されて、害獣駆除の討伐にかかった費用も上乗せ請求されるみたいよ」

 馬車内でモニカさんが色々と教えてくれたけど、男爵にかなりの請求が行くだろうね。
 安全じゃなければ商人も別ルートを通るはずだし、男爵領にとっては死活問題ですね。
 沢山害獣駆除が取れるなら、冒険者に討伐依頼でもすれば良いのにね。
 そんな事を話していたら、あっという間に造船所に到着しました。
 先ずは、事務所前に馬車を停めて所長さんに挨拶に行きます。
 応接室に案内されると、あの所長さんがニコニコしながら僕たちを待っていてくれました。

「皆さま、お待ちしておりました。そして、レオ君久しぶりだ」
「所長さん、おはようございます。お久しぶりです」
「「「「おはようございます」」」」

 みんな所長さんに挨拶をして、ソファーに座ります。
 すると、上機嫌な理由を教えてくれました。

「いやあ、既に町に来ている貴族もいるが、施設を見学しに来るのはいなかったぞ。それに、レオの成長した姿も見れるとなると、俺だけでなく職人も喜ぶだろうよ」

 何だか、とっても嬉しいことを言ってくれますね。
 僕も、思わず上機嫌になりそうです。
 ワクワクしている僕のことを、フランソワーズ公爵家の人々も微笑ましく見ていました。
 さっそく、造船所の中を案内することになったんだけど、所長さんはこの後お仕事があるので僕が案内することになりました。
 ではでは、先ずは事務所から少し歩いて、倉庫の中に入ります。

 ガンガンガン!
 ジジジジ!

「わあ、色々な人が働いているよ!」
「すごいねー」
「アオン!」

 多くの職人さんが一生懸命働いている姿に、みんなも真剣に見ていました。
 僕とシロちゃんにとっては、懐かしいって感じです。

「ここでは、船を作るのに必要なパーツを加工しています。木材や鉄を、特殊な魔導具で加工しています。僕とシロちゃんは、魔法を使って色々な物を加工していました」
「凄いわね、こうやって色々なパーツが作られるのね」
「一隻の軍船を作るのに、こんなにも沢山のパーツが必要なんだ」

 ウェンディさんとアレックスさんも、目の前で次々と加工される木材や鉄板を見て目を輝かせていました。
 本で得た知識とは、また違った知識を得られるよね。
 すると、職人さんが僕のことを手招きしました。

「おお、レオじゃないか。せっかくだから、お偉いさんにレオの仕事ぶりを見せてやれ」
「えっ、良いんですか?」
「所長も許可を取っているし、全然問題ないぞ。それに、ちびっこいのがワクワクしているぞ」

 振り返ると、クリスちゃんとマヤちゃんだけでなくジェシカさん含めて、皆が僕に期待の目を向けていました。
 ではでは、さっそくシロちゃんと共に鉄板の加工をしていきましょう。

「じゃあ、型紙通りに切っていきますね」
「おう、やって来れ」

 久々なので、気持ちを整えて集中しましょう。
 僕は、魔力を集めました。
 型紙通りに意識してっと。

 シュイーン、スパッ、スパッ!

 僕は、一気にエアーカッターで鉄板を切り裂きました。
 綺麗に、十枚分の鉄板を切断できました。
 シロちゃんも、同じようにホーリーカッターで一気に木材を切り落としました。

「ふう、これでどうですか?」
「こりゃすげーな、一気に全部切り落としやがったぞ」
「レオもスライムも、とんでもない魔法使いに成長したな」
「「すごーい!」」

 職人さんに、僕が魔法使いとして成長したところを見せられたみたいです。
 加工したものを確認して貰っても、バッチリオッケーでした。
 もちろん、フランソワーズ公爵家の面々も喜んでくれました。

「こんな感じで、一年間造船所で働いていました。僕とシロちゃんにとっても、とてもいい勉強になりました」
「教える人も良かったのでしょうね。それにしても、軍船の建造が早まったと聞いていたけど、レオ君とシロちゃんの魔法をみれば納得するわ」

 モニカさんは、軍の旗艦船が早くできたのを知っていたんですね。
 でも、僕とシロちゃんは加工しかできないし、出来上がったパーツを組み立てるのは職人技だと思うよ。
 では、次の場所を案内します。
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