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第七章 王都

第四百八十八話 マヤちゃんの一日のスケジュール

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 翌日から、マヤちゃんにはクリスちゃんがついています。
 クリスちゃんには弟や妹がいないので、お姉ちゃんとして頑張るとふんすって気合を入れていた。
 シロちゃんとユキちゃんも二人の側に寄り添っていて、問題がないかを見守っています。
 といっても、絵本を読んだり一緒に遊んであげたりするのがメインです。
 マヤちゃんもクリスちゃんとはグレッグちゃんとのお茶会で会ったことがあるので、初めての人よりも安心感があった。

「えーっとね、この本を読んであげるね」
「はーい」

 書斎で、クリスちゃんが張り切って絵本を読んでいます。
 しかし、マヤちゃんの傍らにはあの専属侍従がついておらず、代わりにフランソワーズ公爵家の侍従がついていました。
 というのも、これにも事情がありました。
 なんと、あの侍従は殆ど侍従としての教育を受けずにマヤちゃんのお世話をしていました。
 口調とか仕事ぶりも、周りの人を見て覚えたそうです。
 なので、マヤちゃんの側にいつつ、侍従としての教育を受けるそうです。
 しかもこの侍従はとても頭が良さそうで、勉強すれば執事や家宰にもなれるのではとのすごい評価でした。
 ゴルゴン侯爵家は、十二歳という若さだけでマヤちゃんの専属侍従にしたらしいです。
 何とも、もったいないことですね。

「おにいさまも、今日は一緒なんだね」
「今日は一日休みだよ。昨日忙しかったから休んでだって」
「そーなんだ」

 昨日は、まさかの襲撃と屋敷への強制捜査があったから、疲れちゃったのは本当です。
 更に、本来であればまた軍の新人兵とともに訓練する予定だったのだけど、ゴルゴン侯爵一派への捜索が続いているので明後日に延期です。
 因みに、新人兵も捜索を体験する良い機会だということで、屋敷の捜索に加わっています。
 何事も、経験が大事ですね。
 こうして絵本を読んだら、庭に移動します。

「オン!」
「きゃー!」

 庭では、ユキちゃんとマヤちゃんの追いかけっこが始まりました。
 もちろん、ユキちゃんも手加減しながら走っています。
 ぽてぽてといった表現が似合う、ほのぼのとした追いかけっこですね。
 暫くは、こうして体を思いっきり動かすのが大切だそうです。
 そして、いっぱい体を動かしたあとは、お待ちかねの昼食の時間です。

「もぐもぐもぐ」
「そうよ、いっぱい食べるのよ」

 体を動かしたのもあるのか、マヤちゃんはお肉をもりもりと食べています。
 ターニャさんも、戻ってきた専属侍従も思わずニンマリです。
 いつもは侍従が見守る中一人で食べていたらしく、それはとても寂しいなと思ってしまった。
 そして、昼食後はゆっくりとお昼寝タイムです。
 今日は、ユキちゃんと一緒にお昼寝したいと手をつないで客室に向かっていきました。
 クリスちゃんへの正式な処分が決まるまでは、専属侍従とともに客室で過ごすそうです。
 当分は、マヤちゃんの精神状態が安定するまで、注意深く見る事になりました。

「あの子に罪はないが、ゴルゴン侯爵家自体は厳しい処分を受ける。お家断絶は免れないだろう」

 仕事を終えて屋敷に戻ってきたギルバートさんも、思わず溜息をつく結果となりそうです。
 しかし、その後意外なことを話してきました。

「あのマヤという子の母親の実家のゼノバース伯爵家も事件に関与したとして処分を受ける事になるのだが、嫡男はいい年なのに結婚しておらず子どもがいないそうだ。その嫡男も処分を受けるためにゼノバース伯爵家の直系の血族がいなくなる。親戚なども捕縛され、残されたのはマヤのみとなる」
「えっ、父上、それって……」
「アレックスの思っている通りだ。マヤは、降格となるゼノバース子爵家の新しい女性当主となる。とはいっても、当分は屋敷の陣容も大幅に変わることだし、最低でも一年は我が家でしっかりと教育を受けないとならない」

 貴族当主以前に貴族令嬢としての教育も必要なので、その辺はフランソワーズ公爵家とマリアージュ侯爵家が家庭教師を準備するという。
 そうなると、新生ゼノバース子爵家は指導をする二家の配下に入るそうです。
 いずれにせよ、今回の事件の処分が終わるまでは時間がかかるので、その間はマヤちゃんはフランソワーズ公爵家に滞在します。
 これで一族連座が適用されたら大変だと思ったけど、あくまでも犯罪を犯した者に罪が適用されるようです。
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